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【ベガルタ仙台 選手採点】2023明治安田生命J2 第15節 モンテディオ山形

今節はJリーグ30周年記念ウィークと題して、各地で記念試合やらダービーやらが開催されていました。
年に1回はこういうJリーグの祭り的なものもあっていいですね。

日ごろJリーグに接点がない方に届けるためには、こういうわかりやすいテーマ設定はメディア露出も増えるし、必要だと思います。
Jリーグの発信力は、以前と比べれば減ってきてしまっているでしょうし。

われらがベガルタ仙台はお隣のモンテディオ山形との試合です。
いわゆる「みちのくダービー」なのですが、昨シーズンから仙台は山形との試合を「みちのくダービー」と呼ばなくなってしまったんですよね。
個人的には、山形との試合はどんどん盛り上げていってほしいので「みちのくダービー復活」を希望しているんですけどね。
なにか呼ばなくなった事情でもあるでしょうか。

秋田や盛岡をはじめとして、東北にJリーグチームは増えましたが、過去の歴史を踏まえていくとダービーと呼べるだけの一戦は山形だけなんでもったいないですね。
選手やサポーターは「ダービーマッチ」と捉えているのに、チームだけが意識が違うっていうのも変だしな。
次に戦うときは「みちのくダービー」が復活していると期待しています。

前置きが長くなってしまいましたが、試合を振り返りましょう。
今節は前節と比べてルンルン気分で書いてます。
それではどうぞ

スタメン

ベガルタ仙台

内容も結果も散々だった前節の水戸戦のメンバーからは5人を入れ替え。
内田と真瀬の両SBがスタメンに復帰。
第8節の甲府戦から続いていたCB 4人で構成する最終ラインではなく、サイドバックを本職をする選手を起用となりました。
それに伴い、センターバックは菅田と小出が久しぶりにコンビ結成です。

中盤~前線では前節、ベンチだったエヴェルトンと相良、山田がスタメン復帰。
前節は交代で入った選手が連動した動きをすることで、ボールが動き始めたことを考えると、この起用は納得です。
そして、ベンチにはダービーを良く知る男、梁勇基も控えます。

ディフェンスラインが下がりすぎて、ボール運びもスムーズにできなかった前節からどう立て直しを図るかが、攻守のカギとなります。

モンテディオ山形

開幕2連勝といいスタートを切りながら、第3節から8連敗。
クラモフスキー監督も第7節で解任、その後、渡邉晋監督が就任するも2勝1分4敗と低迷を脱しきれない印象。
それでも前節の藤枝戦では前半で2失点を喫しながら、後半に3点を取り返して逆転勝利。この勝利でホーム初勝利となり、いい勝ち方でダービーを迎えます。

スタメンは3人を入れ替え。
GK 後藤、MF 田中渉、FW チアゴアウベスがスタメン復帰。
注目は古巣対決になる田中渉。
仙台在籍時はまだ若さ溢れるという感じですが、山口でのレンタル修行を経て、自信をみなぎるプレーやいい意味でふてぶてしさも加わりました。恩返し弾を食らわないようにしっかり抑えたいですね。

あとは両サイドにはスピードのあるイサカ・ゼインと加藤が起用。イサカ・ゼインのスピードは去年かなりやられたので要警戒です。
そしてダービーを良く知る男、山田拓巳も右サイドバックでスタメンです。

山形を率いる渡邉晋監督には色々な思いもあり、例年以上にユアスタで行われるこのダービーでは負けは許されないという条件が整った中での一戦。
勝つしか北斎の一戦となりました。

前半

試合前のコイントスで、山形が陣地を変更。ユアスタの圧を十二分にわかっている敵将の指示でしょうか。

仙台は守備と攻撃時は可変式を取りましたが、その中でも両サイドバックパフォーマンスが良かった。
内田は最終ラインで安定したボール回し持ち出し、真瀬はボールを受けてからもドリブル突破で相手陣地に侵入という前節では見られなかったビルドアップの改善があり、ボールが回ります。
それに氣田と郷家がサポートする動きで連動。効率的な運び方でゴールに迫ります。

また守備でも前線からプレスをかけ山形のビルドアップを制限して、ボールを奪取。そこからショートカウンターでゴールに迫ります。
攻撃でも守備でも連動した動きを見せた仙台が試合の主導権を握ります。

いい守備からいい攻撃へ、という流れの中で先制ゴールも生み出されました。
前線からのプレスで山形のビルドアップをサイドへ誘導。そこに鎌田と郷家が2人でプレッシャーをかけることで、ボールを奪取し、カウンター攻撃へ。
エリア内に侵入した鎌田が相手の動きをよく見て、氣田へラストパス。氣田が冷静にシュートを流し込みゴール!先制!1-0!

