【スーパー上司 ~ココロノキズ⑥~】
(つづき)
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覚悟はできており、
気持ちもしっかりしているとはいえ…
やはり何となく重苦しく…
お昼を迎えました。
上司が連れて行ってくれたのは…
私が入社した日に、
ランチをご馳走してくれた店でした。
たった3ヶ月前のことなのに、
ずいぶんと昔のことのように…
とても懐かしく思えました。
私が中途で採用されたのは、
その上司の押しがあったからなんです。
チームリーダーばかりの面接で…
たくさんのリーダーがいる中で、
自分のチームに入れたいという選考基準で、
その上司は私を選んでくれました。
私が36歳で…
チームリーダーである上司は確かまだ20代後半…
それでもチームを率いるだけの働きを、
稼ぎをされていました。
若くしてチームを率い…
そのチームを束ねるグループマネジャーも兼務。
私はもちろん中途入社でも新人ですから…
年齢に関係なく、
組織の中では、
その上司から直接指導を受けていました。
マンツーマンの指導も少なくなく、
時には土日を潰しての報告書作成。
私も…
上司の期待に応えてようと、
必死に食らいついて…
今思えば、とても感謝しています。
ただ、
上司の指導に熱が入れば入るほど…
家族との時間は無くなり…
冷え切っていきました。
毎日の深夜帰宅…
帰っても会話もなく…
土日も家を空ける始末。
「何を目指しているんだろう…」
時に、
そんな自問自答を繰り返し…
「大切なものって…何だろう?」
妻の淋しそうな顔を見ると…
心が痛む日々の連続でした。
店の奥に向かい合って座り…
上司は、面倒そうな表情で構えていました。
私の言葉を聞くまでは…。
(続く)
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