『レシート』情報のポテンシャルと限界~レシートのデジタル化とは~
日経電子版の記事【捨てるレシート、実はお宝 企業驚く買い方「発掘」】は、うっかりすると捨ててしまうレシートが持つデータとしての価値についてリポートしたものです。
確かに、レシートのデータとしての価値、レシートから読み取れることは、非常に大きいと思います。
例えば、冬の鍋の時期に、とあるスーパーの青果売場で、ピークタイムの17時頃、白菜が品切れしてしまったとします。それが、どのようにレシートに表れるか?――POSデータを見れば、17時までのレシートでは、白菜をはじめとして、春菊・長ネギ・シイタケ・えのきだけ・焼き豆腐・しらたき・鍋用の肉類など、様々な鍋商材が組み合わさって購入されている事が分かるはずです。そして、白菜の品切れした17時以降は、青果売場だけでなくデイリー食品売場・精肉売場・鮮魚売場・加工食品と、あらゆる売場の鍋商材の売れ行きが激減している事が分かるでしょう。――鍋に欠かせない白菜の品切れが、顧客に鍋を食べるという選択を断念させ(あるいは、白菜を使わない鍋料理への変更)、大きなチャンスロスを発生させている事が分かり、同じ過ちを繰り返さないための貴重な教訓となるはずです……
レシートには、使い方次第、読み方次第で、様々な貴重なデータが隠されており、そのポテンシャルは非常に大きいのです。
しかし、レシートは決して万能ではありません。
例えば、とあるレシートを見た所、バニラアイスクリームの1リットルボックスとバルサミコ酢が同時に売れていたとします。これをどう読み解くか?―― バニラアイスにバルサミコ酢をかけて、大人の味にして食べたんだ……と思いたいところですが、実際には、バニラアイスとバルサミコ酢は何の関係もなく、バルサミコ酢はイタリア風のサラダにドレッシングとしてかけたのかも知れません。
レシートに表れた情報は、例えは悪いかも知れませんが、言ってみれば『状況証拠』に過ぎないのであって、様々に推理は出来ますが、決定的な『物的証拠』には欠けているのです。そこに、『レシート』データの限界があります。『状況証拠』だけで結論を出しては、とんでもない勘違いだった、という事にもなりかねないのです。
それでは、貴重な『レシート』データを正確に効率的に分析するにはどうしたら良いのでしょう?
▶『レシート』データの理想的な取り扱いとは?
(1)まずは、消費者から効率的に『レシート』データを収集する、
①デジタル化の仕組み(スマホで撮影した画像のデータ化、など)、
②データの対価(ポイント、など)、③個人情報のセキュリティー
などを構築する。
(2)(1)のアプリに、さらに、『レシート』データに消費者本人による
簡単なコメント、例えば一緒に使ったものにチェックを入れる、などの
機能を搭載する。
(3)キャッシュレス化・レジ無し化などで(紙の)レシートレスな
システムの場合は、スマホなどに送信されたデジタルレシートに、
ユーザーが後からコメントを付けてデータ収集企業に送信できるような
機能を搭載する。
(4)消費者は、一日に一カ所で買物を済ませるとは限らない。複数の
レシートにまたがってコメントできるような機能を持たせれば、さらに
得られる情報は増える。