嫌われてる?
キルギスから陸路でタジキスタンに入り、ムルガブからパミール高原を経由して、ホーログという地に辿り着いた。やっとタジキスタンの街らしい街に辿り着いた感。
ここまでの3日間、悪路のドライブで屋内外問わず極寒。シャワーは浴びられず、屋外トイレが続いた中、ようやくWi-Fiが使えて、シャワーを浴びられる環境に。
34歳の私はこの時点でクタクタだったが、相棒の日本人若者2人は次のフライトが迫っており、数日後にはキルギスへ戻りたいとのことで、翌日空港へ行き、航空券を買いに行くことになった。
宿から30分以上歩いただろうか。辿り着いた空港は、とてもとても空港に見えない小さなビルで、オフシーズンで閉まっていた。
気を取り直して、タジキスタン旅のクライマックス、温泉へ向かう。
まずはバスターミナルで旅のドライバー探し。
ネットで調べた相場で周りたかったが、早く出発しないと温泉がしまってしまう可能性があったので、とりあえず1人目に話しかけたおじさんドライバーに決定した。
タジキスタンで車をチャーターしても、座れる場所がある限り、結局は乗り合い化する。またこのおじさんは知り合いが多く、よく客を乗せては降ろしを繰り替えす。
このタジキスタンの旅で感じたことは、旅した中央アジアの中で、タジキスタンの人々が一番人懐っこいということ。
ほとんどの人がロシア語か現地語を話すのではっきり言って何を言っているのかは分からない。でも、「チャーイチャーイ(私のところでお茶飲んでいきなさい)」と言ったり、「このビスケット持ってけ」と自分のために買ったであろうビスケットを全部くれたり。まったく現地の人との交流を求めていない我が相棒がウザがっているのに絡んだり…とにかく愛情をたっぷり感じる。
おそらく、タジキスタンに来る前に友達が「タジキスタン良かった」という理由の一つがこの”タジキスタンの人々”なのではないかと思った。
寄り道だらけだったが、なんとか温泉がある地に辿り着いた。ここに来るまでの道中、車窓からはお隣の国・アフガニスタンが見えた。
アフガニスタンまでは川1本。たまに人が歩いているのが見える。タジキスタン側には電線があるが、アフガニスタン側には無い。一体どんな暮らしをしているのであろうか。
さて、楽しみにしていた温泉「ビビファテイマ」。
ビビファテイマは、洞窟風呂と内風呂が男性と女性で日替わりとの情報があったが、この日は女湯が内風呂。
洞窟風呂に入れないのは残念だったが久しぶりの湯舟に感激。中にはタジキスタンの女性数人がいた。そこでの衝撃は、湯舟で体をこすっていることだ。そして彼女達が出て行って、1人で貸し切りだと喜んだと思ったら、見る見るうちに湯舟のお湯がなくなって行き、強制退場。温泉は閉館間近だったようだが、男性陣はその後、大満足でポッカポカになって帰って来た。
翌日、私たちは再び悪路のドライブを経て、もう1つの温泉「ガラムチャシマ」へ。この地に降り立った瞬間から硫黄の香りが立ち込めている。
ガラムチャシマは、男女時間交代。
女湯の時間を確認して、いざ出陣と思ったら、中に少年が2人いた。しかも私が来たのに出て行かない。温泉の管理人に訴えて追い出してもらう。入れる時間は限られているのに完全なる時間ロス。しかもここの温泉は完全屋外なので、死角を探して服を脱ぎ入浴。貸し切りで満喫できるかと思いきや、間もなく人の気配がし、おじさんの声が聞こえてくる。「もう女湯の時間は終わりだ」と…。
渋々上がって服を来て外に出ると、早く温泉に入りたくて待っている男性達が押し寄せていた。せっかく来たのに全くゆっくりできなかった。
温泉旅を終え、出発地のホーログに戻ったのは土曜日。
もし土曜日にホーログに戻れたらどうしても行きたいところがあった。何気に一番楽しみにしていたもの。それは…「アフガンバザール」。その名の通り、アフガニスタンのバザールなのだ。
アフガンバザールは、タジキスタンとアフガニスタンの国境で行われる。旅人の中にはアフガニスタンに行ってみたいという者もいるが、私はそんな危なそうなところには行きたくないし、行く気もない。でも、アフガニスタン人ってどんな人でどんな物を売りに来るのか見てみたかったのだ。
宿のオーナーに頼んでアフガンバザールへ出発。そしてオーナーが車を止めた。「いよいよ!」と思ったがオーナーが一言。「やっていない。理由はだれも分からない」。
タジキスタンのハイライトはこれにて全て終了した。
※2016年10月27日~29日 タジキスタン・ワハン回廊
「Over30女子バックパックでアジア周遊」