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江之浦奇譚
いつも次から次へと書きたいことを書いて、ダラダラ長い文章になってしまうので、今回はなるべく簡潔に読みやすさを目指して。
先月、小田原にある「江之浦測候所」を訪れた。
ここは現代美術家の杉本博司氏の頭の中の夢想を形にした巨大な作品の様なものだと思う。
江之浦測候所の敷地内には様々な由縁のある礎石や石塔、瓦に明月門などが、絶妙に配置されている。
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その空間はただ単に建造物や古美術を見せる美術館ではなく、周囲の環境、特に目の前に広がる相模湾を主役にした地球規模の動きを見せてくれる。
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この地について作者本人によって書かれたのが「江之浦奇譚」である。
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文を書くのが物凄く上手いので、とても読みやすく、広く深い知識と長年の経験により培われた感性が随所から感じられ、久々に読みながら感動を覚えた。
読了後に特に印象に残っていたのは、大和盆地での石集めの光景、元興寺五重塔の礎石に関するやり取りや九段下会館屋上の社殿を破壊されたときの作者の心情である。
冷静な文章であるが、そこには凄まじいまでの怒りも感じ取ることができた。