内定承諾時に抱えていた「事業会社に新卒デザイナーとして入社すること」への不安を今の視点で振り返ってみる
この記事はRetty Advent Calendar 2023の16日目の記事となります!
はじめに
はじめまして、Rettyの23卒デザイナーの木原です。
大学3年生の頃、とあるデザインとの出会いをきっかけに「自分もデザイナーになりたい」と思い、グラフィックデザインの専門学校に編入した後、この春に待望のデザイナーとしてのキャリアをスタートすることができました。入社してからの半年間を振り返ってみると、さまざまなことを経験し、その中でたくさんの学びを得ることができています。
しかし内定承諾をする際には「ファーストキャリアを事業会社にしていいのか?」ということに悩んでいました。もしかすると自分と同じような悩みを抱えている人もいるのではと思い、入社してからの半年を振り返り、あの頃の悩みがどうなっているのかを書いていきたいと思います。
この記事を通じて、同じような悩みを持つ人に、自分の経験が少しでも参考になればと思っています。
(※ 前提としてどちらの選択が良いかではなく、自分がどのように感じており、どう変わったかに焦点を当てています。)
大好きな飲食店の力になりたくてRettyに入社した
なぜRettyへの入社を決めたのかを簡単にまとめると、デザイナーとして好きな飲食店の力になれる事業領域かつ、思想に共感できるRettyで働きたいと思ったからです。
自分は昔から飲食店での会話が好きで、そこで得た経験や人が自分を育ててくれたと感じています。しかし、コロナの影響によって、大好きなお店が苦しそうにしている姿やシャッターを下ろす光景を見て、ただ食事をすることでしか貢献ができない自分の無力さを感じていました。
そんなことを考えている折、ReDesigner for Studentさんを通じてタイミングよくRettyに出会い、面接に進みました。
面接をしていく中で、どういう思想でプロダクトを運営しているのか、中の人たちがどうプロダクトと向き合っているかなどの話を聞いていくうちに、Rettyの思想に共感し、自分も同じように熱意を持ってRettyのプロダクトに関わりたいと思い入社を決めました。内定の連絡をもらった時は、喫茶店で小さくガッツポーズしたのを鮮明に覚えています。
ちなみに入社式ではお世話になった店主さんたちのことを紹介しつつ、入社の理由を熱く語りました!
ある悩みからすぐ内定承諾をできなかった
内定を喜んだものの、すぐに将来に対する不安が頭をよぎりました。
それは「ファーストキャリアを事業会社にしていいのか?」ということでした。今になって思えば答えを出すのが難しい問いに悩んでいたなと思いますが、この悩みは主に3つの不安から生まれていたように思います。
不安①:分からないことだらけで迷惑をかけるのでは?
専門学校では主にグラフィックデザインを学んできており、UIデザインはほとんど触れたことのない領域でした。学校の授業でもwebの授業で基本的なHTMLやCSSの書き方について勉強したりしましたが、専門性はおろか、基本的な理解も満たしていないことは自覚していました。
だからRettyへの入社は、これまでの経験の範囲を超えた挑戦を意味していました。この新しい領域で「何もわからず迷惑をかけるのではないか?」「何をするにも手探りで苦労するのでは?」という漠然とした不安が常に頭をよぎっていました。
不安②:一般的なデザイナーのキャリアから外れてしまうのでは?
通っていたデザイン学校の先生や周りのデザイナーの方のほとんどが「制作会社」での経験を通じて自らのスキルを磨き、デザイナーとしてキャリアを積んでいました。また進路相談のタイミングでは「グラフィックを極めてからでも遅くない」「まずは制作会社で表現力を身につけてから、事業会社に入った方が活躍できるよ」などとアドバイスをもらうこともありました。
このような環境の中で「周囲のように制作会社にいかないとデザイナーになれないのではないか?」と思うようになりました。そのため、自分が一般的なデザイナーのキャリアから逸脱しようとしているのではないかと感じ、それが決断することをより難しくしていました。
不安③:グラフィックデザインを諦めることになるのでは?
「Rettyに入社すると、グラフィックデザインのスキルを深める機会が失われるのではないか」という懸念が、もう1つの不安でした。グラフィックデザインとUIデザイン、どちらの領域でも力を発揮できるようになりたいと思っていたため、どちらか片方を選ぶというのは、非常に難しい選択に思えていました。
このような不安からRettyへの入社という決断が今後のキャリアを左右する重大な意志決定のように感じ、「この選択は正しいのか?」という難しい悩みになっていたと思います。最終的にはいろんな方に相談させてもらいながら、自分がやりたいことを優先する形で、入社を決断することができました。
半年後、あの時の悩みはどうなったのか?
