#28 病み上がりに極寒のウユニ塩湖へ。そして、星空のなかの温泉にて泳ぐ、ボリビア旅(後編)
7月2日、ウユニ旅二日目は朝6時に起床。外がぼんやり明るく美しい朝焼けが窓の外に見える。
前日に引き続き、盛りだくさんのスケジュールなので、7時半には宿を出る予定。朝ごはんは、パンと卵。家から持参したオレンジとターメリック、ジンジャーのお茶で体を温める。
キッチンから、きっとお昼ごはんの支度をしていたであろう、ガイドのイヴァンが現れる。めちゃくちゃ早起きしたんだろうな、ありがとう。
食事をすませて荷物を車に積み、出発。この日はひたすら南へ走る。まずは宿から近くの、小さなゴーストタウンに向かう。ここもかつては鉱物採掘で働く人たちが住んでいた、と言っていたかな。ポツンと佇むブランコとすべり台。シーンと静まり返った町にも、まだ数十人は住民がいるらしい。
ここ以降お店はない、とのことだったので、必要なものを購入。夜の温泉に備えて私はキヌアのビールを一本買った。
しばらく散歩していいよ、と言われるものの、朝8時過ぎの、まだひんやりした空気に耐えきれず、そそくさと車に戻る。ブランコで遊び、鉄の鎖を握ったからか、よけいに冷えてしまった。
車でどんどんと南下する途中、リャマの大群に遭遇。わたしたちの前をゆっくりと歩いていく。そのおしりがなんとも愛おしい。
車から見える景色もコロコロと様変わりし、楽しいドライブがつづく。この日はいくつかの Laguna(=湖)を訪れる予定。運が良ければ、フラミンゴが見れる、と言われ、ワクワク。
道中、リャマの群れが休憩しているエリアで車を止めてくれた。こんな至近距離でリャマを見られるとは。気持ちのいい場所でしばらくゆっくりリャマと戯れる。
なかなか車に戻らないわたしたちに向かって「行こうー!!!」と叫ぶガイドのイヴァン。日本語で(笑)。車中で日本語、オランダ語(一人オランダ人の女の子がいたので)を勉強していたイヴァンは、要所要所でちゃんと使ってくる。
その後、また景色が一変し、ゴツゴツした巨大な岩の並ぶエリアを走る。あるところで車が止まった。まわりの景色を楽しむ、のと、トイレ休憩。自然のトイレスポットだよ(隠れる場所がふんだんにある!という理由で)、と促される。良き場所を探し、用を足すわたしたち。
その後、少し車を走らせ、湖に到着。静かな風景。ディオンが寒さを紛らわすためにぴょんぴょん跳ねながら踊っていた。かわいい。
また車に乗り込み、ランチをとる場所まで。湖のほとりの小さなロッジにて昼食。この日も用意されたメニューに満足のわたしたち。
そして Árbol de Piedra (=石の木)を見にいく。すごい形だ。
その後、Laguna Colorada[ラグナ・コロラダ]へ向かう車。夏には数えきれないほどのフラミンゴがいるというが、今は冬なので、どうかな、と言われるも、たくさんのフラミンゴに会えた。赤、ピンクに見える湖で約一時間ほど、静かに夕方の散歩。
だんだん冷えてくる空気。車の中が暖かく幸せ。そして、宿に着く前の、この日最後のスポット Sol de mañana[ソル・デ・マニャーナ]へ向かう。地熱の盛んなエリアで、なんとも不思議な光景を目にすることができる。
待ちに待った温泉への期待に胸がふくらむ。本当に天然の、自然の、温泉。このためにビキニも購入し、ビールも買った今、準備は万端です。
前日のホステルに比べ、二日目の宿は簡素で何もない、期待するな、と言われていたが、宿に着くとそこまでひどくない。たしかに電気は使えなかったものの、水は出るし、トイレもある。しかも、温泉が宿から徒歩二分ほどの場所にあり、体を温めてからすぐ寝られるので、まったく問題ない。
この日の夕食は、旅行会社から赤ワインを用意してくれていて、スープとパン、パスタで楽しく最後の夜を過ごす。
そして夕食後、水着を着て、いざ極寒の、そして真っ暗闇の温泉へ。6ボリビアーノスを支払い、温泉横の小さなたてもので上着を脱ぐ。十歩ほどの温泉までの距離が、試練。そっとお湯に足をつけ、体を沈ませる。天国〜〜〜〜!!!「髪の毛を濡らさないようにね」と、言われる。濡れた髪が外気ですぐ凍ってしまうので注意せねば。お湯がしっかり熱いので、すごく温まる。そして何より、天の川も見えるほどの満天の星空。流れ星も見える。数人の旅行客との会話を楽しみ、そしてビールを飲みつつ。至福の時間・・・「これです!これを欲していました、私!」ウユニ塩湖の景色も最高だけど、この温泉は、本当ーーーーに貴重な経験。と、個人的にはおもう。
もうひとつ、ぬるめで深いお湯がそばにある、というので、ガイドのイヴァンについて、そちらの方にも行く。真っ暗で足場が見えない!裸足なので、やや怖い。そしてお湯に到着。たしかにぬるい。少し深いので、大好きな平泳ぎでゆらゆらお湯の中を泳ぐ私。うまく泳げない、というイヴァンに、ディオンが泳ぎ方をレクチャーする。温泉で平泳ぎを練習するイヴァン。真っ暗なので、みんなちゃんとそこにいるか声をかけ合って確認し、また熱いお湯に戻る。外を歩く時間は地獄。熱いお湯に浸かると、天国。。。
