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人生で大切なことはすべて進撃の巨人に学んだ

2021年4月9日発売の別冊少年マガジンで、11年に及ぶ連載が終了すると公式に発表されました。
ここ2年ぐらい終わる終わると言われていましたが、いざ実際に終わるとなるとなんとも言えない焦燥感に追われます。なぜならタイトルの通り、「人生で大切なことはすべて進撃の巨人に学んだ」から。それぐらい歴史に残る名作と言って間違いないこの作品を布教したい、十分売れているとはいえ改めてその素晴らしさを読み返してほしい、何より妻に興味持ってほしいと思い、この連載を始めます。

主にふたつの方向性で解説していきたい

まず一つ目はキャラクターについて掘り下げます。進撃の巨人の最も推すべき要素は、愛らしいキャラクター。個性豊かな彼らがのびのびと主張をし、ぶつけ合う様と、魅力あるキャラクターすらあっさりと死んでいく残酷さがこの物語に深みを増していることは間違いないでしょう。仲間たちは作中ではあっさりと死んでいってしまいますが、その存在は我々読者にも、生き残ったキャラクターにも深く突き刺さります。例えば3巻で描かれる同期の死は、最終巻ひとつ前の33巻まで強く刻み込まれ、その原因についてもしっかりと掘り下げられています。巨人に食われる恐れのある世界というたったひとつの設定を形づけること以上に、その魅力的なキャラクターの描かれ方がとても人間らしいことが、生き死にを実感できない現代の我々に深く刺さるのです。

一人目はアルミン・アルレルトについて語ります。

現世と同じ合理的な世界観

作中で描かれている登場人物が人間なのに、異世界に転生したわけでもなく魔法のようなことが出来たり、斉木楠雄が記憶を書き換えたわけでもないのに、不自然な設定を強引にいくつも後付けされると興ざめします。しかし巨人でいえば質量のわりに軽いことや巨人の弱点がうなじにあることなど、作中でキャラクターが分析するシーンが描かれます。現代の物理学では証明できない難問に2巻からずっとぶち当たるわけですが(世界は壁に囲まれてますからね)、諫山先生が「エンディングを想定して書き始めた」ことを裏付けるように、現代物理学の延長線上で説明がつくようにストーリーが紡がれていきます。・・・一部多少の強引さは否めませんが、ファンタジーなのでと片づけてしまうのはもったいない。テレパシーも4次元も我々には実感がないだけで、証明のできない不思議な現象は世の中にあふれているのですから、漫画だからこそできる表現は想像力を大いに豊かにさせますし、ほかにも重要なメッセージがたくさんあります。
シリーズでは現代の学問に照らし合わせながら解説していきます。

組織の仕組みと腐敗、トップの役割、民族間の争い、人種差別、陽動と扇動、テクノロジーの発展など、近現代の歴史と文化の成り立ちや、現存する社会問題に切り込んだ物語が描かれています。何よりも世の中にはわからないことが多い、だから壁の外の巨人に挑戦する探究心に日本人は心を打たれます。
社会問題の基本が、テレビやネットで垂れ流しされる情報や、個人的な推論ばかりで役に立たない新書の類を読み漁るより、この1作品で学べることの多いことを知って欲しいです。

ということで近現代の社会問題と進撃の世界の対比についてここで語っていきたいと思います。

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