今でも「この選択は正しかったのか?」と問うと、他を経験していないので「わからない」としか答えることができないのが正直なところです。ですが不安に感じていた部分は解消され、あの頃の自分に「この選択に後悔はなかった」と胸を張って言うことはできます。
それはこの半年間の間で、いろんな経験をしながら、自分の中で様々な変化や学びを得ることができたからだと思います。
変化①:「分からない」に対するスタンスの変化
予想していた通り、「分からないこと」や「できないこと」は多く、理想の自分とのギャップに苦しんだ時期もありましたが、これらに対する向き合い方が少しずつ変わってきたことを感じています。
この変化は、サービスをユーザーに届ける過程での経験がよって少しずつ気づけたもので、新しい機能や改善をリリースするには、デザイナーのみならず、様々な職種の人々が協力して作業を進めます。この環境の中で「すべてを自分でできる必要はない」と学び、理想を大きく持ちすぎていることに気づけました。
また、新しいことを知ることに対しての楽しさを少しずつ感じるようになってきました。最近では、デザインに関する知識の不足を克服するために「朝の読み合わせ大会」と称して勉強会を始めました。毎朝10:00から、社内の有志メンバーと共にHIG(Human Interface Guideline)やGMD(Google Material Design)、UIデザインの書籍を読み合わせています。
過去、「分からないこと」や「出来ないこと」に対する不安に悩んでいました。それらを完全になくすことは難しいですが、今では「分からないこと」や「出来ないこと」がない環境を見つけることの方がもっと難しいのかもしれないと思っています。
これらに対するスタンスや向き合い方を変えることができたのは、自分にとって大きな成長であり、気づくきっかけを与えてくれた周りの人に感謝しています。
変化②:入社してからわかった事業会社デザイナーの旨み
学生時代、私はグラフィックデザインの美しさや企画のおもしろさに重点を置いていました。一方で事業会社のデザイナーとして、見た目の美しさよりも、目的に合ったデザインを作ることが求められます。また作ったデザインは、ユーザーさんの声や具体的な数値によって反映され、その結果から直接フィードバックを得ることができます。
それが理想の結果でないことに一喜一憂することもありますが、デザイナーとして作って終わりではなく、デザイン(サービス)を育てていく関わり方が出来ることが事業会社ならではの醍醐味だと感じるようになりました。
ただ目的に合ったデザインを作ることは簡単なことではなく、目的を明確に捉え、要件を洗い出し、意味のあるデザインを明確に説明する能力が求められます。そのために業務外でも自分がいいなと思ったデザインを言語化したり、UIデザインをトレースし言語化するトレーニングに取り組んだりしています。
このような環境の中で、デザインに対する解像度は確実に上がり、自分のデザインに対して責任を持つというスタンスが身についてきていると感じています。当初「ファーストキャリアを事業会社にする」ということに不安を抱えていましたが、1人のデザイナーとして着実に前に進んでいると確信しています。
変化③:UIに向き合うことは、グラフィックを諦めることではなかった
当時の自分はUIとグラフィックを全く別のものと捉え、「Rettyに入社することでグラフィックを諦めることになるのでは」と悩んでいました。しかし時間が経つにつれて、求められるものや制約条件は変わるものの、UIとグラフィックがビジュアルを通じて目的を実現する点で共通していることに気づきました。(例えば「何を目立たせるか?」は情報設計の観点でどちらの分野でも大事)
このことから、UIデザインに取り組むことが、グラフィックデザインを諦めることと同義ではないと思えるようになりました。
またRettyでは主な業務ではUIデザインがほとんどですが、グラフィックの依頼もちらほらあり、その依頼に対して自ら手を挙げることでグラフィックの業務にも取り組める環境があります。
なのでこの半年間で積極的に手を挙げることを意識し、封筒、メルマガ、ヘルプページに使う画像などなど、様々なグラフィック業務に取り組むことができました。その中でも先輩デザイナーにたくさん指導してもらいながら、グラフィックにも取り組める環境に感謝しつつ、もっと活用していきたいと思います。
さいごに
内定承諾の際に悩んでいたこと、そしてその悩みがどうなったのかということについて、この半年間の変化を踏まえて書いてきました。長い文章だったのにも関わらず、最後まで読んでくださってありがとうございました。
過去の悩みを今ポジティブに捉えることができているのは、周りの人のサポートあってこそで、環境にとても恵まれていると感じています。だからこそ来年のアドベントカレンダーでは、Rettyに、ユーザーさんにこういう貢献ができたということをちゃんと胸を張って言えるように頑張っていきたいと思います。
また自分のRettyアカウントでおすすめのお店を投稿しているので、良かったら見ていただけると嬉しいです!