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【カラマーゾフの兄弟 読破の道_7】アリョーシャ的人生

8/2(金)

 仕事終わりに同僚の家にみんなで集まって、オリンピック観戦飲み会をした。人が集まりすぎて5人くらい立ちっぱだったし、画面があまり見えなかったが、スポーツ関連の様々な単語を学べた。

輕艇qīng tǐng:カヌー
馬術mǎ shù:馬術(そのままだ)
拳擊quán jí:ボクシング
金牌jīn pái:金メダル
決賽/準決賽/半準決賽:決勝/準決勝/準々決勝
などなど。

 みんながチャイニーズタイペイ(中国との関係で台湾という名前で出られないらしい)チームを熱を込めて応援する中、いまいち入り込めずに見ていた。そもそもスポーツにあまり興味がないこともあるけれど、やっぱり僕は台湾人ではないんだな〜と思った。日本人が出てくるたびに、「おいアツヤ!日本だぞ!」って言われて、なんかこれどこかで覚えがあるな、と思ったら、台湾に行くことが決まっていたけれどコロナで行くことができず、実家で暮らしていたときに、テレビで台湾関連のニュースが流れるたびに父親が、「おいアツヤ!台湾だぞ!」と言ってきたのに似ている。みんな、僕に台湾のことと日本のことを教えてくれてありがとう。

 気づけば8月になってしまった。

8/3(土)

 ネットの友達が、「人の要求に自分を合わせてしまうことが悩み。例えば、バイト先のお局様が自分と一緒に帰りたがってるから、自分はあまり一緒に帰りたくないんだけれど、待ってあげてしまう、みたいな。」という話をしていて、随分大変な性格をしているなあと同情した。「自分は好きな人だけにそうしています。」と返したら、「嫌いな人なんていない。誰でもいい部分があるから、表面的に見ないようにしている。」と言っていた。それを聞いて、僕はアリョーシャのことを思い出した。聖人みたいなことを言う人間だ。

 「今、カラマーゾフの兄弟を読んでるんだけれど、三男アリョーシャという登場人物が、あなたにすごく似ている気がします。」と言ったら、「じゃあその人って、人に振り回されて、疲れ果てて、幸薄そうな顔をしていますか?」ときた。まるでカラ兄を読んだことがあるかのようなコメントにびっくりした。もちろん、若きイケメンであるアリョーシャは疲れ果てても幸薄くもないのだけれど、彼の振り回され具合には目を見張る。RPGの主人公かのようにお使いを頼まれて、それを全て引き受けていくだけでなく、自ら首を突っ込んで、中学生に指を噛まれる大怪我などをしたりしている。

 今週読んだ中では、アリョーシャが人を怒らせる二つの場面が印象に残った。一つは、アリョーシャの指摘がきっかけとなって、兄イワンがカテリーナと決別する場面。また一つは、貧しい二等大尉にカテリーナからのお金を渡そうとする場面。

カテリーナ・イワーノヴナは一度だって僕を愛したことなんぞないんだ!僕が自分の愛情をただの一言も決して口にしなかったとはいえ、この人を愛していることは、最初からずっと知っていたのさ。知ってはいたが、僕を愛してはくれなかった。僕がその人の親友だったことも、やはり一度だってありゃしない。プライドの高い女性は僕の友情なんぞ必要としなかったからね。

「第二部、第四編、第五章:客間での病的な興奮」より

一家の恥とひきかえにあなたのお金を受けとったりしたら、うちの坊主に何と言えばいいのです?

「第二部、第四編、第七章:すがすがしい大気のなかでも」より

 どちらも、人の感情や言動を適当に流そうとせずに、真実を突き詰めようとしたから起こったことであり、これはアリョーシャにしかできないことだと思う。人の触れられたくない部分に敢えて(もちろん本人も逡巡はしているが、結果的に)手を突っ込み、日に当てようとする。すると、今まで抑えていた感情が大きく揺れ動く。そういう点で、主人公としての魅力は計り知れない。

 こういう点でも、そのネットの友達に、すごく似ている気がする。よりにもよって、1ページ目で「悲劇的に」死ぬことが予告されている登場人物(参照:カラマーゾフの兄弟 読破の道_1)に、似ているなどと言ってしまってよかったのだろうか。友達が悲劇的に死なないことを願う。

進捗

上巻:■■■■■■■■□□ 82%
中巻:□□□□□□□□□□ 0%
下巻:□□□□□□□□□□ 0%

カラ兄読破まで、あと72.7%

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