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東京都知事選挙を通して:民主主義ってムリゲー過ぎない?

ソクラテス「民主主義はクソだ」

ソクラテスが愚かな民衆による衆愚政治を批判して、「民主主義はクソだ」というような趣旨の発言をしたという話を聞いたことがある。それによると、あらゆる仕事はその道のプロがやるものであるのに、なぜ政治及び投票する有権者が素人であることが許されるのか?正しく政治を学んだ専門家のみが政治に参加すべきだというような主張だったと記憶している。

この話の信頼に足る出所を調べてみたが、ソクラテスは非民主政であるスパルタの国政を支持していた程度の情報(世界史の窓)しか見当たらなかった。当時の民主制について何か批判していたのだろうが、おそらくだいぶ誇張された表現なのだろう。

とはいえ、ぼくが現在進行系の都知事選なり、国会議員の選挙なりに直面するたびに、誰を選べばいいのかサッパリ分からん。という状態に陥っているのは、ある意味このソクラテスの批判に符合しちゃっている。そして、現代において、多種多様な娯楽に忙殺されている現代人について考えると、膨大な情報量の中から、貴重な時間を削ってまで情報を集めて、適切に政治家を選び投票するなんてことはもはやどこの誰も出来ていないんじゃないか?

そもそも都知事の仕事ってなんだ

まあそんな文句を行ったところで、有権者としてできるだけ適切な判断をしたいと願うわけなので、渋々情報収集を頑張るしかない。まず手始めに、政治家の優劣をどうやって判断するのか?を考えた。そのためには彼らの仕事がなんであるかについて知らなければならない。今回は都知事選の真っ最中なので、都知事の仕事が一体どんなものなのかを調べる。

都知事は政治を行うことから、自治体の象徴としてイベントごとに出席したりすることまでけっこう様々。戦後最長都知事の鈴木俊一氏の例では年間に面会8,000人、会議出席560回、パーティー出席560回というデータがあり、現職小池都知事も似たような動きをしているらしい(「東京都知事」ってどんな仕事?)。むちゃくちゃ忙しい。

中でも重要な政治に関わる業務は、都議会への予算案提出と条例案提出の2つ。知事の権限はとても強いという趣旨も見かけた。どのように権限が強いか分からないが、予算案の提出については知事のみの権限となっている。一方、条例案については自治体議員も提出出来ることになっている。基本的には、知事が政治を主導していく条例や予算案を出し、議会はそれを審査・承認するというフローのようだ。

知事と議会は「車の両輪」と表現され、対等な立場にある(都道府県知事のお仕事は?何をする人なの?)一方、その役割から、対立構造を生みやすい。あ!安芸高田市で見たことあるやつだ!

どのように候補者を選べば良い?

さて、都知事の仕事がぼんやりと分かったところで、では知事としてどの候補者がふさわしいのかどうやって評価したらいいか。一般に、評価というものは定性的か定量的かに分けられる。前者は一つ一つの事柄に目を向けて、その良し悪しを自身の経験的な主観で判断する方法。後者は全体の情報を集めて数値化して解析的に評価する方法。

政治家の評価で言えば、定性的には、ある政治家が実行しようとしている政策(公約)を取り上げて、それぞれの政策が自分の思想と合致しているのかを吟味する方法。それから、これまで実現してきた政策を見て満足行くものが検討すること。定量的には、すべての政治家が並べている公約全体と、自分の思想を照らし合わせてマッチしている候補者を見つけ出す方法などが考えられる。

個人的には、これに加えて政治家としての実績を加味したいと考えている。なぜなら、公約を並べるだけなら誰でも出来るからだ。多くの国民にとって耳障りの良い公約を並べることなんて大して難しいことじゃない。問題はそれを実行する遂行能力が知りたい。定性的には、候補者の政治家として達成したものを見ていくことも出来るが、例えば、小池知事が高校授業料を無償化した!と言われてもそのインパクトはイマイチ伝わってこない。ふーん。そっかあ。いいじゃん。という感想しか湧いてこない。

