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【物書き部企画】『幸せの温度を探り続ける』3期生ぺこさん

「うわー、ムカつく!」 
 
思わず言ってしまった。
面と向かって。
初めてお話した歳上の方に。
こちらからお願いして、お話を伺っているのに。。
 
私の失礼極まりない言葉の受け手は…
手作りお菓子と日本で作られた物のセレクトショップ「禔温sion」オーナー ぺこさん(3期生)。
 
彼と接したことがある方は、
「え?」
「ムカつく?ぺこさんが??」
と思われるだろう。
確かに。
落ち着いたトーンで穏やかな話し振りの彼に、ムカつかれる要素など、見当たらない。
でも...ムカついた。
なぜって、それは、
私には逆立ちしたって出来ないことを、
何の努力もせずに出来たって言うから。
そもそも私は逆立ちどころか、逆上がりだって出来たことがない。今日まで、ただの一度も。
そんな私の前で、彼はこう言ったのだ。
 
「大抵のことは、人並み以上にできました。
 努力することなく、できたんです。
 部活でも優秀選手に選ばれましたね。
 身体能力高かったし、コート内の状況を俯瞰で
 捉えて動くこともできたし。最初から。
 そんな感じで、だいたい何でもできたんです。」
 
・・・はい、ムカつく!
そう。
「ムカつく!」は、ただの僻み。
ぺこさんは、何も悪くない。
不公平は、世の常だ。
自分が出来ないからって、ただの僻みで失礼な言葉を投げてしまいました。
私が間違っていました。
ぺこさん、ごめんなさい。
 
さて。
大人らしからぬ醜態を晒しましたが、話を戻しますと、この「だいたい何でもできた」が、想定外の形で「禔温sion」開店の理由に繋がっていくのです。。。
 
大抵のことは難なく出来た彼にも、上手く出来ないことがあった。
それが、音楽。
「ピッチが悪いんです。
 音がうまく取れない…いわゆる音痴と言われる人がうまくできないやつです。
 大抵のことは難なくできるのに、
 イマイチうまくいかない。
 だから、面白くて。」
そんな理由から、音楽にのめり込んでいった。
そして本格的に音楽の道へ進んだ。
・・・どんな理由だよ…ドMかよ…と、ちょっと思ったし、結局その道に進むレベルまでいっちゃってんじゃん…と、ちょっと思ったけど、もう口には出さず、続きを。。。
 
曲を作るも、プロダクションからは文句ばかり言われた。
そんなんじゃダメだ。売れるものを作れ。と。
それが嫌で考えた。
「どうしても音楽で食っていきたい!」という強い思いは、ない。
でも、音楽をやり続けたい思いはある。
何も文句を言われずに、音楽は続けたい。
そのためには、音楽とは別の生活のための財源が必要だ。
 
「そうだ、お店をやろう。」
 
そこから、色々な仕事を経験し、勉強した。
本を置きたいからLIBLOで働いた。
雑貨も扱いたいから良品計画で働いた。
ホスピタリティを学ぶためにレストランで働いた。
色々な仕事を経験しながら学び、
最後に、経営を勉強したいと考えた。
いつも見かけていた一つのショップが気になった。会社の規模は大きくなさそうだった。経営者のそばで働いて経営を学ぶことができるのではないかと考えて、その会社に入った。
思った通りにことは進み、社長のすぐ下で経営を学んだ。
そんな時、ある女性と出逢い、考えることになる。
「本格的にお店をやろう」と。
 
もとはといえば、文句を言われずに音楽をやる為に、開こうと思ったお店。
誰に文句を言われることもなく、好きなことをやりたいだけだった。
好きなことをやって、好きなように生きていくつもりだった。
 
そんな生活を望んでいたから、結婚はできないと思っていたし、それでよかった。
好きなことをやればいい。
どうとでもなる、どうなってもいい。
そう考えていた。
 
「妻が、その考えを変えたんです。」
「出逢った時に感じたのです。
 〈この人、私と一緒にいないとダメだ。
 私が守る。その為に私は居る〉
 と。同時に
 〈この人が一緒に居てくれたら、この人が
 笑ってくれていれば、私は何でも出来る〉
 と思いました。
 嘘っぽいですよね。
 でも、本当に心からそう感じたし、今もそう思っております。」
 
