『天使の翼』第11章(83)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「さりげない身のこなしで分かりますよ」
指揮官は、微かに笑みを浮かべていた。
シャルルは、肩をすくめて――
「こういう商売をして、銀河を飛び回っていると、危ない目にも遭う。自分では武術の心得だなんてたいそうなことは思ってませんが、自然に身に付いたんですよ」
「フッ」
指揮官は、到底納得したようには見えなかった。口にこそ出さなかったが、シャルルの言ったことは「典型的な達人の謙遜だ」とでも言いたげだ。
(指揮官がシャルルのことを只者ではないと判断したのなら、少々まずいことになる。詳しい取調べへとつながっていくから……)
「お二人は?」
「姉弟です」
わたしは、SSIPの取り調べには協力的に、というシャルルの指示に従った。