スタートはゴール
インドでのトラブルを機に一時帰国。
一か月ほどゆっくりする予定だったが、日本にいるとあっという間にお金がなくなることが判明したので、さっさと旅を再開することにした。
最初の地は「スリランカ」。
スリランカは、いろんな人の情報からある程度お金をかけて回った方が楽しい国なのかなと、バックパッカー旅のルートからは外していた。
ではなぜ今回行ったかというと理由は、"インドビザ(3ヶ月)を取るのがラク"と聞いたからだ。
とはいえ、せっかく来たからにはスリランカを味わおうと、スリランカビザの期限である1ヶ月は滞在することにした。
スリランカは、日本の北海道ぐらいの面積である。
どこから回ろうか、考えた末に始めの地は南西の都市「ゴール」。
ここをスタート地点とし、北上することにした。
コロンボの空港に降り立った私は、その日のうちに電車でゴールを目指す。
まずは空港からバスで駅へ行き、駅で電車のチケットを購入。
待ち時間は外に出て、待望の「ライス&カリー」を食べることにする。ちなみに「カリー&ライス」ではなく「ライス&カリー」である。
初めての「ライス&カリー」は、パッサパサで不味かった。
不味くて、この先1ヶ月スリランカに滞在するのが不安になった。
なんとか全部食べ切って、ゴール行きの電車に乗り込む。
ゴールへの移動手段は、電車とバスがある。
私が電車での移動にこだわったのは、このルートは海沿いを走り車窓が楽しめるからだ。しかし、安い3等車(自由席)を選んだので、座れず写真を撮る余裕もなかった。
スリランカの習慣なのか、1時間ほどすると自分が降りる訳でもないのに席を譲りあっていて、私も座らせてもらうことができたが、間の悪い私はシャッターチャンスつかめず、写真はない。
ゴールに到着。
駅から宿まではトゥクトゥクに乗るつもりだったが、やけに高い金額を提示してくる。スリランカのトゥクトゥクは、"最初の0.9キロが50ルピーで、それからの100メートルごとに6ルピーが加算"ということを知っていたので、「乗らない、歩く」と行ったら、相場に近い金額で乗れた。
ゴールにはフォート(城砦)があり、ホテルやゲストハウスは、フォート外(新市街)よりもフォート内(旧市街)の方がロケーションがよく、観光に便利なので高い。貧乏旅の私は、フォート外を選択。
このフォート外の選択は、ローカルな街の雰囲気を感じたい私にとっては正しい選択だった。宿泊したゲストハウスからフォートへは毎日歩いて通った。その間には、庶民的なお店や市場などがある。
ある日、フォート外で話しかけてきた男性に「ローカルなレストランでご飯を食べたいけどどこかある?」と聞いたら、ものすごく狭くて小屋のようなスーパーローカルな食堂に連れて行ってくれた。
そこのメニューは「ライス&カリー」一択。(ライス&カリーか…)と思ったがせっかく教えてくれたし食べてみることにした。「スプーンいる?」と言われたが、みんな手で食べているので、スプーンを断り、手で食べることにした。5本指で具とご飯をよく馴染ませて食べる。「おいしい!おいしいじゃないか!!」もしかしたら最初に食べたレストランのライス&カリーも、こうやって手で食べたらおいしかったのかもしれないと思った。この後、私は好んで「ライス&カリー」を食べるようになった。
また違うある日、私は今日もフォートへ行き、その後ゲストハウスへ向けてフォート外を歩いていた。今日は道端にいつもいるフルーツ屋のおじさんに話しかけられた。ライチを一粒くれた。「ありがとう」と言った。ライチをもう一粒くれた。するとおじさんは「ジギジギ」という。「ジギジギ?」と聞くと、「君とSEXしたい、僕の家ははすぐそこだ。頼む!5分だけ」という。「グッバイ」と言って立ち去った。おじさんはライチ2粒でやらせてくれると思ったのだろうか…。
ちなみに「ジギジギ」という言葉はSEXを表し、スリランカだけではなくインドや東南アジアでも通じるらしい。のちに会った旅人が言っていた。
これから、ここゴールをスタート地点として北上していく訳だが、のちに出会った旅人にこう聞かれた。「周って来たスリランカの都市でどこがよかった」と。その時、私は「ゴール」と答えた。すると「ゴールはフォートしかないじゃない。つまらない」と言われた。
たしかにゴールの街は、メインがフォートであとの見どころはビーチだ。
私にとって、フォートの雰囲気も魅力的だったが、この街で一番楽しかったのは人との関わりだった。
貧乏旅ゆえ、フォート外の宿をとり、トゥクトゥクを使わず毎日歩いた。歩くことで見えた風景、出会えた人々、ローカルレストランの味がある。
そんな日々を3日間続けていたら、ただでさえ焼けやすく自黒な私の肌はあっという間に真っ黒になった。
これまで「チャイニーズ?コリアーン?ジャパニーズ?」と聞かれていたのに、「フィリピーナ?」と聞かれるようになったのはこの頃からだったと思う。
※2016年7月20日~22日 スリランカ・ゴール
「Over30女子バックパックでアジア周遊」