『ミクロ紅葉』のすすめ
秋の深まり行く今日この頃、私が自然の撮影によく訪れる白金台の国立科学博物館附属自然教育園も紅葉の季節となった。花や虫、鳥といった題材と同様、無心になってこれはと思う被写体に向けシャッターを切っていたのだが、ふと気付いた事がある。普段、昆虫や花々をアップで捉えることの多い私の紅葉撮影は、マクロに紅葉を遠くから、あるいは木全体として捉えるのではなく、もっとミクロに葉と葉の重なりを捉えるような構図になっていたのだ。
そうなると、勢い下から上を見上げるような姿勢になり、無数の葉を通して差してくる太陽の光、木漏れ日をも捉える形になる。ただし、ここで言う『木漏れ日』とは、前に「随想自然第3話『KOMOREBI』~表意文字としての日本語~」でも触れたように、樹々の葉や葉の間を通して差してくる光の束そのものであったり、光が林床や地面に描く模様であったり、逆に下から上を見上げた時に無数の葉を透かして緑のグラデーションを描く光の様子であったりと幅広く解釈している。
私は、これも、ミクロな紅葉と木漏れ日の組み合わせもなかなかいいなと思い始めており、例えば水面に映った紅葉(#水面紅葉)などと並んで一つのカテゴリーになるのではと考え、勝手に『#ミクロ紅葉』と名付けることにした。
今回はその第一弾として、本稿冒頭のアカシデのミクロ紅葉も含め11葉の写真をアップすることにする。都心の紅葉はまだ始まったばかりなので、とても淡い初期段階の紅葉も含んでいる。
白金の森には多様な樹々が生えており、また紅葉は時間とともに進行する。これからが楽しみだ。
【以上、『随想自然』第19話】
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