2年ぶり、ボリビアへ向けて出発(前編:日本出国〜アメリカ)
¡Hola! デザイナーのAtsukinoです。
このページは、いま私がいる南米ボリビアでの日々のいろいろを写真とエッセイでお伝えする旅日記です。まだ動きの取りづらいこの時期に、日本の裏側ボリビアまでやってこれたことをありがたく感じ、この環境下での体験を記録し、共有したいとおもいます。
ボリビアの文化やボリビアデザインの今を知りたい、旅気分を味わいたい、ラテンの風を感じたい、またJICAボランティアの活動に興味のある方々に、この日記を楽しんでいただければうれしいです。
(*記事最下部にボリビアの紹介文があります)
まず、私の紹介から。
私はいま、ボリビアでJICAボランティアとして、グラフィックデザインの指導、デザイン教育環境改善の職務にあたっています。2020年1月に一度赴任したものの、世界的な新型コロナ感染拡大の影響で同年3月には一時帰国。この度晴れて赴任地のラパス(ボリビア実質上の首都)へ戻ってくることができました。これから2023年の3月までここにいる予定です。ボリビアの暮らしに根ざした文化(特に、食・音楽・地域の行事)も体験しながら、ここでの限りある時間を過ごしたいとおもっています。
==========
《プロローグ》
コロナ禍の羽田空港から発つ
2021年11月24日 jueves 14:00_ 羽田空港入り
-
PCR検査を受けるため、出発前日に空港入り。空港直結のホテルにチェックインし、午後3時、空港の検査所にてPCR検査を受ける。結果を受け取るまで4時間半。感染予防はしていたものの、無症状の可能性もあるので結果が出るまで本当にドキドキした。時間がたっぷりあるので、カメラを携えて空港内を散歩。いつもとは違う光景を写真に収める。
自分の靴の音が響くくらい静かな空港内。
東京オリンピックのために改良されたであろうチェックインカウンターは、スーツケースもフロアと同じレベルから預入できるように改良されていた。
午後7時半、無事に陰性証明をもらえたので、ボリビア入国時に必要な宣言書を作成しようとホテルの部屋に戻り、ウェブサイトで入力を試みるもエラー続きでどうしようもならず。結局、入国時に紙に記入する方法をとることになった。コロナ禍で出入国の手続きが増え本当に大変だなーと実感。とにかく揃えるものは全て揃えたので荷物を整理し、あとは一日半の長旅に備えて寝るだけ。日本最後のディナーは、テイクアウトの天丼にした。
==========
2021年11月25日 viernes 10:55_ 出発
-
前回は岡本太郎Tシャツを着て出国した。敬愛する太郎さんとともに出発。
今回は10月までお世話になった奈良の「たんぽぽの家」の作家、ふうちゃんの描いた山嵐のTシャツで出国。ボリビアデザインの可能性として、障がいを持つ人とデザイナーの連携の実例を現地の教員や生徒たちとも共有したく、こういったTシャツや雑貨、張り子などボリビアへ持ち込む。
羽田でのチェックインは結局1時間以上かかった。
行き先の国ごとに異なるコロナ関連の必要事項のチェック。しかも随時情報が更新されるという複雑さ。この確認のためカウンター業務に時間がかかっている様子で、航空会社も大変だ。おつかれさまです。
今回のボリビア行きの行程は【羽田 − ダラス − マイアミ − サンタクルス − ラパス】ダラスとサンタクルスではそれぞれトランジットが3時間と2時間ほどだったので、スムーズにアメリカ入国審査とボリビア入国審査ができるか不安だった。前回は10人での移動だったが今回は私一人。全ての経由地で一度荷物をピックアップする必要もあり、一人でバタバタはしたけども、マイペースに動けたのでそれはそれですごく楽だったような気もする。
最初の経由地アメリカのダラスで入国審査を終え、出発のセキュリティ・コントロールにて上着を脱いで手荷物チェックを受けた時に「そのTシャツなんや?」と係のおっちゃんに聞かれて「Porcupine!」と満面の笑顔で答えた。ふうちゃん、アメリカのおっちゃんにも興味持たれたよ!すごい!!とうれしい気持ち。
入国・出国審査が意外とスムーズだった上、マイアミ便が少し遅延していたのでその間にメールを確認し、ボリビア現地事務所のスタッフさんに一旦こちらの状況を連絡。ボリビア入国までのフォローも丁寧にしてくれるので一人の移動ではあるけども心強い。そしてコーヒーとブリトーを買って、お腹を満たしてからマイアミへ向かう。アメリカといえども、耳に入ってくるのは英語とスペイン語が半々くらいかな。
マイアミでは8時間のトランジット。荷物のピックアップ時にこんな人を見かけた。勝手に親近感。ていうか、どこで売ってるんや?その服。
大阪の友人に「こんな奴おったで」とLINEすると「話しかけて!!!」と返ってくる。いや、話しかけん。
ここまではJALとAmerican Airlinesだが、マイアミからはBoliviana de Aviación。一気にボリビア色が強くなる。「マイアミでのチェックインにはかなり時間がかかるので早めに」とのアドバイスをもらっていたので、出発の4時間前にカウンターに行くとすでに長蛇の列。しかも動かない!
