劇団ドリームに目を凝らす(俳優・劇作家 天羽尚吾)
劇団に所属したことが無い。1回目の連載では「演劇人かどうか」を考える余白があったのに、今回はそれすらない。入団オーディションを受けて落ちたこともあるが、実は根本的に入れないだろうと思い込んでいる節すらもある。定期的に劇団公演に出ることができるメリットがあるとは言え「劇団員」になることによる運営に携わる責任や、役者や演出家として以外の業務をしなくてはならない可能性、そして看板を背負うことに怖気づいてしまう。羨ましさも伴いつつ。
一部の界隈を賑わせてた谷桃子バレエ団のYoutubeチャンネルをご存じだろうか?YouTubeチャンネルの運営やタレントマネージメントをしている会社と、75年の歴史あるプロバレエ団が異色のタッグを組み、経営や生活にあえぐバレエ団をドキュメンタリー風に公開している。幼い頃に師事していた先生が谷桃子バレエ団出身だったこともあり、公演を観に行ったり、所属しているダンサーの方と共に舞台に立たせてもらったこともある。懐かしい。リフトをしたくないことと体型への厳しさに日和り、終ぞ本腰を入れる事は無かったが、今も定期的にレッスンに通い、バーにつくと自分の軸を思い出す。ああ、やっぱり、バレエは美しい……というドリームに焼きを入れるように映し出される現状は(大いに演出もあるとは思いつつ)は、小劇団にも多少共通することではないだろうか。恐らく、劇団だけで生活していける俳優は極小数だろう。もちろん生活できる=良い事。と短絡的に捉えるつもりはないが、劇団に所属するということは、作品や団員たちに自分の時間とイメージを捧げて投資する。ことだとも思う。
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