7thアルバムリリース
以前の記事で、ラフが進まないと唸っていたアルバムですが、
ようやく描き終え、リリースすることができました。
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今回のジャケット制作は非常に苦労しました。
はじめにオトから「"psytrance"のイメージで描いて欲しい」と依頼を受けたものの、全く知らないジャンルだし、調べてみても私の画風とは明らかに異なる。
そのため、どこから描き始めたら良いものか、誇張なしに何ヶ月も悩み、筆が進まず、それをnoteにも綴っていました。
上記の通り、私はラフまでは描いていました。
とりあえずブッダとか仏的なイメージでオトを座禅させ、柄をあしらう。
きっとこういう絵なら、その周りには、細かな模様が規則的に、周期的に配置されているだろう。
…という考えで描いてみたものの、端的にいうと技術的に苦手なジャンルの絵なので、これ以上が上手く描けない。
そういうわけで、オトはここから何ヶ月もの間、修行のごとく座禅をしたままの状態で止まっていたのです。
さて、それから進展があったのはここ数週間の出来事です。
もうどうにもならないので、オトに描かせることにしました。
オトは絵を描きません。
ですが、前に一緒に絵を描いてみたとき、興味深い絵を描いたのを思い出したのです。
絵の中では、幾何学的な物体がランダムに、時には整列して配置されている。
でも恐らく、本人の中ではなんらかの法則性があって、その形や並びは意図している。
目に見える物体でもなく、実在する物体でもない。
説明が難しいのですが、絵の描けない「一般人」が描く絵ではないと感じました。
(彼らは実在する動物や人間を描こうとしても奇妙な形になってしまったり、バランスが取れず謎の配置になっていたりする。)
オトの絵はそういうものではなかった。
そして、デッサンを学んだり、普段から絵を描いている人間でもこういう発想にはならないだろう。
これが精神障害の影響なのかわかりませんが、これは私には到底真似できないと思ったのです。
ジャケット制作が進まず、オトからはリリースを待ち望まれて切羽詰まっていたとき、そのことを思い出し、オトに提案しました。
もちろん清書は行うけど、ラフを手伝って欲しいと。
本人は最初は抵抗か恐縮か、乗り気ではないようでしたが、私が譲らないので、描くことになりました。
私の中でこれは大きな挑戦でもありました。
絵を描く側の人間が、描かない人間にラフを描いてもらうというのはなかなか無いこと。
今回のジャケットのテイストはオトの方がよくわかっているし、オトの描く絵は幾何学的で、ランダムで、規則的で、奇抜な配色も含め、ある種「狂っている」。
体系的にデザインを学び、整った絵を繰り返し真似をしながら画力を身につけてきた人間には到底作れないのだから、
オトの頭の中を取り出せばいい。
そういう気構えで、「座禅しているオト」だけを残して、自由に描いてもらいました。
それがこれです。
率直に、全くわからない。
オトはそんなに悩む様子もなく、ペンですらすら描いていました。
私は最終的に完成形に起こさないといけないので、途中途中で、「これは何をイメージして描いたのか」「ここはどういう形なのか」と質問をしていきました。
オトの中では適当ではなくやはり意味があるようで、迷いのない回答が返ってきます。
「この光は天啓を受けている」「これは波紋だからうねうねしている」「矢印は僕から出ている」
私が「目はあえて直線的にしているの?」と尋ねた時に、「え?そうだけど、目は普通そうでしょ?」と返されたときはかなり困惑しました。
私の認識では目は曲線ですし、そもそも自然界には直線は存在しません。
ますますよくわからなくなりそうでしたが、とりあえず理解するところまで質問を重ねて、無事描き終えました。
オトも最後は「これいいな」と満足げでした。
さて、日を改めて私の作業フェーズに戻ります。
オトの言葉を思い出しながら試行錯誤して、なんとか完成させました。
正直、これが「正解」なのかの判断すらできなかったので、不思議なことに「自分で作ったのに完成したのかわからない」状態でした。
オトに見せて、すぐにこれで良いとの返事があったので、この回答をもって、完成となりました。
試聴動画はこれから作ります。
わからないなりに模索しながら進めて、オトの頭を使うことで、少し自分の殻を破れた気がします。
とはいえ自分が描きたい絵を描く時にこのタッチで描くことは一生ないと思います。
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