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howmilesaway 8

  特に、歴史の本に登場する現実世界のいろんな場所に私は魅了された。この世界には本当にたくさんの国が、街があって、それは物語に登場するものに負けず劣らずユニークだ。私してその世界のいろんな場所に、私とは違う見た目の、私とは違うものを着たり食べたりするいろんな人たちが暮らしている。私はすっかり夢中になった。いろんな場所に行って、自分の目でいろんなものを見てみたい、そう思った。そして前言ったのと同じように、ママに言った。

「ママ、私いろんな国に行ってみたいの。この街の外にあるいろんなものを見てみたい」

それを聞いたママは、ひどく慌てたみたいだった。

「ねえリリー、リリーは将来この街のために働きたいんでしょう?そうだったわよね?だったら他の場所なんて見てもあんまり意味はないのよ、そういうことを考えるのはやめなさい」

  そうしてママは、私がよく眺めていた世界の地図帳を全てどこかにしまい込んでしまった。私に残されたのはママが読むのを許してくれた本と、あとは教科書だけ。だから私は、学校の図書館でそういう本をこっそりいっぱい読んだ。ママがあんまりいい顔しないような、外の世界についての本。そういう本をたくさん読んでいくうちに、ママがなんて言おうと、私は絶対にこの街を出るんだ、って思うようになった。ママが言うように、この街のために働くってことも素晴らしいことなのかもしれない、でも、その前に世界を見てみなきゃ、絶対この街の外に行ってやらなくちゃ。幼い私はそう決心した。

 そして私は家の本棚に置いてあったこの街のガイドブックに、この街を含めた近隣地域の地図が載っていることに気がついた。隣街への行き方、交通手段なんかも描いてある。この地図はいつか私がこの街を出るときの役に立つかもしれない、そう思ってその地図の部分だけこっそりはさみで切り取ってしまった。その本はほこりを被っていたから、ママもパパも絶対に気がつかないだろうと思ったからだった。

 大きくなった私は、その地図を愛用のブラウンジャケットのポケットに縫い付けた。誰にも見つからないし、絶対になくさない場所だ。

 ママの「この街」傾向は、私が大きくなるにつれてどんどんひどくなっていった。議会委員になってからは特に。私は昔から勉強が好きだったから(外の世界を知れるから)成績が良くて、この街の人はよくそれを褒めてくれた。そしたらママは大抵「そうそう、この子はこの街を将来よくするためにとっても頑張って勉強してるんですよ」って笑っていた。私はそれがすごく嫌で、この街を出て外の世界を見たいってことはママには絶対言ったらいけないって思った。私はママに内緒でこっそり計画を立てた。ハイスクールに通いながらパートタイムをしてお金貯めて、卒業して十八になったら、私はこの街を飛び出そうっていう計画。具体的なことはあんまり決めてなかった。ただとにかくこの街を出て、外の世界が見たかった。一通り旅をして満足したらこの街に戻って働いてもいいし、どこかいい街を見つけたらそこで暮らすのもいいんじゃないかなって思ったりした。

 十八。これがタイムリミットで、私が動き出すとき。ずっと十八歳を心待ちにして、色々準備してきた。お金も貯まったし、学校の図書館で色々なことを調べた。もういつでも出発できる、あとはハイスクールを卒業するだけだった。

 だけど十七のとき、私は彼に出会ってしまった。それが私の計画を狂わせた。私は今十九だ。そして今もまだこの街に暮らしている。

 

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