Makoto Ozone Trio in NYC!
コロンバスサークルを見下ろすこの素敵な場所はディジーズクラブという、ジャズアットリンカーンセンター内のジャズクラブ。
パンデミック後初めて行ってきました!
知り合いの方にAtsukoさん、小曽根さんのディジーズでの予約もうなさいました?とメールをもらって、え?知らない、いつですか!と即返信しそうになって、冷静になり、自分で調べればいいかと、即ウェブサイトに行き、4月20日の1日だけのショウ、2セット両方予約完了!
じゃーん、ファーストセットは、なんとドラムのクラレンス・ペンさんの真横の席。ドラムの近くは結構音が大きいので普段は避けるけど、クラレンスさんだったら大丈夫と思ったら、その通り。彼の動きも音も優雅で繊細で本当にエレガントなドラミングに脱帽。素晴らしすぎ!私、音がうるさいドラマーは好きじゃないんだけど、クラレンスさんすごすぎ。ちなみに知り合いの方も1セット終わったところで興奮して話しかけてきて、クラレンスさんは素晴らしいとは知ってたけど、こんなにすごいとは思わなかったと叫んで、私があわてて、彼は日本語わかるかもよ!しー!と言った次第。
小曽根さんのピアノの音も真正面からダイレクトにガンガン聞こえ、ほんと美しいし、大迫力。ああしあわせ!やっとこうやって演奏が聴ける日が来たとちょっとうるっときました。
コロナのパンデミックの時に、Welcome to our Living roomと、ご自宅から毎晩配信をしていただいたのを思い出し、ほんと小曽根家の猫ちゃんたち、毎日お父さんが夜な夜な本気で弾きまくってさぞかしびっくりだっただろうな。
この日の為だけにYAMAHAの新しいピアノを入れてもらったということで、ピアノへのこだわりやいろんなものが伝わってきて、やっぱりさすが小曽根さん、この方すごいわとあらためて感動。ちなみに2セットが終わって、若いミュージシャンたちにYAMAHAの音はこうで、スタインウェイの音はこうで、と説明なさっていて、ほえー、そういうものなんだ~と聞いてました。
ベースの中村恭士さんは今ニューヨークで一番売れっ子のベーシスト。彼の演奏が大好きでいろんなところでいろんな人と演奏しているのを見て毎回本当に素晴らしい!と思い「素敵でした!」と一言お声がけするのが精一杯な私。(私、もともと人見知りだし、ほら、若い男の子はおばさんからいろいろ声かけられてもいやかなと。)今宵は小曽根さんとクラレンスさんとのケミストリーでさらにぐおーっと違う次元の世界へ連れて行かれたという感じ。自分の中に響いている音楽のベストオブベストを引き出されて出し切られたのではという感じ。一緒に演奏する人たちや曲でほんと変わるんだね~
途中、小曽根さんがクラレンスさんと中村さんにマイクを渡してトークタイム。クラレンスさんはドラマーのおしゃべりは通常はドラムなんだけど、となかなかかっこいいことを言いつつも、小曽根さんと最初に出会ったのはなんとFAXで、知り合いからリズム譜面がちゃんと読めるドラマーを探していると紹介されたら、いきなりFAXで9ページの楽譜が送られてきてどうしようと思ったけどそれ以来27年間一緒に演奏してるということ。
中村さんは、大学時代にトランスクライブ(耳で聞いてコピーして譜面に書いたり、演奏すること)していた小曽根さんから、クラレンスさんの推薦でお仕事の声がかかって一緒に演奏ができるって夢が叶ったと。
小曽根さんはクラレンスさんからは、一度たりとも同じ演奏を繰り返さない、いつも違ったアプローチで刺激を受け、まさにジャズでそれ以来ずっと一緒にやっているということ。
中村さんは自分達よりも若い世代で、前回は3年前にデトロイトで一緒に演奏して以来、これからもっともっと一緒に演奏していこうねとやさしく語り掛け、それにしても彼は日本人なんだけど、なぜか英語でしか話しかけてくれないんだよねと。(笑)
でもわかるような気がする、中村さんは小学校からシアトルで育ったということで、英語が堪能ということもあると思うけど、日本語で目上の人と一緒にお話しすると堅苦しくなっちゃうから、小曽根さんのようなフランクな方だったら、英語の方が対等に演奏したり話したりするときは気が楽かも。それが英語の良さかもね。だって私も今回クラレンスさんに初めて話しかけて、あなたのドラミングはダンスしているようで素晴らしかった!でもノーシエスタという最後の曲はダンスどころではなくランニングしてたけど!とか気軽に話しかけられたんだよね。やっぱり英語の誰とも対等というスタンスってそう思うとすごいかも。
ほんとこの3人のケミストリーはすごすぎ。私もニューヨークに長年住んでいるので普段から大概いい演奏を聞きに行っているのですが、やっぱりワールドクラスの演奏ってすごいな!と久々に圧倒され呆然となりました。
この後、週末にトロントのオスカーピーターソンフェスティバルで演奏するそうです。小曽根さんはお父さんがジャズピアニストで、なんと日本が戦争に負けた時、アメリカの進駐軍が小曽根さんのお爺さんのお家を占領して、夜な夜なダンスパーティーをしていたそうで、そのピアノの下に隠れてディキシーランドジャズに夢中になったのが小曽根さんのお父さんなんですって。それもまたすごいエピソードですが。
オルガンの天才少年と呼ばれていた小曽根さんは、子供の頃はバイエルが彼には子供だましに見え大嫌いで、スウィングしないということでピアノは辞めちゃったそう。そんな小曽根少年はオスカーピーターソンさんのコンサートに行ってものすごく感銘を受けて、その日の夜に家に帰って、お母さんにピアノ習いたい!と言ってピアノを始めたそうです。大学時代オスカーピーターソンさんのようにピアノが弾ければとにかく幸せだったということで、もう彼は亡くなったけれど、生前交流があり、そのオスカーピーターソンフェスティバルに招待されて演奏することはとても光栄なことと楽しみになさってました。
ニューヨークからトロントはフライトで2時間くらいで近いので、一瞬行こうか!と思い、航空券代を調べたらもう$500越えだったで諦めました。まだ国境越えの2回のPCR検査とかも面倒だしね。
それにしてもまた近いうちにどこかで絶対聞きたいスーパーアメイジングなトリオです!
ディジーズクラブの方も私たちが2セット予約してると言ったら、2セット目、好きな席選んでいいわよ、そのまま中にいて大丈夫と言ってくださって、ステージほぼ真ん中の席で見ることができました。ここだとクラレンスさんのドラムが前にガンガン心地よく聞こえて、やっぱり場所によって音の聞こえ方も違ってとても面白い体験ができました。
素敵な夜をありがとうございました!
PS.クラレンスさんはフロリダの大学で教える仕事が決まったそうで、もっともっと練習しなきゃ、とおっしゃっていてびっくり。小曽根さんもものすごい練習をするストイックな方。そう思うと私なんか、もっともっとx3万倍くらい練習しなきゃと刺激を受けました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?