笑う男 #037

衛藤さん出演のミュージカル「笑う男~Eternal Love~」大阪公演を観てきたので感じたことをメモ程度に。大千穐楽を迎えたので、このタイミングで公開します。

あらすじをざっくり言うと、コンプラチコにより口に傷を作られ化け物扱いされる運命となったグウィンプレンが雪の中でデアを拾い、助けを求めた先の貧民ウルシュスと共に過ごし成長する。2人が出たお芝居を見たジョシアナ公爵はグウィンプレンに惹かれ、グウィンプレンを宮殿に呼ぶ。その間にムーア卿にデアが襲われ、グウィンプレンは自らの行動を謝ると共に2人1緒にいることを誓う。しかしグウィンプレンは連れていかれてしまい2人は切り裂かれる。実はグウィンプレンは貴族の血筋で、ムーア卿の陰謀により誘拐されコンプラチコに売り飛ばされ、口に傷を作られたのだ。女王の宣告によりジョシアナ公爵と結婚し、富を手にするも、貴族院で貴族に失望し、デアと一緒にいることを望んで全てを捨ててデアの元へ戻る。グウィンプレンが連れて行かれたあとデアやウルシュス達はグウィンプレンは死んだと告げられており、デアもグウィンプレンの死を運命として受け入れようとしていたが、無事再会を果たす。しかしデアはその後息を引き取ってしまう。次の世界で、2人は幸せに、永遠に一緒に・・・

みたいな感じです。この終わり方、僕は好きでした。

・相反する要素

この舞台では数々の相反する要素が出てきました。
・笑う男⇔泣かない男
・笑う⇔実際は口の傷だけで「笑っていない」
・貴族⇔貧民
・健常(「見える」)⇔盲目(「見えない」)
・笑う男⇔笑われる男
・グウィンプレンが「化け物」⇔貴族(ムーア卿)が「化け物」
・泣かない男⇔死で「泣く」
・グウィンプレンは「生きていた」⇔その後デアは「死んでしまった」
など・・・

この中で「見える」⇔「見えない」にフォーカスしてお手紙を書きましたが、衛藤さんは理解していないと思います()何故なら正解のない問いだから。全てが「見える」のは幸せなのか、部分的に都合のいい部分が「見える」、つまり一部が「見えない」ということももしかすると幸せなことなのかもしれないのではないか、とかね。アイドルなり芸能人は我々にとって全て「見える」ではなく一部分だけ「見える」状態であり、だからこそ気持ちよく応援を出来るのではないか、全てが見えてしまうと見たくない部分まで目に入ってしまう可能性もある、とか。握手会ビジネスとか劇場公演とかはその「見える」範囲を拡げたツールであることは疑いの余地が無いですが。

主要キャストさんについて。浦井さんは声の質がめちゃくちゃ僕好みでした。1幕ラストの歌い上げと、貴族院のシーンでのスイッチの入った感じの歌い上げがとても印象的でした。出待ちで握手してもらったけど、マジでイケメン。まさに貴公子。衛藤さんは歌声がかなり安定していたのと、ハンディキャップを持った弱さもある女性を上手く演じていたなと思います。大橋くんは声がすごく出ていたので、凄いなと。この3人がカテコでわちゃわちゃして出てきたり、千穐楽では「大阪めっちゃ好きやねん」と一緒に言ったり、ほっこりしましたね(笑)
朝夏さんは難しい境遇ですが重要な役割をしっかり演じられていたなと。ジョシアナっていう響きで役名はすぐ覚えました(笑)出待ちでの姿と舞台上の姿のギャップよ。ファンの方の誕生日を覚えていたっぽいやり取りが聞こえてきて、すげえなと思いました。
山口さん、彼の凄みを見せる音域が今回は多く圧巻でした。強さと弱さ(特に泣くシーン)の演じ分けが素晴らしかったです。宮原さんはムーア卿の愚かさとか憎たらしさを上手く演じられていて、石川さんはフェドロの黒幕感をより引き出していました。

全国公演で、素晴らしいキャストさんからも得た経験値を、また次の機会があれば存分に生かして欲しいです。女優・衛藤美彩としての卒業後の初仕事、本当にお疲れ様でした!

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