楽園のカンヴァス
アンリ・ルソーを巡る、7日間のミステリー。
税関吏ルソーと呼ばれ、生前にまったく評価されなかったルソー。その生涯を振り返りながら、彼の代表作「夢」と、それに似た今作の問題点となる「夢をみた」についての謎を明らかにしていく。
読んでいてあたかも「夢をみた」が実際にあるのではないかと思ったり、「夢」に作中にある謎が本当にあるのではないか、と少し思ってしまった。
お世辞にはうまいとはいえない彼の作品。しかし、なにを持ってうまいというのだろうか?彼の作品は写実的にはうまいとはいえないだけであって、彼の作品からは生命そのものの力強さ、美しさを表現しようとする彼の信念のようなものを私は感じる。
この小説を一言で表すなら「想い」なのではと思った。
登場人物それぞれがもつルソーへの想い、それが願いとなって後世に託されていく___。
読んでいて心に残った部分を抜粋
美術館とは、芸術家たちが表現し生み出してきた「奇跡」が集積する場所。動物園や植物園は、太古の昔から芸術家たちが表現の対象としてみつめ続けた動物や花々、この世界の「奇跡」が集まるところ