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Geminiで何が変わる!?データソリューション部の未来っぽい働き方

みなさん、こんにちは!
サービス統括本部データソリューション部(以下、DS部)でデータサイエンティストをしている奥野です。
Gemini社内LT会の登壇&Note記事化も3回目となりました。
前回・前々回は「分析業務の効率化」の話をしていましたが、今回は分析用途に限らず、DS部でのGemini活用事例を紹介します!

FY24下期から、DS部では積極的にGeminiを業務に組み入れる活動を続けてきました。その活動の中で蓄積された活用事例から、Geminiの使い所も分かってきましたので、今回はそのあたりも含めて紹介できればと思います!

はじめに:DS部ってどんなチーム?

DS部の役割は「データに基づいて事業やサービスを中立的に評価すること」だと思っています。
そのための分析案件の実施以外にも、全社員公開の公式ダッシュボード作成、各種データ整備とその啓蒙活動、BigQuery等のツール運用など、データ分析関連業務を幅広く担当しています。

DS部にはデータサイエンティストの他に、データスチュワードと呼ばれる「データ管理」の専門人材も所属しており、各メンバーが持っているスキルセットが多岐にわたる特性を活かしながら、部内では週次でざっくばらんな質問会・共有会、隔週で生成AI勉強会を開催するなど、活発な情報交換を行っています。

DS部におけるGemini活用

DS部はデータを主軸に活動する部でありますが、Geminiの活用先は前回・前々回に紹介したような分析業務だけではありません。所属メンバーからユースケースを収集してみると、Gemini導入以降、様々な業務で活用が進んでいることが分かりました。

分析系のユースケース

  • 分析設計: アイデア出し、基礎統計作成、数値検証など

  • 可視化: グラフ作成

  • モデリング: 数理モデルの試作・検討

  • ETL実装: ソースコード差分調査

  • データ収集: PDFレポートからのデータ抽出

その他のユースケース

  • 文書作成: メール、Slackメッセージ、ブログ記事の下書き作成

  • 調査・検索: SQL実装例の生成、技術調査

  • 資料要約: 提供資料や論文の要約

具体的な活用例

全部のユースケースを紹介するとキリがないので、ここからは活用者が多かったユースケースをピックアップして、少し具体的にGeminiと協働した未来っぽい働き方を紹介します。

1.分析プロセス全般

このユースケースは過去の記事でも紹介した通りです。
分析プロセスの中でも特に「分析設計」のフェイズで利用される場面が多いようでした。
分析設計フェイズでは色々な疑問が発生し、それぞれに可能性を洗って選択する、という作業が発生します。1から全部一人で検討するのは大変ですし、抜けや漏れも当然あります。客観的な視点がほしい場面も多いです。

  • ページ訪問行動を評価する際にノイズとなり得る「サイトの作り上回遊のハブになるようなページ(サイトトップ等)」をどう特定するか

  • 特集やキャンペーンページを比較・評価したいが、ユーザは複数ページを閲覧するから競合が発生しているはず。これってどう扱うと公平な評価ができそうか

  • ページの特徴を評価するための定量指標ってどんなのがあるだろうか

こういったとき、相談・討議の相手として、Geminiが役に立つと考える分析者が多いのだと思います。

2.Slackメッセージ作成

Slackのやり取りは気軽にできて便利ですが、伝わり方はよく考えないとトラブルの元になります。
要件さえ伝わればいいと合理的に考えてしまうこともありますが、表情が見えないツールなので、他部署に分析結果等を共有する際は、相手に失礼な印象を与えないよう、丁寧な言葉遣いを心がける必要があります。

そこで、Geminiに伝えたいことを箇条書きで入力し

相手に失礼な印象を与えない丁寧なSlackメッセージを作成してください

などと指示することで、適切な言葉遣いでメッセージを作成してくれるため、コミュニケーションの負担を軽減できます。

3.切り出しにくい内容のメール作成

例えば、取引先への失注などのネガティブな内容のメールは悩ましいものです。

そんなときは、Geminiに背景情報を簡単に与えてメール作成を指示しましょう。状況に合わせた適切な文面のメールを作成してくれるため、より相手に伝わる内容を提案してくれます。

自分は事業会社の部長です。
以前から業務委託契約を検討していた協力会社に対して、今日決裁者会議をしたが、
発注はなくなったことを礼儀正しくメールしたいと考えています。文面の候補を考えてもらえますか?

4.ソースコード差分調査

データパイプラインの実運用系で今まさに動いているSQLと、リポジトリで管理しているSQLはホントに同じものなのか、念のため確認したい場面はないですか?

なにかツールを使えば解決しそうな話ではありますが、Geminiで簡単にチェックできるのは便利です。Geminiに2つのSQLファイルをアップロードし、ファイルの差分チェックを指示します。

Geminiとの対話的なやり取りで、差分だけでなく差分検出に使ったPythonのソースコードも確認できるので安心ですね。

> この2つのSQLファイルにあるコードの差分を検出してください
 (一緒にSQLファイルを添付)

> 差分をチェックするために使用したコードを表示してください

5.レビュー依頼

Geminiを使うと、テキストデータ(この記事とか)のレビューだけではなく、データを可視化したダッシュボードもレビューしてもらえます。
GeminiにダッシュボードをPDF化したものを渡し、レビュー指示することで、客観的な意見が返ってきます。

レビューあるあるな気がしてますが、どうしても「悪い点を探して改善につなげる」という思考回路になりがちで、フィードバックもネガティブなものに偏りがちだったりします。
下記のようにGeminiに依頼することで良い点も評価できると、ダッシュボード作成に関する知見としても蓄積していけますね。

添付したダッシュボードの内容を確認し、デザイン上良いところと悪いところをあげてもらえますか?
(ダッシュボードをPDFダウンロードしたものを添付)

まとめに代えて:Geminiが役に立つ場面・そうでもない場面

ここまでの活用事例を通して、Geminiを使うと成功体験が得られやすい場面というのが少し分かってきたなと感じています。

役に立つ場面 : 0から始める場面

分析設計でもメール作成でもそうですが、何かをやり始める場面でGeminiを使うと効果を実感しやすいように感じています。

  • 分析のアイデアを出してもらう

  • 手元のデータをざっと可視化してもらう

  • 記事や資料の構成・たたき台を作成してもらう

  • 記事・論文を読み始める前に要約してもらう

そうでもない場面 : 7-8割できたものを仕上げる場面

一方で、Geminiがあまり得意でないものも分かってきました

  • グラフを報告資料向けにきれいに仕上げる

  • 記事や文言をブラッシュアップさせる

仕上げの場面だと、ある程度求めるものが確定していますので、最終的には自分で処理しないと完成にはたどり着けない印象があります。
私の実体験としても、最初にざっと可視化したグラフについて、一つピックアップして報告資料向けに詳細(色、凡例の位置、軸の単位など)をこだわろうと試行錯誤して苦悩した経験があります。事細かに条件をGeminiに入力しても、一つ期待通りになると一つ期待から外れを繰り返し・・・そういうのは自分でやったほうが早いですね。

最後に

DS部では、Geminiを様々な業務で活用し、業務効率化、コミュニケーション改善、分析の精度向上等を目指す取り組みを継続しています。

最初はGeminiでどんなことができるのか、手探りで試行錯誤を繰り返していましたが、実業務での活用成功体験を重ねることで、業務体験の変化が実感されて利用が定着していったように感じています。

生成AIの活用がなかなか進まず苦労することも多いかと思いますが、まずは1つでも成功体験をすることが重要なのではないかなと思っています。
本記事が、読まれている方の未来の働き方実現の手がかりになれば幸いです。

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