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中古アップライトにしました

どんなピアノを買う?

まずは無理なく出せる大雑把な予算を決め、ピアノの相場を調べた。

中古のグランドピアノがギリギリ買える額ではあるが、選択肢はかなり狭まる。

予算内で新品も中古も両方選択肢に入ること、設置上の物理的な問題も考慮してアップライトに的を絞った。


「しげる」は下取り価格が期待できないのでそのまま手元に残し、音出しができない時間帯の練習に使う。

「しげる」が寿命を迎える頃には家族の状況も変わっているだろうし、その時に必要であれば後付で消音ユニットをつけよう。

購入時は消音機能は必要ないので、その分本体に予算を回せる。


まず最初にYAMAHAとKAWAIのホームページから新品のアップライトをチェック、気になるものをピックアップしたら全て予算オーバー。

予算アップも検討したが、その金額を出すなら中古のグランドピアノが余裕で買える。

正直、置き場所はあるのでグランドピアノでも構わない。

「ピアノ買う熱」が高まりすぎて金銭感覚が少しずつ狂い、冷静な判断ができなくなっていくことに不安を感じた。

自分のお金だけど、たかが趣味のためにこんなに使っていいものか?

毎日弾けないかも知れないとわかっているのに、グランドピアノで一部屋潰してもいいのか?

そもそも、いつまでピアノを続けるつもりなのか?

買うと決めてからも躊躇し、自問自答した。


気になるピアノはどれもサイズの大きなもの、ハンマーや弦によりよい加工が施されているものだった。

しかし、予算を上げてまで買おうという決心がつかない。

そのうち飽きてしまうのではないかという自分自身への疑念も捨てられなかった。


上を見てもキリがない。

気になる仕様を取り入れ、最初に決めた予算でおさまるような中古のアップライトを探すことにした。



X支柱モデルが気になる

楽器店のYou Tubeを以前からよく見ているが、中でもダントツのお気に入りは長野県のサンピアンさん。

この動画を見てX支柱モデルに興味が出た。

YAMAHAが80~90年代までワンランク上の仕様として生産したベストセラーで耐久性も魅力。

現在は製造されていない希少モデルだが、その中から

  • トーンエスケープ

  • 大型譜面台

を絶対条件として探すことにした。

希望機種はUX300またはUX30A、もちろん予算内に十分おさまる。



外堀から埋めるスタイル

希望機種を絞ったため、すぐに欲しいピアノが見つかるとは限らない。

アップライトピアノに必要な備品を少しずつ調べ、出費総額を試算していたが、値上げ予定の文字を見ると動揺した。

数万円単位で値上げされるものもあったため、本当に必要かどうかもわからないままにピアノライト防音カーペット遮音マット除加湿機能付き空気清浄機耐震インシュレーター吸音パネルを本体を決める前に購入した。

調子に乗っていろいろ買ったら総額がかなりの金額になってしまった。

はたして、これらの購入費は予算に含むのか、否か?

そもそも予算には消費税額を含むのか、否か?



地元の楽器店へ

ネットでピアノを購入できる時代だが、地元の楽器店で買うことに決め、希望条件に近いピアノが入荷したら連絡してもらえるようお願いした。

先日、同級生が社長に就任したYAMAHA系で工房もある楽器店。

購入後の調律はもちろん、メンテナンスも安心してまかせられる。


店舗にあった新品アップライト、グランドピアノ、中古ピアノ15台ほどを順番に説明を受けながら試弾した。

新品も中古も価格帯が上がると、低音の豊かさや音の伸びが良くなっている気がした。

私見だが、中古ピアノのほうが一台一台、個性がはっきりしているように感じた。

とあるyoutube動画で「新品ピアノはゼロからの子育て、中古ピアノは大恋愛」というフレーズを見たが、まさにそれを実感した。



古くて大きい「ざきやま」

紹介されたのは1983年製のUX5、想定していたよりも少し古い年式だ。


練習中のソナチネ6番を弾き始めると音が溢れるように飛び出してきた。

豊かな音色が工房内に広がり、ピアノ本体のパワーを強く感じた。

まるで「自分はよいピアノだ」と自己主張するかのように鳴っている。

強弱の変化もつけやすく、弾いているうちに「いい!これいい!」「これだ!」と感じた。


その後、さらに高額なピアノも弾いたが、私はUX5の音が断然気に入った。

年式が古いため少しレトロなデザイン、演奏している手元がスライド式の鍵盤蓋に映るのもよい。


これにしよう、これに決めた!!

なんにでも名前をつける私は、このピアノを「ざきやま」と呼ぶことにした。

zakiさんのYAMAHA、zakiYAMA(HA)。

2023年3月25日、我が家にお迎えしました。



(余談)

ピアノは「商談中」となり、後日、搬入の現地調査が行われて支払総額が確定した。

最終契約と支払いに出かける前日に、楽器店のホームページで別の支店に当初希望していたUX300が入荷したことを知った。

マホガニーの縁取りがある大型譜面台のデザインが素敵で、年式も13年くらい新しい。

この2年半で、5つある支店の中古ピアノ情報にUX300が掲載されたのはわずかに2台だ。

中古の卸売業者から仕入れることはせず、自社で買い取ったピアノを自社で整備して販売しているので、どの機種がいつ入るのかは予測ができない。

我が家から車で1時間ちょっと走ったところにある店舗だが、仕事が繁忙期のため指弾に行く時間が取れなかった。

比較できるなら契約前にきちんと比較して、迷いなく契約したかった。

正直、とても迷ったが「ざきやま」に感じたビビビを信じ、そのまま契約した。

今はこれでよかったと納得している。


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