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優しい街
インド旅の再開から2週間経ち、いよいよ西インドに入る。
最初の地は「アウンガラバード」。
"アジャンタ"や"エローラ"などの遺跡観光の拠点となる街だ。
【インド・アウンガラバード】
1日目:
グウラターバード(要塞)/ビービー・カ・マクバラー(墓)
2日目:
アジャンタ(寺院)
3日目:
エローラ(寺院)
アウンガラバードの観光1日目、今日は観光地2つを訪問する。
まずはグウラターバードという要塞を訪問するにあたり、バスターミナルに向かい、案内所で乗り場を尋ねる。
指定された番号の乗り場で待ち、バスが来るたびに「グウラターバード?」といろんな人に聞くが、一向に来ない。
ある男性に「グウラターバード?」と聞くと、彼は英語が話せると言う。そして「この地は英語が話せる人がいないから不便だろ?」と言って来た。
私は英語すらまともに話せないが、この地の人に英語で話しかけても、現地語で返されたり、無反応だったことには気づいていた。
指定の乗り場に1台のバスが来た。英語が話せる彼が「これだ!これに乗れ!」と言って見送ってくれるのかと思ったら一緒に乗り込んできた。(なんだ、この人も同じ行先なのか)と思い、道中バスの中で話をしていた。
彼は、私のメモ帳に"日本や日本人のいいと思うところ"をたくさん書き出してよく喋る人だった。
目的地のそばのバス停に降ろされ、彼も降りてきた。(なんだ、この人も同じ行先なのか)と思い、私は持っているオフライン地図で距離と場所を確認しながら歩こうとすると、彼は付近の人に「グウラターバードはどこだ?」と聞く。付近の人は「あっち、すぐそこだ」的なことを言っていたような気がするが、彼はトゥクトゥクを拾おうとする。「すぐそこだから歩いて行く、トゥクトゥクには乗らない」と言うが、彼がトゥクトゥクを拾った。一瞬で目的地到着。
彼はトゥクトゥク代の半額を要求して来た。「私は乗らないって言ったのに、あなたが乗るって決めたんでしょ?!」と言って、トゥクトゥク代は申し訳ないが払ってもらった。
このとき思った。
"インド人がぼったくるターゲットは、外国人に限ったことではない。インド人はインド人からもぼったくる"と。
一緒にバスで来てトゥクトゥクに乗った彼はしっかりぼったくられていたのである。
やっと、グウラターバードに到着し、入口で入場券を買い、中に入る。
中に入ると、彼は写真映えするスポットを見つけては、私にそこに立たせて、たくさん写真を撮ってくれた。(故に、なかなか前に進まない)
そして、いよいよ建物の入口に入る頃、彼は「じゃ、戻ろうか」と言い出す。「えっ?私は上まで登るけど」と言うと「僕はもう仕事に行かなければいけない」と言い出す。「じゃあ1人で行くからいいよ」と言うと、「1人ではこの先危ない」と言う。敷地内を掃除していたおばさんも「女の子1人じゃ危ないわよ」と言った表情を見せる。(そんなこと言われると怖くなってしまうではないか)と思いつつ、「いいよ。1人で行くからあなたは仕事へ行って」と彼を突き放す。
なにしろ、インドの観光地では「外国人価格」と「インド人価格」というものが存在していて、「外国人価格」が圧倒的に高い。このグウラターバードは10倍近く差があったはずだ。
せっかく来て、それなりのお金を払って入っているのにこのまま引き返す訳にはいかない。私以外にも観光客は数名見ていたので、なんとかなるだろうと思い、1人で建物の内部へ行った。
中は意外と広く、階段を上る度に休みながら上って頂上に辿り着いた。その道中、家族連れが何度か私に話しかけてくれたが、ここまで一緒に来たインド人の彼が(彼女は1人で観光しているから何かあったらよろしく)と頼んでいたような気がする。気のせいか…。
頂上でのんびりして、下り始める。すると日本人らしき2人組を発見した。
実はこの街、アウンガラバードでは私はユースホステルに宿泊している。このホステルにチェックインした時に、名簿で日本人の名前を2つ発見していたが、彼らはすでにチェックアウトしていた。もしかしてその2人なのかと思い、私は大声で「ジャパニーズ?」と聞いてみた。すると彼らは反応してうなづいた。話を聞いてみると、やはり彼らはユースホステルに宿泊していた日本人だった。
旅をしていると、同じ故郷(国)の人に出会うとすごくホッとし感激してしまう。彼らはこの後すぐにバラナシへ行くと言うので、ご飯を食べる時間も話す時間もほとんどなかったが、彼らに会えたことで私は少しの時間安心できた。
グウラターバードを後にし、再びバスターミナルへ。次は、"ミニ・タージ(マハル)"と呼ばれる、ビービー・カ・マクバラーへ向かう。
バスターミナルの案内所で「ビービー・カ・マクバラーへ行きたい」と言うと、「トゥクトゥクで行け」と言う。ほかの人に聞いてもトゥクトゥクを勧められる。ある男性に聞くと、彼も同じくトゥクトゥクを勧めてきたので「いくら?」と聞くと20ルピーと言う。ということで20ルピーで交渉するが、これが現地人価格なので外国人の私では交渉がうまくいかない。
すると、先ほどの男性が「カム(来て)」と言い、トゥクトゥクを指さし乗るように勧める。「20ルピー?」と聞くと、英語で説明できない様子だった。彼も一緒にトゥクトゥクに乗り込み、無事に目的地へ到着した。トゥクトゥク代の20ルピーを渡そうとしたが、彼は笑顔で"さようなら"というように、お金を受け取らず去って行った。
やっと辿り着いた"ビービー・カ・マクバラー"は、"タージ・マハル"と比較するとやはり劣る。しかし、タージ・マハルより現地人の憩いの場と化し、和やかな雰囲気が漂っていた。
帰りはトゥクトゥクで通って来た道を参考に、ローカル感を味わいつつ歩きながら帰った。
アウンガラバードの観光2日目はアジャンタ、観光3日目はエローラに行った。
どちらも壮大だが、学生時代から今に至るまでの勉強不足のせいで、知識が追いつかない悲しい現実…。
アウンガラバードの旅を振り返って、南インドの人は北インドの人より擦れていないと言われている。しかし、西インドの人は南インドの人以上に擦れていないと思う。
特に、このアウンガラバードは、"アジャンタ"や"エローラ"だけを目的に来る人が多く、この2つも専用のバスに乗り込めば、特に現地人との交流はしなくても過ごせる。
この地では、言葉は通じても通じなくとも、見返りなく優しい現地の人の愛情に触れることができた。
※2016年9月2日~4日 インド・アウンガラバード
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