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『天使の翼』第12章(25)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
ミロルダの洞窟に救われた記憶が強かったのか、わたしは、あの遠い連山の麓まで行く、何が何でも行くんだと思い詰めてしまった。その時は、野宿する場所を見付けることが、わたしにとっての最優先課題で、もともと行こうとしていたハイ・アンコーナはどっちの方角か、などという考えは浮かんでこなかった。仮に浮かんだとしても、まるで分らなかったろう。……もちろん、携帯端末を使うなんて論外だ。自分の居所が知れてしまうかもしれず……そもそも、こんな荒野では、地上局の電波が届くとも思えない……
方針(?)が決まると、後の行動の早さには自信がある。
① 連山の麓といっても、単純に最短コースでいいのか?何か目指すべき地形はないのか?
② 目標が決まったとして、そこへ行くのに少しでも歩きやすい地形――多少大回りになったとしても――はないか?