・・・いやいやいや…何というか。。。はい、もう何も言いません。
かくして彼は、後に妻となる女性との出逢いにより、
「本格的にお店をやろう」と、動いた。
 
準備期間を経て、お店を開いた。
はじめはヨーロッパ雑貨を置いていた。
やってみると、この地の需要には合っていないと思った。
だから、日本で作られた雑貨に変えた。
オーガニックの紅茶を出していたので、オーガニックのお菓子を置いていた。
相当数の試食をして選んでいたが、味に納得はいっていなかった。
オーガニックは無理でもグルテンフリーなら、もっともっと美味しいお菓子を自分で作れるのでは?と思った。
だから、作った。
レストランで働いていた頃、舌を褒められ、料理の道を勧められ、教えてもらっていたことが、活かされた。
材料にこだわり、試行錯誤を重ね、美味しいお菓子ができた。
お客様にも喜ばれ、[世田谷みやげ]にも指定された。
 
次にやることは、今使っているフランスのチーズに代わる日本のチーズを探すこと。
さらにその先には、自分でチーズを作りたいという考えもある。
 
やりたいことは、たくさんある。
長期で目指していることも、ある。
けど、そこに対しての明確なマップは、あえて作らない。
今やるべきことは、そこを見ることではなく,もっと目の前、もっと手前でやるべきことを必死にやること。
好きなことをして生きていくため。
家族を守るため。
だから、必死で、やる。
 
ぺこさんの中での最重要ポイントは
〈自分のやりたいことをやって好きに生きる〉
  ↓
〈家族を守る〉
に変わった。
 
でも、我慢してやっているわけでも、やりたいことを犠牲にしているわけでも、ない。
お店も、好きでやっている。
来てくれる方が、
楽しく、幸せな気持ちになってくれたら。
ここで過ごす間、嫌なことも忘れて楽しんでくれたら。
音楽に夢中になった自分は、音楽に救われていた。
だから、どんどんのめり込んだ。
そしてライブに来るお客さんにも、その時間は、日常の嫌なことも忘れ、楽しんで欲しいと思っていた。
同じなのだ。
提供する形は違うが、提供するぺこさんの想いは、同じ。
 
お店の名前「禔温sion」は、幸せの温度という意味だという。
幸せの温度って、どのくらいだろう。
考えるだけでほっこりする。
ぺこさんにとっては、
音楽に至る・・・「至音」の意味も込められているのかな。
と勝手な想像をしながら、
私は今日もテイクアウトした美味しいケーキたちをいただいている。
 
▼お店▼
 禔温 sion
 〒156-0052
 東京都世田谷区経堂2-25-12
 TEL 03-6886-7182
 https://www.candyuniverse.jp/sion/
▼コダマが食したもの&感想▼
【至福のフロマージュ】
 濃厚でクリーミーなのに軽やかでさっぱり。
 レモンの香りが爽やかな、
 何だかキュンとくるチーズケーキです✨
 《ぺこさんオススメの通な食べ方》
  ソルトビスケット(リッツ等)にのせる。
 〈コダマ的夢の食べ方〉
  温泉に浸かりながら丸かじり。
【恍惚ショコラ】
 甘さと苦味のバランスが絶妙。
 ほのかに感じるラム酒が大人の香り。
 しっとりなめらかで
 気持ちもとろけるチョコレートケーキです✨
 《ぺこさんオススメの通な食べ方》
   トーストに塗る。
 〈コダマ的夢の食べ方〉
   恵方を向いて丸かじり。
   
▼コロナの影響は?▼
 来店客が激減している。
▼何が嬉しい?▼
 淳校長の「コロナ禍で困っているお店に何か出来る
 事はないかな?」の投稿を見て、お店に来て頂けた
 方々が禔温を投稿で紹介してくれました。
 それを見た方々から、通販の御依頼も頂いております。
 コロナ禍で壊滅的な経営状況の今、それらは
 とっても有り難く、日々感謝しております。
 誰かが誰かを助け、それを見た次の誰かが誰かを
 助ける。こうして皆が励まし助け合いながら大きく
 なって行く輪を感じられる事が、今とっても嬉しい
 です。
 私もこのコロナ危機を必ず乗り越えて、誰かの為に
 行動したいと思います。
 
▼注文可能商品▼
・至福のフロマージュ(チーズケーキ)
・恍惚ショコラ(テリーヌショコラ)
▼注文方法▼
 こちらから
  ➡︎https://www.candyuniverse.jp/sion/
▼コダマより▼
 贈り物にも喜ばれると思います。
 意外と日持ちします。
 到着から10日程度はもちます。(冷蔵便です)

「インタビューを受けた人」
【3期生】ぺこさん

「インタビューをした人」
【2期生】コダマ

(2021/2/6現在)