私が、得意のマッサージをみんなに伝授する。ビールを飲みながら、みんなにマッサージしたり、お返しにマッサージしてもらったり。体がほぐれてゆらゆらとお湯の中を漂う。その後、若者たちと離れ、歳の近いイヴァンとふたりで色々とプライベートな話をしていた。星空の温泉というロマンチックなムードも手伝って、だんだん甘い空気をつくってくるイヴァンが「Eres bonita, una chica bonita.」(=君はかわいい)と、口説いてきた。「ありがとう、もう宿に戻ろうか」と私。「No te vayas,,,」(=行かないで)もう少し一緒にいたい、と引き止められるも、そのまま温泉を出た。
やっぱり温泉の効果がすごいのか、体は温まっているし疲れも取れたような気がして、その日はすぐにぐっすりと眠りにつけた。
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翌朝、旅の最終日は7時起床。電気のない夜は見えなかったが、こんな部屋に泊まっていた。
この日は朝食にパンケーキが用意されていて、みんなテンションが上がる。Nutella があったので、やった!とパンケーキにぬろうとするも、冷気で固まっていた。
この日、Laguna Verde[ラグナ・ヴェルデ]へ行くプランではあったが、朝の時間だとそこまで緑に見えない上、前日の Laguna Colorada に比べて規模も小さく、期待はずれのケースも多い、と昨晩言われていた私たちは、イヴァンのおすすめルートに変更することにした。朝食後、荷物を車に積む。
まずは Desierto Salvador Dalí へ到着。ダリの絵画のような景色の砂漠、ということらしい。ここでもイヴァンの指示のもと、トリック?写真を撮る。
この日はウユニの町へ戻るべく、車は北上。車中の時間も長く、音楽を楽しみながら、時折うとうとと眠る。お昼ごはんの前に着いた、火星のような景色の場所をみんなで散歩。
外の散策を終え、昼食をとる場所へ戻る。旅の思い出をみんなで振り返りながら食べる最後のランチ。それにしても毎回の食事の用意をちゃんとしてくれていて、ありがたい。とてもいいツアーだったな、としみじみ。
昼食の後、外を少し散歩。「ここに住んでいる人はどんな生活をしているの?」とイヴァンに聞くと、「必要最小限の暮らし」と。何を食べて生活しているんだろう、こんな土地で野菜とか育つのかな、と疑問が湧く。
食事の片付けも終え、みんなで車に乗り込む。再びドライブ。大きな谷に着き、少し散策。風が強く、煽られて落ちないように冷や冷やしながら、写真を撮る。
ただただ自然の雄大さ、南米大陸のスケールの大きさに息を呑む。なんでこんな形になったんだろう。地球の不思議。
その後、ウユニに着く前の最後の町 San Cristóbal に到着。車の中が暑かったのでアイスを買って食べながら、その小さな町を歩く。すると道の向こうからリャマが一頭、歩いてやってきた。
そろそろ車に戻る時間か、と、そのリャマを連れてみんなのいる場所へ歩く。すると、「アツコがリャマを連れてきた!」と。地元の人にとっても珍しかったらしく、ケータイで写真を撮るおじさん。
西日の強い日を受けながら北上し、夕方5時ごろにはウユニの町に戻ってきた。この日、一泊して次の日の朝のバスで、景色を見ながらゆっくり帰る予定だった私と友人だが、着くなり「明日のウユニ発のバスがストライキで動かない可能性が高い、ホテルに泊まるか、夜行バスで今日帰るかどうする?」と。町から出られなくなるとどうしようもないので、夜行バスで帰る選択をした。ここで、ガイドのイヴァンとはお別れ。
他の仲間たちも夜行バスで帰るとのことだったので、一緒に夕食をとり、バスの時間まで待つ。夜行バスはゆったりのシートで、思っていたより悪くない。
毛布も用意されており寒さもまったく感じず、ラパスまでの時間、しっかり寝ることができた。
家に着き、シャワーを浴びる。そして、旅の写真を見ながら楽しかった時間を振り返ると、毛量がすごいな、、、と自分の髪の毛の成長に気づいた私は、一日時間ができたのもあり、さっそく家で髪を切った。
旅をして、髪を切った私は、気分転換できてすっきり。ボリビアの自然の豊かさ、景観の豊かさに触れることができて、なんだか気持ちが軽くなったウユニ旅。また機会があれば夏の時季にも行ってみたいな、と思うくらい、自然に癒された三日間の旅でした。
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