つまり何が言いたいかというと、政治家として業務遂行能力は定量的に比較出来ないと評価しようがないということ。政治家として実務を行ってきた人なら、まあ何かしら公言できる実績の1つや2つはあるでしょう。でもそれが優れているのかどうかは容易に判断は出来ない。そこで、定量的な比較可能な評価軸を追加したいと思うわけだ。

そこで、2つの指標を思いついた。

  1. 公約の実現数(率)

  2. 条例案提出数

これらの評価軸を加えれば定量的に比較可能になるので妥当なのではないか。そこでよっしゃ!と意気揚々と調べ始めたも虚しく、これらは整理されたデータとしてはどこにもなかった。都庁のWEBサイトを見ても、安芸高田市のWEBサイトを見てもそんなデータはない。

もしやと思って俺達の救世主ChatGPTくんに聞いてみても知らん存ぜぬの一点張り。

このあたりでだんだんウンザリしてきた。自分の知りたい情報はどこにもない。でもどの候補者が都知事にふさわしいか選べと社会がプレッシャーをかけてくる。あーもう知らん。もうChatGPTくんが適当に選んでくれたらいいやん…と投げやりな気持ちになってきた。はっ!そういえばAIメイヤーっていうのがいたな?

候補者を絞り込む

さて、気を取り直して、最後まで頑張るぞ!
欲しいデータがないなら、持っているものだけで判断するしかない。

ところで、ぼくはいつも国政選挙でもなんでも選挙のときは、だいたい3名くらいの候補者に絞るようにしている。あんなに人数が多いのを一人ひとり調べていくのは現実的に不可能だからだ。で、この3名の選出方法が、①直感でまともそうな人を2名選ぶ、②実績なさそうだけど尖った人を1名選ぶ。

今回は、以下3名の方。

  • 小池百合子氏

  • 石丸伸二氏

  • 安野たかひろ氏

この時点での選出はめっちゃ雑でいいと思っている。小池さんはなんか子供向けのなんかをやってる感ある。小さいこどもがいるので、子供向け政策は好感が持てる。よく知らんけど。石丸さんは仕事しない議員たたきがヤバい。良し悪しは知らんけど、なんか切り込んでくれそう。安野さんはITエンジニアだから好き。

我ながら実に見事な薄っぺらい判断基準である。

ここまで絞ったら、各候補者のマニフェストを眺めていく。
と思ったけどもう疲れたよパトラッシュ…。もうかれこれ2時間くらい費やしている。もう終わりにしていいよねパトラッシュ…。

というわけで毎度お世話になっている投票マッチングサービスを使う。この手のサービスは選挙のたびにどこからともなく生えてくるとても便利なサービスで、アンケート形式で自分の政策思想をポチポチしていくと、各候補者とのマッチ度がランキング形式で出力される。

便利!!

民主主義ムリゲー

もはや疲れてきてさじ投げ気味だけど、選挙のたびにこんな苦労を強いられるのがとてもダルい。ぼく自身の政治に関する知識不足が根底にあるけども、それでもまあ頑張っている方だとは思う。たぶん何も調べず適当に投票している人がほとんどなんじゃなかろうか。

そう考えると、国民が政治家を選出する権利を持っていると言えども、主体的に政治に参加出来ているとは到底言えないんじゃないかと思う。ぼくを含め、多くの国民は政治家の優劣を判断する能力を持っていないし、前述の通り、知りたい情報にアクセスすることも叶わないし、そんな膨大な時間を費やすことも出来ない。正直、民主主義ムリゲーでは?この政治システムの上では、全然民意なんか反映出来ないんじゃないか。実は民主主義ってもう機能してないんじゃないか。

政治素人の芸能人が容易に国会議員になれちゃう衆愚政治の極みを見ているとそんな気持ちにならざるを得ないよねパトラッシュ。もう終わらせてくれよパトラッシュ…

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