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みんなで海を楽しもう~ユニバーサルビーチ体験会in高田松原海水浴場

昨年に引き続き、陸前高田市でユニバーサルビーチ体験会を開催してきました。陸前高田市での開催は3回目です。

昨年の様子はこちら。

こんな映えスポットができていました。手前にはスマホを置ける撮影台があって、この写真はそこから撮りました。バッチリやん。神戸の「BE KOBE」にも撮影台あったらいいのになー。

そして、何より昨年より大きく一歩前進したのが、ブルーフラッグの認証取得です。

ブルーフラッグとは

ブルーフラッグとは、国際NGO FEE(国際環境教育基金)が実施するビーチ・マリーナ・観光船舶を対象とした世界で最も歴史ある国際環境認証です。認証基準を達成すると取得でき、毎年の審査を通じて、ビーチやマリーナ等における持続可能な発展を目指しています。国内では2024年5月1日現在、14か所(ビーチ12か所、マリーナ2か所)がブルーフラッグ認証を取得しました。

ブルーフラッグは1985年にフランスで誕生し、2024年5月26日時点で、世界51か国、5,121か所が取得。特にヨーロッパでの認知度は高く、ブルーフラッグビーチは「きれいで安全で誰もが楽しめる優しいビーチ」として、多くの人々がバカンスに訪れます。ブルーフラッグを取得するためには地元自治体やビーチ、マリーナ・観光船舶の管理・運営者等が中心となり、厳しい基準を達成することが求められます。多くの基準設定にもかかわらず世界中でブルーフラッグの掲揚が増えています。これはブルーフラッグを取得する過程で周辺地域の関係者が関与することにより、地域の経済的側面と環境的側面を両立させる持続可能な発展につながると高く評価された結果だと言えます。

一般社団法人日本ブルーフラッグ協会HPより引用


7月には関係者を対象としたユニバーサルビーチ講習会も実施していて、体制もばっちりです。

■設営とブリーフィング

海岸に行ってみると、昨年はなかった神社が建立されていました。

牡蠣神社

なので、牡蠣神社を外してビーチマットを敷きました。

陸前高田さんはビーチマットを4本所有しておられます。それを縦に使い、横の2本は須磨ユニバーサルビーチプロジェクトのビーチマットを使用しました。それ以外に4輪の水陸両用車いすやお着換え用のテントもあり、ハード面はかなり整っています。

須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの設営も進化しています。明石市の大蔵海岸で実施した際には長いまま差してあったヌードルが、ちょうどいい長さにカットされて、スーマくんのシールが貼られていました。

いつもながらブリーフィングは真剣です。今回は台風接近の影響もあってか、ご予約のキャンセルもありました。そうしてできた空き時間はボランティアに参加してくださった方にヒッポキャンプに乗っていただいたり、スタッフも普段使っていない型の水陸両用車いすを試してみたりと有意義に時間を活用しました。

■あやなちゃん(5)

「これは、とってもすごいことなんです」
体験が終わった後のお父さんの言葉。

高田松原海岸の近くに住むというあやなちゃんはダウン症。プールは好きだけど、海はまだ足をつけたこともないそう。ご両親からはできる範囲で海の楽しさを味わってもらえたら、というご希望を伺っていました。。10歳のお姉ちゃんも一緒に参加してくれています。

あやなちゃんは、砂が苦手。シートの上の砂も嫌がって、お母さんの膝の上からも下りないほどだとか。

それなら、と水陸両用車いす(ヒッポキャンプ)の登場です。どうかな?ヒッポの座面についている少しの砂も気になるご様子。

あやなちゃんは、イヤなことはイヤとしっかり意思表示をする。そして、人の手を借りず自分でやりたい。海に入るも、いったん退避。

そのうち、びっくりすることが起きました。あやなちゃんがヒッポを降りて砂浜を歩きだしたのです。

両手で砂を握りしめるあやなちゃん

あれだけ嫌がっていた砂を自分で握りしめたかと思うと

お母さんに向かって、えいっ!

お父さんに向かっても、えいっ!

