【言葉の力 ~ココロノキズ⑤~】
(つづき)
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私には…
妻の言葉が、すべてでした。
私の鬱には…
妻の言葉が、最高の薬でした。
「会社をやめてもいい…」
毎深夜の重苦しい食事…
ずっとうつむき気味で、
目線の合わない会話も…
その日ばかりは…
暗がりの中に光が射したように、
優しくなっていました。
あれほど、
朝が来るのが怖かったのに…
家を出るのが辛かったのに…
その翌朝は、
気持ちも強く、
足取りも強く、
出勤することができました。
会社をやめてもいい…
失うものは何もない…
また、やり直せばいい。
不思議と、
…いつの間にか会社に着いていました。
エレベーターから降りて、
上司の背中を確認…
心臓もまるで私を応援しているようで…
ゆっくりと静かに打っていました。
「おはようございます。少しお時間頂けますか?」
私の突然の申し出と…
その力強い口調から、
上司も何となく察したようでした。
お昼…
一緒に食事をすることになったのです。
(続く)
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