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レベニュー思考で営業部門のタイムマネジメントを考える

皆様、2023年の幕開けはいかがお過ごしでしょうか。
 
最近、他社の営業組織や事業責任者の方とお話しする機会があり
その際に一同盛り上がった話が「タイムマネジメント」。
一見ありふれた話のようにきこえるかもしれませんが、タイムマネジメントは、ビジネスを成功に導くために必要不可欠なスキルです。
事業収益を最大化させるレベニューマネジメントにおいても「時間」をどう考え、マネジメントをするかは非常に重要な鍵となります。

今回は組織の収益性を念頭においたレベニューマネジメントの視点からタイムマネジメントの考え方についてまとめてみました。

営業部門の「時間」=「資源」
 
営業部門において、時間は重要な活動資源の1つ。事業収益を最大化させるためには、生産的な時間を増やすことが大切です。

1日の平均稼働を10時間としたときの年間総時間のグラフ

年間の業務総時間は2,400時間と限りがあるため、時間を有効に使わなければあっという間に消えてしまう…というのは一目瞭然。生産に貢献する時間を増やし、生産に貢献していない時間を減らすことが必要です。

これは当然のように思われる方も多いかと思いますが、営業部員の活動時間の内訳を把握しているマネージャーは少ない印象です。古いやり方でマネジメントを実施していて営業部員に負担を課している可能性もあるかもしれません。そこで、営業部員の生産力を高めるために、”もったいない時間“の使い方について現状を把握することがスタートラインになってくるのです。

Excelでもできる!営業部員の時間の使い方を把握


「営業部員の時間の使い方を把握するための調査、分析」と聞くと、それ自体が大変そうだと尻込みしてしまうマネジメント層の方もいるかもしれません。しかし私が営業組織の再生のために事業部門から営業マネージャーへ異動になった際に、実施した調査はいたってシンプルです。
 
複数の営業部署から数名をピックアップして、1ヶ月間だけExcelに日別行動ログの入力をお願いしました。

このときにポイントになるのが、行動ログを取得する項目をこちらであらかじめ設定しておくこと。入力者の負担軽減ができ、毎日の業務終了後5~10分ほどで入力が完了するくらいの手間です。

私の場合、下記円グラフの項目を設定しました。
各人の入力したExcelを統合して集計するだけでグラフをつくることができたので、ExcelやGoogleのスプレッドシートさえあれば、すぐにできます。
※スケジュールツールからデータをエクスポートして収集する方法やログ管理ツールの導入などの方法もありますので、組織の状況に合わせて方法を検討してみてください
 

そうやって得られたデータが上記の結果です。
業務時間における「商談時間」は約34%。意外に「ピュアセールスタイム(収益に直接貢献する時間)」がとれていないことがわかりました。それに対して、移動時間や事務作業は合計約40%と商談時間を上回っていることが分かりました。
 
大まかな活動時間の内訳が分かったところで、次にこの結果を元に定性的な聞き取り調査を行いました。

〈聞き取り調査のコメント抜粋〉
・予算実績の報告書をまとめるために多くの時間を費やしている
・週報に多くの時間を費やしている
・予算の着地を確認するための会議に多くの時間を費やしている
・マネージャーが活動件数をトラッキングしているため、とにかく多くのお客様へ訪問している


 特にこの時期は営業部員の離職が重なったタイミングであったため、引継ぎや工数も多く発生しており現場のメンバーの負担は多かったと思います。

以上の調査を踏まえ、実施した施策の一部がこちら↓
これらの施策により、1人あたり250分/週の時間削減に成功しました。実稼働週を34週とすると、年間8,500分=141時間の余剰時間を生み出した、と言えます。
 
・予算実績や週報の廃止
SFAに案件登録を徹底し、登録されたデータを元に予算実績や着地見込、週報を自動生成する仕組みを整えMail(週報)、Excel(予算実績)やPPT(着地見込み)の報告書を廃止

・活動件数のKPIを廃止
件数をKPIとしている場合、顔見知りの訪問し易いお客様へ訪問し、件数を達成している営業部員が複数いました。これらを廃止し、ターゲットとなる企業に対するリーチ進捗と週間の活動成果(新規案件登録数/金額、失注中断数/金額、滞留案件数、進捗案件数、受注案件数/金額)を自動集計する仕組みを整えました

・予算の着地を確認するための会議時間の短縮
SFAの登録を徹底したことにより、予算と予算ギャップ、現在の受注金額と見込み商談数、見通しを自動集計する仕組みを整えたことで、予算状況や見込みを問いただすための時間を削減し、見通しに従い、対策案を討議する会議内容に変更

余剰時間の再投資先はマネジメントが道しるべを


このように効率化で余剰時間を生み出せたとしても、成長機会に乗せていけるか、その時間をいかにうまく使えるかは、マネジメントの力量が試されます。
 
余剰時間が生まれても有効な時間の再投資先が見つからないと、余剰時間は不要な資源に…営業部を減員し、投資費用を削減するということも選択肢に入るかもしれません。しかし成果が見込める投資先があれば、余剰時間を再投資するなどの手段が出てきます。
※これらの判断は組織の状況や事業フェーズによっても異なります
 
私は「今ある需要を食うだけでは、いつかは需要が枯れる」ということを前提に活動していますので、まだ成長機会が残されていると感じていたこの時は、ポテンシャル分析を行い短期に成長余地が大きいと判断した市場へ営業増員、長期リード育成行うためのインサイドセールスチームと新規市場開拓チームの組成を行いました。
 
成長のための挑戦は試行錯誤が必要になり非効率になりがちです。でもその挑戦があるからこそ、組織やメンバーの成長があるのです。
効率よく回す車輪と新しい需要をつくることは、短期的には非効率な結果を生むかもしれませんが、長期的には組織を大きく成長させる可能性のある車輪、両輪を回していく発想もマネジメントとしては持ち合わせておく必要があるのではないでしょうか。

人数が多い営業部門だからこそレバレッジが効く


少し話が脱線しましたが、タイムマネジメントの考え方は少数の組織や個人はもちろん、営業部門の規模が大きければ大きいほどレバレッジが効きます。
1人あたり年間8,500分=141時間の余剰時間を生み出すことができたとして、下記のケースを見ていきましょう。

〈営業人員100名の組織のケース〉
1件当たりの商談時間を移動時間込みで3時間とすると+47商談

受注単価200万円の場合、1件でも受注ができれば1人あたり年間200万円の売上増

×100名であれば2億円規模の売上増につながります

従業員の数を増やさなくても売り上げを増やすことができる、つまり生産性と生産高が上がることになります。
 
マネジメントに求められるのは、いくら投資して、どのくらいの成果を出すかということですが、タイムマネジメントは重要な経営資源である「時間」をどのように使うかというプロセスの領域を考える上でとても重要な手法だと考えています。

「営業人数」と「売上」という数値だけでは、どこにマネジメント可能な「変数」があるのか分かりませんが、「プロセス」を紐解けば(今回のケースでは活動時間の内訳の把握)、組織を前進させるための「仮説」が見えてきます。

まとめ


時間の使い方を現状把握する(簡単なExcelと少ない労力で実現可能!)

生産性の低い項目の割り出し、効率化への施策を組織的に実施

生まれた余剰時間の再投資先をマネジメントが組織的に指示
※新しい需要、新たな対象市場をつくるための発想も必要

今までと同じインプット(営業人員のコスト)でアウトプット(売上)を最大化

レベニューマネジメントの実現へ
 


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