離島の暮らし
私は現在、人口100人ちょっとの小さな島の診療所で働いています。
離島には、都会とはまた異なる文化や人間模様などがあり、とても興味深く面白いのです。
今回は、そんな愛すべき離島あるあるをお伝えしていきます。
上陸初日に視線が刺さる
私がこの島に赴任したのは約半年前のこと。
船の中で船員さんと少し島のことについてお話を伺い、島に到着して一歩足を陸に踏み出した瞬間。港務所(船の待合室)に屯している男衆の視線が刺さる刺さる!
島にやってくる人は殆どいないので、久しぶりの人間にみんな興味津々だったようです。
島までの交通手段は一隻の船しかありません。そして島で唯一の社交場になっている港務所は常に島民(特に漁師)が屯しています。そのため、島で見ない顔はもれなく島民の視線に晒されることになるのです。
島の男衆はいわば、頼もしいパトロール隊といったところでしょうか。
みんな親戚?
嘗ては500人を超える人が住んでいた島も、今ではその1/5と減少、そして高齢化が進み島の外に住む家族の所へ引っ越す人たちもいて現在も減少の一途を辿っている状態です。
さて、そんな島の人口が減っていくとどういうことが起こるか。
『島民ほとんどが親戚!』です。
結婚したのが島民同士となると、その夫婦の家族同士が親戚となります。そのため、そんな家族が増えた結果、島内の誰かと誰かが遠い親戚にもなってしまうのです。
この関係の良いところはずばり、助け合えることです。
高齢化で過疎化が進む小さな島では、独居の高齢者世帯も少なくありません。島中の人が何かしらで繋がっていると、何かあったときはもちろんのこと、日常的に『隣の家からに醤油を借りにいく』ようなことも可能ですし、多めに作った食事を分けることもできるのです。たとえ親戚同士でなくても、島ではこのような文化が日常に浸透しているように感じます。
島で暮らすために大切なこと
私は職業柄のおかげなのか、有難いことに島中の人と交流を持つことができています。島に赴任した当初から魚や野菜を頂いたり、日常生活でも助けていただいています。私が差し上げるものがないのが心苦しいと感じることもありますが、そこは自分が唯一できる『医療』を誠心誠意努めていくことが唯一の恩返しになるのかな、と思って日々接しています。
島で暮らすには、そこの住人ととにかくコミュニケーションをとることに尽きると思います。島の人たちはお互いを知っているので、新参者がやってくるとやはり気になるものです。そこで自分から積極的に関わり、受け入れてもらう姿勢が大切だと強く感じました。
おわりに
今回は島の特徴と、そこで暮らすために大切にしていることについてお話ししました。おそらく都会に住んでいる人にとっては、隣に住んでいる人を知らない、なんてことも大いにあるでしょう。隣人について必ずしも知る必要はありませんが、自分に何かあったとき助けてもらえるように、ある程度コミュニケーションをとっておいて損はないと思いますが如何でしょうか。
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