「選挙って、俺たち関係ないもん」 という子ども達とのお話(失敗も含む)
「選挙って、俺たち関係ないもん」
予想通りの第一声でした。
10月31日に投開票のあった衆議院議員選挙。
この数日前に、子ども達に選挙の話をしたときのことでした。
「選挙って、俺たち関係ないもん」
この言葉が、
「選挙って、わたしにも、大切だ」
になったらいいな。
そのためにはまず、
「選挙って面白い」
って思えるとこと。
そんな思いから、いろいろスライドを作りこみました。
各政党をワ〇ピースの海賊団に見立てたり。
今の国会の勢力図をわかりやすく示したり。
一回目のお話
そして臨んだ1回目の衆院選のお話。
期待した子ども達の反応は…
「話がながいー」
「よくわからない~」
「まだ終わらないの?」
「〇×△が彼女できたってーー!!(もはや話すら聞いていない…)」
いやはや、惨憺たる反応でした。
(しっかり聞いてくれていた子も、もちろんいました)
自民党総裁選との比較
9月に自民党総裁選について、同じように子ども達と話をしました。
4人の候補者について意見や質問を言い合い、応援したい候補者を選びました。
そのときには、みんな興味深く話を聞いてくれていました。
政治に全く興味がなかった子が、候補者についての新聞記事を切り抜いたり、インターネットで調べたりして、最後には学校で発表した、ということも聞きました。
その成功体験があったので、余計に今回の反応はショック...。
なぜ今回(衆院選)は、こんなに響かないんだろう?
前回よりも、スライド作成に時間をかけてるのに!(それ関係ない!)
「よくわからない」
その答えは、この感想にありました。
「よくわからない」は、自民党総選挙では聞かなかった言葉でした。
僕:「何がわからないの?」
子ども:「うーん、だいたい、ぜんぶ」
おお、大体全部ね!
そりゃ面白くないし、早く終わってほしいし、彼女の話の方が面白いわけですね。
でも、今回はなにがそんなに難しいのだろう。
自民党総裁選の時、子ども達が一番意見や質問を言い合っていたのは、どんなときだったか記憶をたどります。
確かそれは、各候補者の生い立ちを話していた時でした。
そう、それは物語だった
河野太郎がポーランドで警察に捕まった話。
高市早苗がバイクを乗り回してヘビメタをやっていた話。
そんな人間の物語に、子ども達は確かに興味をひき付けられていました。
ひるがえって、今回の衆院選は?
物語ってあったっけ?
………
一切、ありませんでした!
今回のお話の構成はこうでした。
- 衆院選とは何か?
- 日本にはどんな政党があり、どんな考え方を持っているのか?
- 各政党の政策比較と応援したい党を選ぶ(党名は伏せて)
- この地区の候補者をみる
- 野党共闘と今回の衆院選の特徴
物語は全くありません。
これが子ども達を飽きさせた原因だったのかもしれません。
2回目のお話
そうとわかれば、ということで、構成を作り直しました。
政治や選挙の制度は思い切って、省きました。
これは、いつか学校で教えてくれること。
代わりに、学校では教えてくれない、政治や政党の物語を加えました。
そして挑んだ2回目のお話。
子ども達の反応は、1回目よりも随分と良かったと思います。
もちろん、個性も年齢も異なる参加者なので単純には比較できません。
でも、明らかにいい反応でした。
「選挙って、わたしにも、大切だ」
こう感じることが一番の目的です。
そのために、各党の政策比較でこんな項目を入れました。
- 小中学校のクラスの最大人数
- 部活動の廃止と地域への移行
そして、子ども達に問いかけました。
「これって、僕ら大人が興味あると思う?
殆どの大人はこんなの全く興味ないよ。
自分に関係ないもん。
でも、君たちにとってはすごく影響のある問題だよね。
こんな大切な事を、興味のない大人が、自分たちの都合のいいように決めていいのかな?
君たち子どもが自分で決めたいと思わない?
そのためにはどうすればいいと思う?」
そんなやりとり。
話している僕も、子どもたちも、熱くなっていました。
それくらい、この2つの問題については、様々な意見が出ました。
これだけを切り出して、学校の先生も交えて、討論したいくらいです。
先生もたじたじになりそうです。
今回も、政策項目については、僕自身は中立を貫きました。
また、それぞれでメリット、デメリットを平等に説明するよう心掛けました。
物語性も加えました。
「原発は絶対ダメ!」
という意見の子は多いです。
一方で、そのような子は気候変動問題にも熱心な傾向があります。
そのため、原発の問題は、「核のゴミ問題と安全」を優先するか、「2030年までに温室効果ガス46%削減」を優先するか、という視点を紹介しました。
そうすると、単純に原発即時撤廃!とは言えず、いろいろ考える必要が出てきます。
コロナ給付金は多い方がうれしい?
また、コロナ対策の給付金について、最初は金額の多い政党に飛びつく子が多かったです。
それに対して、
「もちろんみんなお金は欲しいよね。
各政党はそれを知っているから、票が欲しくて額を競っているのかもしれない。
でも、このお金は将来君たちが税金で返していくんだよ。
そう考えたら、誰にどれくらい渡すのがいいと思う?」
というような議論をしました。
そうすると、本当に給付が必要なのは誰なのか?というような視点で考え直す子が出てきました。
あちらを立てれば、こちらが立たず
だから、考えることは面白い。
応援したい党
最後に政党名を伏せたうえで、各党の政策を比較して、「応援したい党」を選びました。
今回選んだ「応援したい党」は、この後、ころころと変わっていいと思います。
今は、比較して、考えて、選ぶというプロセスが大切だと思うからです。
そして、それを楽しいと感じてくれれば!
選挙後に、結果をみんなと話せるのも、僕にとっての楽しみです。