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旅人たちを魅了する村
訪れた旅人は口を揃えていう「ハンピ最高!」と。ある人は言った「ハンピはディズニーランド」だと。
意味が分からない。一体どんなところなんだろう。行って感動しなかったらどうしよう。
期待と不安を抱えながら、インド・ハンピに到着した。
まずハンピに行ったらしたいことがある。洗濯だ!
ここ数日、汚い宿が続き洗濯する気になれなかった。南京虫が付いていたバックパックも全て洗浄したい。
だが、宿のオーナーは言う。「今から日本人2人組がバイクを借りて向こう岸に行くっていうから一緒に行って来たら?バイクが運転できないなら一緒に乗せてあげるように言ってあげるよ」と。
バイクが運転できない私にとってそれはいい話だ!と思い、オーナーに頼んでもらうよう伝える。日本人2人組とはいえ、彼らはインドで働いていて貧乏旅の私とは境遇が異なる。途中バイクが1台壊れて、テンションだだ下がりでなんだか申し訳なくなった。しかし、今まで見たインドとは一味も二味も違う、まるい岩がゴロゴロしている不思議な光景が広がっている街だ。
宿に戻って洗濯をする。バックパックを洗浄するにあたり、レザーのファスナーの持ち手を外す。すると、ファスナーの持ち手の裏側に小さな南京虫がみっちり張り付いていた!恐怖。私はマイソールからハンピまで彼らを連れてきてしまっていたのだ。
南京虫は外の道路に擦り付けて落とし、持っているものすべて洗い日干しした。宿のスタッフには「一体何日洗濯していないの?!」と少し嫌な顔をされたが「南京虫を持ってきた」なんて言えず、すみませんという態度を見せた。ドミトリーには誰もいなかったので、殺虫スプレーを目いっぱいかけた。これで完全に戦いは終わったはずだ。
その日は観光はせずに、ハンピ・バザールと呼ばれるお土産屋さんが並ぶ場所を散策した。
ある1件の店で気になる服を見つけた。すると店員のおばさんが「ウゥーウゥーウゥーウゥー」と言っている。紙に何か書いて見せてきた。「300ルピー」と書いてある。彼女は言葉が話せなかった。それでも、それとこれとは別だと思って「200ルピー」と言ってみる。「250ルピー」と書いて見せてきた。サービスで体のラインに合わせて補正もしてくれると言う。(個人的にはダボっとした形が好きだが、インドでは体のラインに合わせたタイトなシルエットが良いとされている。)おばさんの一生懸命さに負けて、「250ルピー」で買うことにした。十分な安さなので…。
しかし、お金を払おうとしたら500ルピー札しかなかった。おばさんはお釣りがないと言う。おばさんは周りの商店の人に両替してという仕草を見せるが、周りの人は知らん顔。申し訳なく思った私は、何度か利用した商店でジュースを買い、500ルピーで支払ってお釣りをもらい、おばさんに洋服代を払った。どこのお店も自分の店のことで必死なのか、このおばさんのことが嫌いなのか、この様子は残念に思った。
夕方になり、夕日を見に小高い場所へ行った。しかし、曇が多く雨が降って来て、期待していた光景には出会えなかった。
宿へ戻ると、それまで3人だった日本人が大幅に増えて、宿は満室になった。「明日もし起きれたら、マータンガ山に朝日を見に行こう」という話になり、"1人で行くのが怖い"と思っていた私はホッとした。
なぜ怖かったと言うと、ガイドブックに書いてあったからだ。
一人歩きにご注意!
ハンピは周囲を自然に囲まれているので、寺院の間を歩いていると、人気がまったくなくなることもしばしば。(中略)マータンガ山に登る際には、日中でも注意が必要。
ハンピ2日目の朝、私は目覚ましとともにパチリと目を覚まし身支度をすませた。しかし、誰も一向に起きてこない。1人起こしに行くと「眠いからパス」と言われた。オーナーに「朝日に間に合わなくなるから1人で行ってくる」と伝え、マータンガ山に向かった。
(マイソールで会った女の子も1人でも大丈夫だったって言ってたからきっと大丈夫!)と自分に言い聞かせながら、たまにある矢印を目印に進んでいく。
私が頂上に着く頃には、朝日は登り始めていたが雲があってかすんでいた。しかしそこには、なんとも表現しがたい美しい風景が広がっていた。360度、丸い岩と遺跡がゴロゴロと転がっている。宿があるハンピ・バザール付近はザワザワしているが、この上はとても静かだった。みんなで来れなかったことを残念に思う反面、返って1人で良かったのかなとも感じた。この風景に癒され、1時間以上そこにいた。
マータンガ山から帰り、今日は郊外の遺跡を周る予定だ。
べルールで出会ったフランス人の女の子に「ハンピにすごくいいトゥクトゥクドライバーがいたよ。よかったら紹介するよ。」と言われていたが、歩いて回ろうかなと考えながらハンピ・バザールを歩いていた。すると私を呼ぶ声が聞こえた。振り向くと、トゥクトゥクドライバーの制服を着たインド人だった。どうやらフランス人の女の子が"そろそろハンピに着くはず"と連絡を入れていた模様。
「私は歩いて回るつもり」と伝えると、「そんなの無謀だよ。いくらなら乗る?」と言って来た。マイソールで会った日本人の女の子から相場は聞いていたので、それから100ルピーほど引いた金額で交渉。すると「分かった。それでいいから行こう。ただしフランス人の友達には言っちゃだめだよ、彼女はそれより高い金額で乗っているんだから」と言われた。
いざ出発!彼はシンプルな英語で分かりやすく寺院の説明をしてくれた。「君はインド2回目なのに、神様の名前も知らないのか?」とヒンドゥー教の神様の説明も丁寧に紙に書きながら教えてくれた。「ご飯はローカルな店で食べたい」と言えば、無料でご飯が食べられるヒンドゥー教の施設へ連れて行ってくれた。遺跡からなかなか戻って来ないときには、探しに来てくれた。(私はのんびり見ていただけなのだけど…)
コースを回り終えた後に彼は一言、「最初に払った金額は安すぎると思わないか」と言われた。確かに朝から夕方までの拘束時間と、彼の親切な案内では、その金額は安すぎた。値切った100ルピーをチップとして渡したら、彼は納得してくれた。歴史や宗教など難しいことはよく分からないけど、彼のおかげで楽しい時間が過ごせた。
ハンピ3日目。
今日はゆっくり起きて、ハンピバザール周辺の遺跡を歩いて回る予定だ。
アチュタラーヤ寺院に行った後、ヴィルーパークシャ寺院へ行く前にもう一度マータンガ山に登った。やっぱりここからの景色が好きだと思った。
訪れた旅人を魅了する街「ハンピ」。私もこの街の景色が大好きだった。
※2016年8月26日~28日 インド・ハンピ
「Over30女子バックパックでアジア周遊」
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