志望企業が決まっているときに直接応募するべきか、エージェントを使うべきか?
もし、転職したい企業が決まっている場合、直接応募した方がいいのしょうか?それとも、エージェントが志望企業の転職案件を紹介してきたら、そちらのエージェント経由で応募したほうが良いのでしょうか?
ここでは、そんな疑問にお応えすべく、採用企業から見たそれぞれのメリットを比べてみたいと思います。
絶対的な解は無いですが、参考になればと思っています。
採用企業がエージェントに採用を依頼する背景
まず、そもそもですが、なぜ採用企業は転職エージェントやヘッドハンターに応募者探しを依頼するのでしょうか?
理由として、次のような理由が考えられます。
業務量が多く、応募者を探す時間が無い。
優秀な応募者、求人とマッチする応募者との接点が無い。
これらを補うために、転職エージェントのような仕事が生まれ、応募者との間を仲介してくれるのです。
また、人事部門はバックオフィス、つまり間接部門と見られ、簡単には専任の担当者をつけることができません。
さらに、採用は企業の成長や景況感にも大きく左右され、採用業務の量も不安定となります。
これらの背景があり、企業側は固定費が必要な自社の社員ではなく、変動費として柔軟に調整できるエージェントやヘッドハンターのニーズが生まれるのです。
転職エージェントのビジネスモデル
では、転職エージェントやヘッドハンターがどのようなモデルで、そのビジネスが成り立っているのでしょうか?
転職エージェントは、そのクライアントとなる採用企業から求人の依頼を受け、情報を提供してもらいます。
その後、転職エージェントは転職サイトや、SNS(LinkedIn等)を活用して、要件にマッチしそうな候補者を探します。
面接などを経て、候補者の入社が決まります。
そうすると、エージェントには年収の何割かが報酬として採用企業から支払われます。
この割合は、様々な情報をまとめるとおおよそ30~50%だと言われています。
※統計データではなく伝聞による情報です。誤りがあればご指摘ください。
応募者の年収、報酬を交渉するのも、エージェントの役割ですが、エージェントからすると、自分自身への報酬にもつながりますので、応募者の年収を上げ、報酬を良くするモチベーションが上がります。
このような仕組みがあることで、このような人材紹介業が成り立っています。
なお、報酬をもらいながら、このような形で人材紹介するビジネスは、「有料職業紹介事業」と呼ばれます。
この事業を行うのは、機密度の高い個人情報を扱うなどの理由で、事業を行うのにあたり免許が必要になっています。
免許を取得するためには、財務や個人情報の取り扱い、オフィスなどの基準をみたしている必要があります。
さらに免許取得には、講習を受ける必要があり、総費用として14万円ほどかかります。
ですので、ある程度の参入障壁があります。
とはいえ、転職マーケットの拡大もあってか免許を取得している事業所の数は年々増えているそうです。
採用企業の視点で比較すると
では、採用企業から見て、エージェント経由で応募してきた候補者と、直接応募してきた候補者がどう見えるのか、考えてみましょう。
採用企業からすると、実はどのような経由で応募してきたかは1点を除き気になりません。
要件を満たした人材、期待を超える人材であれば、経緯はどうしても良いことです。
その「1点」は、エージェントに支払う報酬です。
先述の通り、これらの報酬は安くなく、間違いなく費用として負担になってきます。
ですので、全く同様のスペックであれば、間違いなく直接応募してきた候補者を採用することになります。
ただし、私が自社や取引先の会社の採用の話を聞くと、IT業界はどの職種も専門性が高く、ギリギリのところまで、どちらの候補者がいいのか比べて、最終的にコストよりもフィット加減を重視しているようにも思います。
また昨今、人材不足の状況が深刻で、求人を埋めることが非常に困難なため、この点も考慮した方が良いでしょう。
結論
正直に言うと、どちらも一長一短あり、絶対的にどちらが良いというのはありません。
ただ、読者の方に判断をお任せするのも申し訳ないため、このような形でお伝えしたいと思います。
もし、あなたが転職に慣れていたり、応募企業に友人や知人がいたりして、十分に情報があれば、エージェントからの情報も大きな助けにはならないため、直接応募した方がいいでしょう。
もし、そうでなければ、しばらく慣れるまでは、エージェントのお世話になるのも良いでしょう。
補足:応募したい企業をクライアントに持つエージェントは見つけられるか?
最後に補足として、特定企業をクライアントに持つエージェントを見つける術はあるのか?という点について触れてみたいと思います。
もし、あなたが転職に慣れておらず、エージェントのお世話になりたい、かつ、どの会社でも良いわけではなく、特定の転職したい会社があったというケースです。
あいにく、各エージェントがどのような求人を持っているかは機密事項なので、ネットなどで調べることはできません。
ですが、自分のプロフィールを魅力的に見せ多くの転職サイトに登録すれば、多くのエージェントから声がかかり、結果的に志望する企業に当たる確率も高くなります。
嘘かもしれないですが、私はいくらか志望企業を絞り、プロフィールを何度も修正して、毎日エージェントから声がかかり、その中から志望する会社をピックアップして、応募していました。
最初の道は長いかもしれないですが、是非ともこのサイトで、プロフィールを魅力的に見せるコツを掴んでいただき、実践していただきたいと思っています。
また、声をかけてもらったエージェントに具体的な志望企業を伝え、そちらにアプローチしてもらうということも、エージェントによってはできるかもしれません。
多くの場合、採用企業は一人ではなく、複数の候補者に応募させ、競わせることをします。それをやるためには、通常、複数のエージェント会社に打診します。
ですので、多くのエージェントが同じポジションを取り合うというのは決して珍しいことではなく、むしろ自然なことです。
それを考えると、採用企業側も新規にエージェントに依頼することは難しくないでしょう。
また、昨今、完全な売り手市場で、採用企業もエージェントに対して強く言えない雰囲気も多少あるので、エージェント経由でアプローチするというのも良いかもしれません。
ただし、デメリットもあります。
このケースだと、担当エージェントは新規に担当したクライアント、つまりあなたの志望企業や該当職種への理解が浅く、余り有益な情報は得られないかもしれません。
あなたがどうしても希望する企業があるときは、試してみてもいいかもしれません。