【抱擁 #7】

愛さずにはいられない…

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彼女とつき合い始めてからも…
私たち二人は、
バイトを続けていました。

見た目には…
バイトの先輩と後輩という関係…

しかし、
バイト仲間で…
私たち二人の関係を知る者はいない。

周りに内緒でつき合っているって…結構ドキドキします。

別に…
バレてもよかったんですが、
いつバレるかなって…

楽しんでましたね（笑）

あなたもそんな経験ありませんか？

二人だけの秘密…
二人だけが知っている事実…
二人だけの時間…
二人だけの空間…

誰が何と言おうと、
すべてが二人のためにある…

そんな錯覚にさえ陥ります。

お互いがお互いをひとり占めし合っている…
安心感…
優越感…

たとえ、
誰が相手のことを好きになろうと…無駄な抵抗だという自信…

もう…
全く…
周りが見えていませんでした。

まさに…
ブラインド状態…
愛は盲目…

毎日のバイトが…
楽しかった。

会えることが…
うれしかった。

バイトが終わるのが…
待ち遠しかった。

バレないように…
一緒に帰らず…
決めた場所で待ち合わせ。

時間をずらして…
時間差をつくってから…
待ち合わせ。

本当に…
同じ職場で…
隠しながら…
つき合うことの醍醐味を、

たっぷり味わっていたように思います。

（バレた時…バイト仲間には…引かれましたけど）

バイト後のデートの終わりは…
よく夜の浜辺に行きました。

浜辺に車をとめて…
シートをべったり倒して…
語り合っていました。

暗闇に包まれた車の中は…
二人だけの世界。

いろんなことを語り合いました。

お互いの幼少の頃のこと
大好きだった祖母のこと
小学校時代の担任の先生のこと
中学で始めた部活動のこと
仲の良かった友達のこと
高校で大きな恋に落ちたこと
お互いの親や兄弟のこと
…

そして、
これからの二人のこと

…
お互いの気持ちを確かめ合うかのように…

…
お互いの想いをやさしく包みこむように…

二人はいつしか…
重なり合っていました。

…愛しくて
…愛しくて

ずっと…
こんな気持ちでいられたらいいのに…

好きで…
好きで…
どうしようもないくらい…
好きで…

ずっと…
一緒にいられたらいいのに。

彼女のことを愛さずにはいられない…

今でも、
その気持ちを大切にしています。

今でもずっと…
彼女を大切にしています。

そして…
これからも…
大切にしていきたい…

二人が二人でなくなる…
その瞬間まで…

ずっと。