贖罪
告げられた言葉の呪縛。それはさらなる悲劇を招く
「あんたたちを絶対に許さない。時効までに犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できるような償いをしなさい。」この言葉に縛られた”5人"の女性。
もちろんそれだけがそれぞれの人の運命を狂わせてきたわけではない。今に至るまでに歩んできた道のりもそうだ。
作中の主要人物の一人、晶子は自身の叔父に次の言葉を言われる
人はすべて平等なんて思ってはいけない。生まれたときから、それぞれが与えられているものは違うのだから。貧乏人が金持ちのフリをしてはいけない。バカが学者のフリをしてはいけない、貧乏人は倹しさの中に幸せを求め、バカはバカなりにできることを一生懸命がんばればいいのだ。身の丈以上のものを求めようとすれば、不幸になるだけ。お天道様はしっかりと見ているのだから、バチがあたる。
そのあとに、「器量の悪さなんか、気にしなくていいんだぞ。」と続く。この言葉を自分の身内から言われることがどれだけ辛いことだろうか。
一番悲しいのは亡くなった子の近親者である。だからといってその悲しみを他人にぶつけてもいい道理はない。その場に任せた何気ない言葉であっても、言葉を受け取るのは自分ではなく他人であることを忘れてはいけない。