夢の国で働いて学んだこと
■夢の国は、キラキラした人ばかり
あの空間に行くと感じるのは、キャストがイキイキと働いている姿。
何でそんなにキャストが楽しく働けるのか、疑問に感じていた。
そこではどのような教育がされていて、どのような仕掛けがあるのか、学ぶためにアルバイトで働くことにした。
■アルバイトでも入社式
アルバイトの面接は、そんなに堅苦しいものではなく、実際のところの採用要件は分からないが、人柄を判断するための質問、というよりは勤務条件を中心に質問されていた印象だった。
まずはアルバイトとして働くことが出来、入社式というものに参加することになった。
アルバイトなのに入社式?と思ったが、その日はかっちりスーツを着て、自分なりにきちっとした格好で参加する。
入り口でセキュリティ検査を受け、いきなり身だしなみのチェックを受けた。
入社式に参加するアルバイトは、「ディズニールック」として身だしなみは良いのか、改善が必要なのか、抜き打ちテストを受ける。
少しケバいメイクをしたり、髪の毛の色が明るいなど、講師から直々に指摘を受ける。
ディズニールックのチェックを経て、そもそものディズニーの歴史やウォルト・ディズニーについて、ディズニーが大切にしている想いやスタンスなどについて学ぶ。
ここで受け付けない人は1日で離脱する(笑)入社式最後にネームタグの授与をして終わりだが、ディズニールックを指摘されたキャストはその日にネームタグは授与されない。
入社式でネームタグをつけていないキャストはオンステージで働けないと教わるので、そもそもスタートラインに立てないということを意味する。人によってはここでも自分流のメイクや髪型などを譲れず離脱する。
■毎日大切にしている想いを共有する
ディズニーは「すべてのゲストにハピネスを」という大切にしている想いが上位概念にある。そして、それを判断するために「SCSE」という言葉をキャストは毎日口にしている。
SはSAFETY、CはCOURTESY、SはSHOW、EはEFFICIENCYの頭文字をとっている。ゲストのハピネスを実現するためには、安全性を最も重視しなくてはいけない。効率性を重視して安全性を無視してはいけない。
出勤し必ず朝礼をし、ゲストの連絡事項を共有し合い、終礼では必ず今日ゲストへの対応で良かったことを伝えあったり、どう対応すべきか悩んだことがあったらその場で話し合ったり、改善したほうが良いことがあればこの際で提案したり。
それぞれ運営スタイルはアトラクションやフードによって異なることはあるかもしれないが、都度話し合う機会があるのはどこでも変わらないのではないかと思う。
■「全てのゲストにハピネスを」のデータを蓄積する
ハピネスという言葉はかなり抽象的である。
私にとって、こうあることがハピネス、けどそれは相手にとって余計なお世話であるということは起こりうる言葉だ。
では、ディズニーが考えるハピネスとは何か。
明確な定義をしていた訳ではない。
事例をたくさん共有することで、キャスト間で共通のイメージを持ちやすい状態にしている。
素晴らしい対応をしたキャストの事例とゲストからの感謝の手紙をまとめて冊子にしていたこともあったし、素晴らしい対応をしているキャストはファイブスターカードというカードを社員から渡され、特別なパーティーに参加できるという特権もあった。
素晴らしい対応をしているキャストは、周りから褒められる数も多くなり、素晴らしい対応をするキャストとしてバッジをプレゼントされる。
それが胸元のピンバッジが誇りになり、新人はこの人を見本として真似れば良いのかというイメージができるようになる。
■マニュアルはあるのか?
よく聞かれる。どこまでマニュアルなのかと。
各アトラクションによって異なるとは思うが、基本的なマニュアルはある。
けどそれは操作的なものであったり、誘導方法など、本当に基本的なことばかりで、こういう対応をしたらゲストは喜ぶよ、というのはマニュアル化してない。
先述したように、常に彼らはSCSEという考え方で物事を毎日判断しているし、どうしたらハピネスなのかを毎日考えながら仕事をしている。
日々そのようなトレーニングを行っているからこそ、とっさの時も判断ができる。
また、彼らは他の先輩の素敵な対応を見て真似しあって、高めていき、それがアトラクションとしてのスタンダードの対応となっている、ということもある。
それがゲストから見るとサービスが均一化されていてすごいと感じる、というところかと思う。
言葉にすると単純ですが、これ、本当凄いことですよね笑
また、マニュアルは毎日変わっていった。毎日キャストがゲストのハピネスを考えているので、実はこの方が良いのではないか?効率的なのではないかということが生じる。
それはすぐにキャッチアップされ、運営に反映されていく。
その柔軟性もすごいところである。
■ゲストにハピネスを提供するためのフォローツールや仕組みがある
例えば、買った直後にポップコーンをこぼした。これはテンションが落ちる瞬間である。
そんな時はすぐキャストがかけより、リフィルできる特別なカードを渡す。
風船が割れてしまった時もそのカードをキャストから渡されて新しい風船がもらえる。
誕生日のゲストを祝うためのシールもあるし、妊婦のゲストがいたら、長時間並ぶのは体力的に難しいので、待ち時間を別のところで休んでもらうためのゲストアシスタントカードなどなど。
ゲストのハピネスを阻害する要因をすぐにリカバリーできる仕組みがあるのも、ディズニーのすごいところである。
■最後に
私はディズニーで働いていて、大切にしている想いをしっかり共有し、それを支えるための仕組み、教育があれば、楽しく働くことが実現できるのではないかと、アルバイトをしていて感じた。
そこからさらに「働く」ということに関わっていきたいという想いが強くなった。
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