#2 チョリータさんのこと
(私が)ボリビアを語るのに避けて通れないのが「チョリータ」さん。
そのビジュアルに虜になった私は、ボリビアから一時帰国後にチョリT(チョリータTシャツ)を作り、チョリータの普及活動に勤しんでいた。(というわけではないが、ただ好きで作って着ていた。そして周りの人にも勧めていた。)
ボリビアに来て、満を持して、ご本人と並べました。
チョリータとはアンデス地方の先住民の血を引く女性のことを指し、彼女たちの纏う民族衣装、長い三つ編みに山高帽というスタイルは特徴的で目を引く。ボリビアは南米最貧国とも言われているが、良くも悪くも外との交流が困難な内陸国なだけに、独自の文化が色濃く残っていて魅力的。
ラパスの町では、チョリータさんを目にしない日はない。
道の角でフルーツやチーズ、パン、雑貨などを売っているのは、ほとんどチョリータさん。その商売道具一式?大量の荷物をMinibus[ミニブス]と呼ばれる乗合バスに運び込もうとする姿も目撃した。これ全部載せるんですか?笑
もう見慣れているはずなのに、チョリータさんを見かけると、「は!♡」と心がときめく。なんなんだろう、この気持ちは。
パンを買う列に並ぶチョリータさん。もうこの地点でお金を出して数えていた。なんてかわいいんだ!
渋いコーディネートのチョリータさん。基本はレイヤースタイルなので色合わせ、柄合わせの遊び方にセンスがでるな、と思ったり。椅子のブルーが効いている。
娘はまだチョリータスタイルではない。何歳からこの格好になるんだろう、という疑問が湧く。
滞在していたホテルの向かいは学校で、平日にはお迎えと思われるお母さんたちが道に列をなしている。お迎えというか、だいぶ長い時間、道に座り込んで話したり、ご飯を食べたりしているので、結局何の時間なんだろう?と思う。ホテル滞在最後の日の夕方、買い物に出かけた帰り、いつものように道にお母さんたちが座り込んでいた。中にはチョリータさんもいる。
ふたりの女の子が塀を登る遊びをしていたのが可愛くて、その様子をじーっと見ながら、違和感なく自然に彼女たちの遊びに入ってみた。
このあと順番にふたりを上まで持ち上げたのだが、奥の子はけっこう重かったな。しばらく一緒に遊んでいたらお母さんが、こっちへ来なさい、と呼ぶ。奥のぽっちゃりした彼女のママはチョリータさんだった。なるほど、彼女もまだ5、6歳にしてしっかりチョリータの顔をしているな、と思ったり。晩御飯を作りにホテルに帰ろうと「ちゃおちゃお!」と手を振ると、チョリータママの横に座った彼女が「mañana!(また明日)」と手を振ってくれた。次の日には前に住んでいた家に引っ越す日だったので、明日はもうここにはいないのよ、、、と少しさびしくなりながら、また時間があればこの道に遊びに来ようかな、と思った。
ホテルを離れる日の午前中。部屋の窓から収めたチョリータさん。
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ATSUKINO(アツキーノ)
2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。
現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/