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【大きな役割 #2】


妻は…
私に隠していました(笑)


妊娠の気配なんて、
全く感じませんでした。


妻は、
私をびっくりさせようとしたのか…

私がどういう反応をするのかを楽しんでいたかのように(^_^)

私は、全く気づく余地もありませんでした。


あれは…
結婚してから4年が過ぎた…
ある夏の晩のことです。


ちょうど、
会社から帰宅して…
夕飯を一緒に食べていました。


いつもと何らかわらない光景が、
そこにありました。


妻が話しかけてきました。


妻 「そろそろ…欲しいね。」
私 「そうだな。」


そして、沈黙…

私はまた…
重苦しい空気が漂い始めたと、
そう思いました。

またか…と。

「………」

実は、
その日の1ヶ月前に…
妻と口論になったことがあったんです。

大喧嘩の一歩手前まで…
それぐらい言い合いになりました。


私は、子供は授かるものだと…
というより、
そう思いたかったんですね。


結婚当初は、
妻も同意していましたが…

妻の友達の中で、子供が産まれ始めた頃から、

だんだんと…
焦りが…


もちろん、
妻の気持ちは…
私にもよく理解できました。


でも、

やはり私は…
子供はつくるものではなく、
授かるものだと。


そう強く主張していました。


毎日、
体温を欠かさず手帳につけている妻の姿が…
そこにありました。


結果的に、
その言い合いは収拾がつかず…
冷戦状態となってしまいます。


そんな1ヶ月前の光景が、
また再現されるのかと…
腹をくくった矢先でした。

妻が…
こう切り出してきました。

私のさえない顔に比べ…
私に語りかける妻の顔は…


とてもやさしく、
そして…

とてもきれいでした。

「今日ね…病院に行ってきたの。」

雲っていた私の顔は、
かすかな雲の切れ間から、
一気に光が差し込んだように…
みるみる変化していきました。

「えっ!…できたぁ!?」

ここで…
いけてない私が垣間見られます。

子供は、授かるものだと、
そう豪語していたにもかかわらず…
妻に強く言っていたにもかかわらず…


“できたぁ”とは何なんでしょう…
お恥ずかしいかぎりです(^^;


(妻よ、ごめんな…こんな勝手な夫で…)

「い~やったぁ!!」

自分の人生の中で…
大きな役割を持った瞬間でした。


自分の子が…
小さな生命が…
妻のおなかに宿ったんです。


そして、妻に一言…

「ありがとね。」

その夜は特に…

妻に感謝しても、
しすぎることはありませんでした

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