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『天使の翼』第12章(35)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
一息ついたわたしは、改めて暗視ゴーグルをかけ、行く手を睨み据えた。
聳え立つ連山の、ちょうどコルに当たる部分から突き出た形の支脈は、一本一本の木が見分けられる程で、もう眼前と言っても良かったが、あいにくゴツゴツの岩場を突っ切って行かなくてはならない……怪我をしないようにしなくては……他に手はなさそうだ……
これは相当体力を消耗するなと覚悟したわたしは、ここで、乾パンに干し肉、野菜の缶詰といったフルコースを水で胃に流し込み、暗闇の中一人寂しくディナーを頂いた。
結局、足場の悪い岩場を登ったり下りたりするのは、特にたくさんの荷物を抱え込んだわたしにとって、大変な重労働で、ようやく支脈の麓に辿り着いた時には、夜半を回っていた。……唯一の救いは、夜になってどんどん寒くなってくるのを、ほとんど意識しないで済んだこと……