日にち薬ってどんな意味?関西ではよく使われるんだけどこれって・・・
私は 身体や心の傷を癒すためには時間が必要だ という意味の言葉として 日にち薬 というフレーズをよく使います。
ただ、職場の先輩に言われて初めて知ったのですが、この 日にち薬 という言葉は日本全国どこでも使われている言葉ではないのだそうです。主に関西から西の地域では使われることが多いとのこと。
私は医療の現場で働いているので日常的にこの言葉を使っていますが、全国で通じるほどの標準的な言葉ではなかったのですね。
日にち薬の意味は文字通り「日にちが薬の代わり」となるということ
日にち薬(ひにちぐすり)という言葉は文字通り、日にちが薬の代わり という意味で使われます。言い換えれば 身体や心の傷を癒すためには時間が必要だ とも言えますね。
骨折した患者さんを例に挙げると、よく医療従事者に対しての質問として「あとどれくらい時間が経ったら治りますか?」というものがあります。
実際には折れた骨がどの骨なのか、どのような折れ方をしたのか、年齢、性別、運動習慣、、、いろんな条件で変わりますから、完全に◯月◯日と予言することはできません。
大腿骨や骨盤などの比較的大きくて太くて折れにくい骨というのは、完全に骨癒合するのに2〜3ヶ月かかります。これは手術をしても同じです。
以前であれば変形して癒合しないように「添え木」を当ててヒモで縛っていたものが、今では骨に金属のプレートや釘などを直接挿入するというだけで、手術をしたから骨が癒合したわけではありません。そこからある程度の日数を経て、徐々に骨が癒合してくるのです。
「この薬を飲めば、3ヶ月かかるところが3日で癒合します」とか、「この手術をすれば1週間で治ります」という魔法のような治療法はなく、どうしても日数が経過しないと癒合しません。現代の医学ではこれは避けられないと思います。
手術をすれば、翌日から全体重をかけて歩くことができる場合もありますが、それは挿入したインプラントの強度で支えているというだけで、骨が癒合したということとは違います。
なので本当の意味で骨が癒合して完治するためには所定の日数が経過することが絶対に避けられない条件です。
大きな商談を扱う若きエリートサラリーマンや自営業の方は1日でも早く職場復帰したいと焦るのですが、そんな時に「骨の癒合は 日にち薬 ですから、焦って悪化させないことが一番の近道ですよ」と話すようにしています。
日にち薬は関西特有の方言みたい
職場の先輩から教えてもらったことですが、この日にち薬という言葉は東日本の人にはあまり馴染みのない言葉なのだそうです。
そして西日本の人であれば通じやすいという言葉でもなく、九州の人には通じなかったようです。
なので、だいたいですが関西から四国とか中国地方くらいまでなら通じるのかもしれません。
ただし今はSNSなどのインターネットを介して情報はすぐに浸透していきますし、関西出身者が関東に行けばそこで言葉が広まって行くこともあります。
日にち薬って、意味も響きも素敵な言葉なので、すぐに馴染んで使ってもらえそうですしね。
日にち薬の類義語にはどんなものがあるの
同じような言葉に「日ぐすり(ひぐすり)」とか「時薬(ときぐすり)」とか言われるものがあります。
その土地のなまりとか言い回しによっても多少の違いはあると思いますし、ニュアンスも微妙に違うことがあるかもしれませんが、基本的に言いたいことは同じだと思います。
ちなみに英語で言うときは Times cures all (things). というふうになりますが、これも絶対にこの表現じゃないといけないということもなく、やはりいくつかの表現があるようです。
日にち薬という言葉の使い方は
使い方もなにも、そのまんまだろう?
と言われてしまいそうですが、このフレーズを使う時のシチュエーションやどういうふうに解釈して欲しいのかということを厳密に考えると、いくつか分かれるように思いました。
冒頭でも書きましたが、「日にちが薬の代わりですよ」という言い方と、「身体や心の傷を癒すためには時間が必要ですよ」という言い方の違いで、使われているシチュエーションとか、言葉を受け取る人の気分が若干変わる気がしませんか?
ポジティブに使うのがコツ
この言葉は、医療の現場での使い方によっては患者さんを落ち込ませてしまう可能性があります。
先ほどの自営業やエリートサラリーマンの方の例では、患者さんは仕事復帰を焦っています。ここで普通に「日にち薬」という言葉を使う場合だと、相手は「日にちが経過しないと癒合しないのだから焦るだけ無駄ですよ」という意味を与えてしまいます。
焦っている心情に共感しつつ落ち着きを取り戻してもらいたいと思いながらも、なんとなく相手を突き放すような印象があります。
すぐに治るわけではないんですから焦るだけ無駄ですよ
日にちが経過すれば必ず治りますから安心してください
パッと思いつくだけでもこの2つの意味がありますので、使い方はしっかり考えないといけませんね。
身体的な傷だけでなく心の傷にも使われる
失恋したり、最愛の人に先立たれたり、心ない一言で落ち込んだり・・・目に見えない心の傷や不調というのも、 解決するには時間が必要だ という意味でこの 日にち薬 という言葉が使われます。
悲しみや苦しみを癒す場合は、オシャレなドラマや歌などでは「時が悲しみを癒してくれる・・・」とか「心の氷を溶かしてくれる」みたいなカッコいい言葉で表現しています。
でもこれも結局「すぐには立ち直れないのだから、ある程度の 日にち薬 が必要だ」と言いたいのだと思いますから同じことですね。
日にち薬は便利な言葉として乱用するのではなく、心を動かすツールとして使うべし
忙しい現代社会に生きる我々は、時に落ち込んだり傷を負うことが多々あります。もちろん身体的にも精神的にもです。でもそれを癒すのは最終的には時間です。
ただし(当然ですが)、ただ単純に時間が経ちさえすれば勝手に解決するというものではありません。
身体的な傷(例えば骨折)でも、時間が経てば勝手に治るというものでもありません。適切な手術や投薬をして、しっかりと適切な場所に立ち直るための下準備をしたうえで、あとは「日にち薬」にゆだねるというのが最良の選択でしょう。
「時間が経てば勝手に解決するから放っておけ!」のような乱暴な解釈をされないためにも、適切な治療と適切な言葉と適切な時間をかけてケアしていくのがいいでしょう。
心のケアも同じことです。その人が適切な場所に立ち直るためにできること、やるべきことはあります。
それらをした上で「日にち薬」に頼ってみるという選択肢を持っておくことは大切なことですね。