シンプルで伝わりやすい英文メールのコツ
「英文メールを書くのに日本語の何倍もの時間がかかってストレス」
というお声がよくありますが、とにかくまず、
『相手に何をしてほしいのか?』ということを、『その理由』とともに明確に伝えるだけでいいです、とアドバイスしています。
たとえば私のクライアントのAさんで実際こんな事例がありました。
これまで親会社のUSから定期的にレポートが送られてきたのですが、突然、今後はそのレポートは送りません、と言ってきたそうです。
そのレポートを元にして日本用に加工していたAさんは、何の前触れもない突然の決定事項に困惑し、12月いっぱいまでは今のプロセスを延長してもらうようお願いする必要がありました。
その時のAさんが書いた下書きがこちらです。
まず1文目で何をしてほしいか?を明確にし、2文目でその理由が書かれているので、メールの構成としてはこれだけでOKです。
ただ、さらに洗練するためには注意するポイントがいくつかあります。
まず1文目では1か月延長するは、for one more monthではなく、by one more monthとなり、また、いつまでかという前置詞はuntilなのでuntil the end of Decです。
さらに、副詞のkindlyをつけるとよりソフトにお願いしている感じがでますね。
次に2文目ですが、becauseの前後が結論と理由の関係になっていないですね。
「急な知らせだったので現行のプロセスを変える必要がある」
というのは事実として少しおかしくて、正しくは、
「USからレポートがもらえなくなるので、現行のプロセスを変える必要があり、それには時間が必要だ」ということですね。
「急に言わないで欲しい!」という気持ちをどうしても伝えたかった、ということで、とても分かるのですが、よりロジカルに説明するのであれば以下の方が分かりやすいですし、また、これであれば急すぎたのだな、ということも伝わります。
そして最後の文は間違いではないのですが、would とcouldと丁寧表現が重なっているのがくどい感じがするので、結びの言葉の定型文としていくつかパターンを覚えておくといいかと思います。
欧米文化と日本文化との決定的な違いは、
日本人が「良き聞き手であること」すなわち、「いかに察することができるか」ということが重要なのに対して、
英語圏では「良き発信者であれ」を求められることが一番大きいです。
したがって、よく日本人が話す(書く)英語は、いつもどこか回りくどくて、英語圏の人たちには何をしてほしいのかが分かりにくいのです。
英文メールを書くのに時間がかかるのは、相手にしてほしいことをストレートに伝えずして、周りの状況説明からしようとする日本的なコミュニケーションの癖が原因になってることが多いのではと感じます。