リード後も運動量を落とすことなく、戦い方を継続して、そのまま前半終了。
仙台のピンチは前半12分の田中渉のカットインからゴールに迫ったぐらい。主導権を渡さず、1点をリードするという理想的な展開で前半を追り返します。

後半

山形は山田に代えて小西が登場。
中盤の構成を変えることで、仙台のプレスを回避。山形もボールが回り始める。
仙台はブロックを組み、守備の形を整えることを選択。
前半のような高い位置からのショートカウンターで攻撃というのは減ったが、リードしているため失点をしないように戦うことは理にかなっていた。
山形にボールを握られる時間は増えたが、崩されているわけではないので決定機を作られることは少なかった。

試合が動いたのは仙台の内田が足を攣ってしまい、交代で秋山が入ってから。
その前に山形もサイドのイサカ・ゼインに代わり横山が投入。
内田がイサカ・ゼインを抑え込んでいたことで山形のサイド攻撃はそこまで脅威はなかったが、この交代を契機に流れが一気に変わった。

守備の対応が不安な秋山をスピードのある横山がガンガン攻めることで、サイドの主導権を取る山形が息を吹き返す。
これは崩壊するのが先か、タイムアップの笛が先か、時間との勝負になるなと思った84分に失点を喫してしまう。
左サイドを数回突つかれ、マークの受け綿によって、エアポケットのようにスペースが生まれる。フリーでボールを持った小西が中央にクロスを上げて藤本がオーバーヘッドでゴール!失点。1‐1。
ゴールまでの一連の流れはきれいだったが、内田が持ちこたえていた左サイドがら失点を許してしまったのは切ないものだった。

この失点でチーム全体に焦りの色が見え始めた仙台。
ホームでこのままでは終われない、という思いで気が逸やってしまったのか攻撃が雑になり、ボールロストを繰り返す。
逆に追いついた山形も逆転に向けてカウンターを仕掛けるが力が入ってしまったこともありシュートは枠に飛ばない。

ここで仙台ベンチは梁を投入。
この男の投入が大きかった。
投入された時間もあり、ボールに触る回数は多くなかったがボールを落ち着かせることで、前に早かった仙台の攻撃に再びテンポが生まれ出す。
仙台はアディショナルタイムに入ってから、中島・フォギーニョがゴール前で絶好機を作るがこちらも力んでしまい、枠をとらえれない。
特にフォギーニョのシーンは決まったと思ったが、右足で振りぬいたシュートは明後日の方向に飛んでいったシーンは思わず声が出てしまった。

そしてこの流れのまま、最後に劇的ゴールを生み出す。
中盤でボールを奪った仙台は、エヴェルトンが右サイドの真瀬にパスを送る。
真瀬はサイドで巧みなドリブル裁きを見せて、3人を抜いて中央にパス。
そのパスを受けた中島が狙いすました左足でゴールに叩き込みゴール!逆転!2‐1!

アディショナルタイム6分での出来事。ユアスタが爆発しないわけがない。
この前にシュートを2本外している中島が3度目の正直でゴールに叩き込んだのもよかったですが、真瀬のダブルタッチで相手をかわしていく様もかっこよかった。

そのまま試合終了。2‐1!
みちのくダービーは仙台の勝利で幕を閉じた。

選手採点

決勝ゴールをあげた中島と悩んだが、そのゴールをおぜん立てして、守備でも完璧な対応を見せた真瀬がMOM。

GK 33 林 彰洋 5.5
キャッチングでのミスもあり、やや不安定だった

DF 25 真瀬 拓海 7.5
負傷明けとは思えないパフォーマンスで勝利を手繰り寄せてくれて

DF 22 小出 悠太 6.0
サイドよりもセンターバックのほうが持ち味が出る

DF 15 菅田 真啓 6.0
前節の反省を生かしたラインコントロールで守備を牽引

DF 41 内田 裕斗(73'OUT) 6.5
攻守で潤滑油となるような働きで存在感を見せた

MF 6 エヴェルトン 6.0
守備で軽いところはあったがセカンドボールを回収し続けた

MF 32 鎌田 大夢 6.5
先制点に繋がるプレスやアシストなど、ゴールに繋がる結果が出たのは大きい

MF 11 郷家 友太(78'OUT) 5.5
目立たなかったが、真瀬を上げるようなポジションを取りサイドを活性化させてた

MF 14 相良 竜之介(78'OUT) 5.5
サイドを突破するドリブル回数が増えて、相手に怖さを見せつけた

FW 13 山田 寛人(73'OUT) 5.5
ストライカーとしては物足りなかったが、守備でチームに貢献

FW 18 氣田 亮真(88'OUT) 6.5
切れのある動きで相手を翻弄。貴重な先制点を奪った
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FW 9 中山 仁斗(73'IN) 5.5
周囲を活かすポストプレーに徹していた

MF 2 秋山 陽介(73'IN) 5.0
登場後、ウィークポイントとなってしまった

FW 7 中島 元彦(78'IN) 7.0
値千金の決勝ゴールがすべて。

MF 35 フォギーニョ(78'IN) 5.5
アディショナルタイムの絶好機は決めておきたかった

MF 10 梁 勇基(88'IN) 評価できず

監督 伊藤 彰 6.5
ダービーで貴重な勝利。梁の投入でチームを落ち着かせるなど采配も光った

あとがき

ワーストの内容だった前節から見事な立て直し。
相手の渡邉晋監督との戦略家対決で勝利を挙げた。

おそらく山形は4CBでの最終ラインと読んでいたはず。
その裏をかいて真瀬と内田をこのタイミングで復帰させたのは伊藤監督の作戦勝ちだった。

中島のインタビューでもあったが、ダービーは勝手なんぼ。
今回は終了間際の逆転ゴールでユアスタが揺れるのは必然。
15,000人以上の観衆が入ったユアスタのボルテージが最高潮になった中島の逆転ゴールは何度見ても痺れる。
こういうのが見たいんだよ。
こういう勝ち方は勢いがつくよ。絶対。

そうなってくると、大事なのは次の熊本戦。
連戦のアウェイと厳しい環境下だが、今季初の連勝を飾って上位チームの追撃態勢を取っていきたい。

フォルツァ、仙台!
いつだってサポーターが求めるものは勝ち点3だ!

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