みんな、えげつない量の荷物。なぜにこんな大量のスーツケースを・・・その上、開いているカウンターが少ない・・・おいっ!
並んで待っている間、ボリビア入国用の宣言書に記入し、1時間経ってようやくカウンターにたどり着く。パスポートと必要書類を提出すると二つの書類について「今は11月なのに承認スタンプの日付が8月と9月だぞ。なぜ更新されていない?」と受け付けてくれない・・・おいっっっ!!!
係の人に、私は「知らんわ!この類の書類は受け取れるまで時間がかかるから、早めに用意するねん!この日付以降やったら基本的に有効やろ!」と(スペイン語では対応しきれず英語で)言うと、「今からボリビアに確認をとるから少し待って」と、チェックイン待ちの列の端で待たされた。数分後カウンター内から笑顔で親指を立てる係の人の姿。なんとかチェックイン完了。ホッ。。。
これでようやくボリビア・サンタクルスへ向かうことができる。
ボリビアへ入ってしまえばこっちのもの。
23:00発のマイアミ − サンタクルス便は7時間ほどのフライトなのでここでしっかり睡眠を取らなければ。最初のフライトでうまく寝られなかったので、高山病に備えるためにもここでの睡眠は必須。サンタクルスのビルビル空港の標高は370mほどだが、ラパスのエルアルト空港は世界一標高が高く4000mを超えるので、急性高山病に注意が必要。高山病の予防薬としても使用されるダイアモックスを服用し、気休め(?)の濃縮酸素サプリも数滴口に入れ、いよいよボリビアへ入国します。
〈後編へ続く〉
-
| ボリビア の 紹介 |
ボリビア多民族国は南米に位置する内陸国でペルー、チリ、パラグアイ、ブラジル、アルゼンチンと接する。公用語はスペイン語だが先住民も多く、アイマラ語やケチュア語といった先住民言語も数多く存在する。
ラパスは標高3600mほどの高さに位置するボリビアの実質上の首都。
アンデス山脈に囲まれた高低差の激しい町で、その景色は雄大。
2月にはカーニバル(スペイン語では「Carnaval=カルナバル」)もあり、ボリビア・オルロのカーニバルは南米3大カーニバルのひとつ。
多民族国と言われるだけあり、その土地により形式の異なる伝統的なダンス、音楽や衣装、その熱狂ぶりも堪能できる。また、ボリビアには先住民の血を引く「チョリータ」という女性がいる。長い三つ編みとかさ高の帽子、何層にも重なるスカートが目を引き、とても魅力的。
ボリビアには現代的な生活と先住民の伝統が入り混じる独特の空気がある。
-
ATSUKINO(アツキーノ)
2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/
スコットランド時代、イタリア人の友人フランチェスカに「アツキーノ」と呼ばれていた筆者。ラテン系の文化圏では(?)恋人や自分の子供、愛しい人のことを「〜in(ñ)o=○○○ーノ(ニョ)」「〜ito=○○○ート」と語尾を変えて呼ぶ習慣があるよう。メキシコ人の友人も彼氏のパブロ(現だんな)を「パブリーニョ」と呼んでいた。スペイン語で「少し」にあたる「un poco=ウン ポコ」も「ほんの少し」と言いたい時は「un poquito=ウン ポキート」さらに「ほんのちょびっと」だと「un poquitito=ウン ポキティート)」と言ったりする。