aiboの経験の計り知れない価値
今年1月11日のaibo発売、何となく聞き流してしまっていましたが、この記事を読んで、その画期的なことが良く分かりました。マスコミでは、12年振りのアイボ復活、などという表現で紹介されていましたが、aiboは、復活ではなくて、全く新しい戦略商品です。
ロボットの構成要素を大雑把に頭脳・感覚・体と捉えた時、それぞれに対応する技術が、AI・センシング・ロボティクスですが、ソニーは、それぞれの分野について最先端の独自技術を使ってaiboを作っています。それはそれで、この12年の間に進化した技術が惜しみなく投入されているという事なのですが、一番の注目点は、aiboの頭脳AIの構成とその活用法にあるという事が、この記事から分かりました。
aiboの頭脳には、まず、本体のAIとそれに対応したクラウドAIで構成されるPersonal AIがあって、オーナーそれぞれのaiboの個性が成長していくのですが、さらに、Common AIがあって、オーナーの同意を前提に、各オーナーのクラウドAIからデータを収集、学習して進化していくようになっています。つまり、実際には各家庭にあるaiboが一か所に集合して情報交換することなどありえませんが、クラウド上でそれが実現して、人間社会で集合知が活用されるように、個々のaiboがさらに成長していける基盤ができています。aiboは、単に個々の家庭の中での体験をもとに成長していくのではなくて、他の多くのaiboの経験から得られた集合知をも吸収して成長していけるということです。
そして、最大のポイントは、このaiboの経験というデータが、記事にもある通り、『個人に寄り添ったデータ』であり、『ペットや家族にしか見せないユーザーの素の姿』といったAIにとって最もデータの不足している分野をカバーしていることなのです。AIの精度はデータの質によって決まりますから、今まで不足していた収集困難だったデータを獲得するという事は、戦略的に極めて重要なことに違いありません。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26172350W8A120C1000000/
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