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直径30mの惑星でボールを投げたら1周して元のところに戻って来るシミュレーション【第一宇宙速度】
物理で円運動らへんを勉強していて、円運動が成り立つ条件を見ていたとき、ふと地球上のどこかで大谷翔平がとんでもない豪速球を投げたとき、どんな条件でボールが地球一周して元の場所でキャッチできるのか疑問に思った。
さすがに実際に試すわけにはいかないので物理エンジン(Unity)で実装してみたものを書き記すことにする。地球サイズにするとちょっと作るのが大変だったので直径30mサイズの惑星でやってみた。
結果こんな感じにうまくいった。
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Unityでの惑星の実装は別のブログに書いてるのでそっちを参照。
第一宇宙速度の算出
このように、地球上のどこかから物体を接線方向に飛ばしたときに、円運動をして元の場所に戻って来る速度のことを第一宇宙速度という。地球の周りをぐるぐる回っている人工衛星などは、この第一宇宙速度で射出すれば、ずっとぐるぐる回ってくれる(空気抵抗がないという前提)。
通常第一宇宙速度を考えるときは万有引力の式で考えるんだけど、今回は一様に重力加速度$${g=9.81}$$で実装したので、万有引力を使わず、この定数で計算していく。
まずは物体の等速円運動の条件を考える。円運動させる物体の質量を$${m}$$としたとき、中心方向の重力$${f_g=mg}$$と、その逆向きの遠心力$${f_c=mr\omega^2}$$が等しいとき、物体は円運動する。
$$
mg=mrω^2
$$
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角速度$${\omega}$$ではなく、接線方向の初速$${v}$$が知りたいので、$${v}$$について解く式に変形する。
$$
\begin{aligned}
mg&=mr\omega^2\\
g&=r\frac{v^2}{r^2}\\
&(\because\ \omega=\frac{v}{r})\\
g&=\frac{v^2}{r}\\
v^2&=gr\\
v&=\sqrt{gr}
\end{aligned}
$$
したがって、初速$${v=\sqrt{gr}}$$で接線方向に物体を飛ばせば円運動するということになる。今回は重力加速度$${g=9.81}$$、惑星の半径$${r_p=15}$$、地表から$${2m}$$のところから物体を飛ばす(つまり$${r=r_p+2=17m}$$)。
$$
v=\sqrt{gr}=\sqrt{9.81\cdot17}\simeq12.914\ \mathrm{[m/s]}\simeq46.49 \ \mathrm{[km/h]}
$$
この結果より、時速$${46.49 \ \mathrm{km}}$$の速度で、地面と水平にボールをぶん投げれば一周して自分のところに戻って来る。実際に、この速度で物理エンジン上でボールを飛ばしてみると、このようにぐるっと一周回ってくれる。空気抵抗なしにしているので、永遠にぐるぐる回り続ける。
プロ野球選手なら時速$${100\ \mathrm{km}}$$前後の速度でボールを投げることが出来るので、直径30mくらいの惑星なら、割と常人でも惑星を1周するボールを投げることが出来ることが分かる。
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ちなみにこれよりも速い速度でボールを飛ばすと、以下のように楕円運動になる。地球は太陽の周りを楕円軌道で回っているので、たぶん地球は太陽に対する第一宇宙速度よりも速い速度で回っていると思われる。
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