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書店員はただの作業員か~現役書店員が中田敦彦Youtube大学「書店業界の危機①、②」を見て~

こんばんわ、初登場の嫁ちゃんです。旦那のnoteをたまに乗っ取って好きなことを書いていきます笑

ある意味、書店業界ではスタンダードにすらなってしまった感があるネトウヨ本、ヘイト本。なぜこれらが多産され、読まれ続けているのか。必ずしも事実に基づいていない非論理的な書物に対する抵抗感の無さに、日々書店で働いている私も違和感を持っていました。私の答えは簡単で、その本が大衆によくうけて売れるからだ、と思っていました。ですが、中田敦彦さんのYoutube大学での動画を見て、それには日本の書店業界のシステムが根強く関わっていることを知ることができた、というよりも何となく知っていたことを、再認識されたといったほうが正しいと思います。確かに、出版社、取次、書店に至るまで誰も責任を取らない、書店業界の闇の構造が、あふれるヘイト本の流通に反映されていると思います。

かくゆう私の勤める書店は、ヘイト本をいわゆる即返(もしくは1冊残して全返品)して、必要最低限のコーナーに収めるセレクト型書店です。(と信じています笑)とはいえ、出版社・取次によるパターン配本はあるため、初回配本に関しては受け入れざる得ません。動画であるように、少ない人件費を駆使して、日々大量に送られてくる新刊書籍を、接客を行いながら必死にさばいていきます。大概は、新刊が出たタイミングで追加発注をかけるしかないですが、忙しすぎてそれすらも後回しになるときもあります。そして、初回配本が少ないが初速の良い新刊の場合、すぐに品切れしてしまいます。次回入荷時には、売れるピークを少し過ぎてしまっているため、売り逃しにつながります。今、売りたいときに売れる本がない、、書店員として非常にもったいないなと思う瞬間です。

中には、発売日前に売れると見込んだ新刊冊数を指定する「初回配本指定」というのを、書店側から出版社へ行うこともできます。ただ、それは出版社が新刊情報の案内があった場合のみ、つまりほんの一部でしかありません。追加発注では追いつかない状況を、現場で感じている私にとっては、この「初回配本指定」が何よりも重要だと考えます。もっと出版社は新刊情報を書店に案内してほしい。最初から何冊入荷すると分かって入れば、売場計画が考えやすく、作業的にならないはずです。ただし、これには書店員の本に関する知識がある前提での話になるため、書店員側も責任を負うことになりますけども、、

色々話してきて何がいいたいのかよく分からなくなってきたが、とにかく書店員は作業員じゃないよ!と声を大きくして伝えたいです。全国には魅力的な書店がたくさんあって、頑張っている書店員さんが大勢います。私もその中の一人でありたいと強くこの動画を見て思いました。

最後に、出版社・書店が舞台の小説を紹介します。業界の現状を、物語を楽しみながら知ることができるのでおすすめ。私は実写ドラマがいまいちだったけど、、書店の在り方について考えさせられる「書店ガール」はいちおしです。「ガイコツ書店員本田さん」はまさに書店の裏側をコミカルに描いた作品です。個人的に言葉のセンスが絶妙です。「重版出来」は出版社の編集者にスポットを当てたお話で、重版決まった瞬間の爽快感がたまりません。


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