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わたしはわたしとさよならした。

わたしはわたしとさよならした。

そういえば、わたしは生まれる前にはもちろん、生まれた時に名前は無かった。両親に名前を何度も呼ばれて、自分がそれだと分かった時があった気がする。ではそれだと認識した方がわたしは誰なのかというとそれは「わたし」だった。わたしにはわたしと「わたし」がいて、普段はわたしと「わたし」は区別されない。

でも、なにかと出会ったときにわたしは、なにかわたしじゃなくじゃって、「わたし」がわたしに新しくわたしと名づける時がある。新しいわたしは何か生まれ変わったようにウキウキする。思い返せば、たしかに新しいわたしは浮いていた。

最近は「わたし」の方にさよならをしたいことも増えた。「わたし」はわたしを名付けるが、わたしは「わたし」を名付けられない。わたしが「わたし」の心配をしても、何か何も無い。

「わたし」は最初から何も無かったし、わたしは「わたし」を通り越して、どこかに行ってしまった。

おわり。

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