君、よく来たね(脚本家 島川柊)
今月頂いているお題は「演劇と劇場」です。
皆さんは、お気に入りの劇場、ありますか。連載の第一回目でお話ししましたが、私は子供時代を歌舞伎に翻弄されて過ごしましたので、好きな劇場はモチのロン、歌舞伎座です。
一張羅を着て、正面玄関を前にする時の興奮は、何にも代え難いです。
ロビーに敷かれた鳳凰柄の絨毯も、あまりにワイドで毎度衝撃の緞帳も、「君、よく来たね」と私に微笑みかけている。ような気がする。いや絶対にそう。
こちらのご機嫌と期待を、煽りに煽ってくれる仕掛けでいっぱいです。
あ、玄関前左右にある絵看板も忘れてはいけません。
観劇後に改めて見ると、今日の演目のどこを切り取って描かれているかがわかって面白い。劇場を去る最後の最後まで観客と遊ぼうとしている、とてもチャーミングな場所だと思います。
歌舞伎に夢中だった小学生の頃、私にはもう一つ大好きなものがありました。
神社にいる「狛犬」です。
狛犬を見つけたら写真を撮り、勝手に評価をつけ、せっせと狛犬図鑑なるものを作っていました。夏休みの自由研究として、毎年ドヤ顔で学校に提出していました。
落語家の三遊亭圓丈さんが会長をされていた日本参道狛犬研究会にも最年少会員として所属し、『狛犬の杜』という会報誌で一丁前に連載を持っていました。ですので、この『Creators with Audience』は、私の人生で二つ目の連載となっております。
あ、大丈夫ですか、ついてきてますか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?