私の器は小さい
【インド・アーグラー】
1日目:
アーグラー城/イティマド・ウッダウラー廟(墓)/スィカンドラー(墓)/マターブバーグ(対岸からのタージ・マハル(墓))
2日目:
タージ・マハル(墓)
3日目:
ファテープル・スィクリー(都・モスク)
気づけば、墓巡りのようになっているインド・アーグラーの旅。
3日目の今日は、郊外の「ファテープル・スィクリー」に向かう。
アーグラーで私の専属のようになっているトゥクトゥクドライバー曰く、ファテープル・スィクリーへは電車で行き、帰りはバスで帰ってくるといいとのこと。
電車が発車する時刻に間に合うように、ホステルでピックアップしてもらい、駅で降ろしてもらう。
彼が言う場所で切符を購入しホームへ行き電車に乗る。インドでは指定席の電車にしか乗ったことがない私は戸惑うがとりあえず電車は動き出した。
しかし、インドの駅は駅名が見づらい。向かいに座った少年に「ファテープル・スィクリー?」と聞くと違うと言う。しばらくすると「ここだよ」と一緒に電車を降りた。
駅に着いたが、みんななぜか線路の上を歩く。
「こっち?」と少年に聞くと、「こっち」と言う。
彼はずっと私の前を歩いていく。(もしかして最後まで案内してチップをせびるパターンだろうか)と思いつつ、ついて行くと「ファテープル・スィクリー」の看板の前に辿り着いた。私がそれに気づくと、少年は颯爽と去って行った。彼は見返りなしに親切にしてくれた。
しかし彼が案内してくれたのは、イスラム教徒(ムスリム)専用の入口で、観光客の入口は別のところだった。
観光客の入口をある男性に訊ねると、「危ないからバイクで乗せて行ってあげよう」と言われた。見知らぬ人のバイクに乗る方が怖いと思ったので断ったら「1人で行くんだったら、子供たちが押したりして絡んで来るから気を付けて」と言われた。
観光客の入口は、住宅街のような細い路地を通っていく。先ほど男性が言っていた通り、子供達が怖い顔をしてたくさんぶつかって来た。
ようやく目的地に辿り着いた。
中には、インド最大と言われているモスクがあるだけあって、門だけでも迫力がある。
そして門の前に行くと、「ここから先はイスラム教徒と一緒でないと入れない」と言われる。私はガイドブックで、イスラム教徒と一緒じゃなくても入れることは調査済みだった。
そして少年は「ボランティアで案内する」と言い出した。「フリー?(無料)」と聞くと、「フリー(無料)」と言った。近くにいたインド人の親父が「こいつは嘘は言わない」と言った。無料であることを確認したので、あえて"イスラム教徒と一緒じゃなくても入れる"というのは知っていることを言わずに中に入った。
少年の案内は分かりやすく、いいガイドだと思った。これは最後にチップあげる羽目になるんだろなと思いながら話を聞く。
モスクを一通り回ると、大理石でできたゾウの置物を進められた。そこにはさっき「こいつは嘘は言わない」と言ったインド人の親父もいた。私は「いらない」と言ってその場を立ち去ろうとした。
すると、やはり少年はチップを要求してきた。インドルピーで渡そうと思っていたら、「日本のお金が欲しい」と言われた。日本の小銭を渡すと、インド人の親父が出てきて「ビル(札)をくれ」と言い出した。私はその親父の発言がとっても腹立たしくて、一気に心を乱された。少年が言うならまだしも、なんで何もしていないこのインド人の親父にとやかく言われなければいけないのか。その空気に気付いた少年は「君がハッピーじゃないなら僕はハッピーじゃない。もういいよ。」と渡した小銭を返そうとした。私は「いい」と言って受け取らなかった。
そして「タージ・マハルの入場券持ってる?欲しいんだけど」と言ってきた。持っているけど、何に使うのか聞くと「コレクションをしている」と言った。私がどうしようか考えていると「もういいよ」と去って行った。
親切に案内してくれた彼には申し訳ないけど、インドの物価で、あの短時間の案内で、1,000円のチップは高すぎて渡せない。ケチでゴメンと落ち込む。
ここ「ファテープル・スィクリー」は昔の都。
モスクは無料では入れるが、宮廷部分は有料だ。
モスクを訪れた後、宮廷部分に入るつもりだったが価格表を見ると大幅に値上がりしていたので断念した。
肉体的にも精神的にも疲れていたので座っていると、小さな男の子が「ファテープル・スィクリー(宮廷)の入場券持っていたらちょうだい」と言ってきた。「持っていない」と言うと「じゃあタージ・マハルは?」と聞いてきた。「持ってるよ。何に使うの?」と聞くと「ポストカードを作る」と言う。そう話していると警察がやって来て彼を追い払った。
(もう帰ろう)と思い、バス乗り場がある街の方へ下っていく最中、先ほどの小さな男の子がまた登場。「タージ・マハルの入場券ちょうだい」と言って来る。そして、警察の気配を感じたら逃げて行った。
この地域ではやけに子供たちが入場券を欲しがる。そして警察が来たら逃げていく。理由を私なりに考えてみた。彼らはおそらく"入場券を偽造して売る"つもりだと。
複雑な気持ちで、バスに乗り私はホステルに帰った。
※2016年6月14日~16日 インド・アーグラー
「Over30女子バックパックでアジア周遊」