ご家族の笑顔が弾けていました。

家族みんなで砂浜で遊ぶ

今度は、お父さんの足を砂に埋めはじめました。

次は、あやなちゃんがみんなに仕返しされています。

うん、もう砂は大丈夫そう。

水鉄砲でも遊びました。

そのうち、あやなちゃんが自分で海に向かい始めました。波をかぶったら引き返したりしながら、少しずつ少しずつ海に近づいていきます。

あやなちゃん、自分から海へ入りました。元々プールは大好きなあやなちゃん。顔が濡れてもお構いなしです。

最後は、ライフセーバーの佐々木さんに抱っこされて、しっかり海に入りました。途中、お姉ちゃんに抱っこしてもらう一幕も。

あやなちゃんファミリー

海から上がるとき、お父さんに抱っこされていたあやなちゃん。「ここで下ろしたらまだダメかな?」といいつつ、砂の上に下ろしてみても、もう全然平気で砂遊びをしていました。

そして、お父さんの冒頭の言葉。

私たちの目の前で、どんどん可能性を広げてくれたあやなちゃん。相手のペースにあわせて信じて待つことの大切さを改めて感じました。プールと同じように、海も好きになってくれたら嬉しいな。

■かなとくん(10)

全介助のかなとくん。いつもは大人が抱っこで入っているそう。今日は水陸両用車いす(ヒッポキャンプ)があるので、楽々海へ入れます。

かなとくんが装着しているのは「浮くっしょん」というモンベル製のライフジャケット。東日本大震災の津波被害を契機に考案されたものです。薄く見えますが、これだけで大人も浮けてしまう優れものです。

海に入る前には、足元に水をかけて、少しずつ冷たさや濡れる感触に慣れてもらいます。

この日は、お母さん、8歳と2歳の妹さん、おじいちゃん、おばあちゃんと皆さんお揃いでお越しくださいました。妹ちゃんもスタッフと一緒にむちゃくちゃ海を楽しんでいました。

■鈴木さん(26)

海は厳しいので、浜辺で写真を撮れたら、というご要望でしたが、ビーチマットを見たとたん、たまらず鈴木さんの電動車いすが爆走します。

その様子をみていたスタッフが「お母さん、もう海入っちゃっていいですよね」「どうぞ!眼鏡吹き飛んでもいいです!本人が海に行きたいって申し込んだんで」

とのことだったので、遠慮なく海に入っていただきました。チームメンズ、楽しそう!いつもは2人体制のヒッポも、この日は波が大きかったため5人体制で臨みました。

海岸にいるお母さんに向かって手を振ります
それにこたえて手を振るお母さん

ピッポを外してライフジャケットだけで海に入りました。

ご家族での写真
みんなで記念写真

鈴木さんが常に笑顔で、存分に海を味わってくれていました。

■活動を終えて

昨年に引き続き、台風接近の影響を受けてしまった高田松原の海水浴場。おかげで須磨ユニバーサルビーチプロジェクトメンバーには、大波の陸前高田!というイメージがバッチリついてしまっています。翌日の釜石での活動は、台風直撃のため残念ながら中止となってしまいました。活動するときは、いつも避難経路や避難場所を確認しているのですが、いざという時に備えてより一層気が引き締まりました。

明石の大蔵海岸でもお世話になったフレスコボールの方が顔を出してくれました。

海パン忘れとったでー

堤防の内側に植えられた松も、徐々に育ってきています。当日ボランティアに来てくださった方も、この活動に参加されているそうです。

こちらも震災遺構のひとつ。胸がざわつきます。

奇跡の一本松。この地に立って周りを見渡してみる。胸の痛みと悲しみはどれだけ経っても消えないだろうけど、前を向いていくために。

■須磨海岸で開催しているユニバーサルビーチ

■2024年全国で開催しているユニバーサルビーチ

●6/23(日)大分
●6/29(土)石垣島
●7/17(水)南あわじ講習会&体験会
●7/20(土)下田
●7/21(日)静岡
●7/27(土)尾道
●7/28(日)徳島
●8/3(土)大阪貝塚
●8/4(日)明石大蔵海岸
●8/10(土)陸前髙田
●8/11(日)釜石市
8/17(土)神奈川・大磯町
●8/24(土)小豆島

「自分の地元でもユニバーサルビーチを開催したい!」「体験会に参加してみたい」という方は、須磨ユニバーサルビーチプロジェクトのHPからお問い合わせください。

須磨ユニバーサルビーチプロジェクト

皆さまの街でお会いできるのを楽しみにしています!

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