遠藤さくらは迷路の人間である。
そこで遠藤さくらのアリアドネとは何か?
つまり、曲のパフォーマンスは、遠藤さくらのアリアドネだった。それが自分に向いているものの真実ではなく、ただ遠藤さくらを導いてくれる。
確実に曲のパフォーマンスがあってこそ、必死に自分なりに向き合いながら迷う。諦めることなく、悔しさからまた迷いつづける。
遠藤さくらの歩む道は迷路である。その迷路のなかに真実を探さないこと。真実とは迷路にさまようことである。
これが迷うことの真実である。遠藤さくらの歩んでいる道がどこへ行くのか分からないときほど、先に行っていることはない。そこで向上して、いちばん高い境地に達しているのだ。
もっと前進する方法とは何か?
ときにはふりかえって見ることも必要だ。
迷路のなかでは、ふりむくことがもっと前進させることにもなる。「なぜだろう あの頃に戻れない」という言葉と共にそのふりむき方をする曲こそ、センターを務める27枚目シングル『ごめんねFingers crossed』ではないのか。過去の恋愛を反復すること。だから遠藤さくらはより強く、よりよこしまに、より深く。さらに、より美しくなる。