<第53話>外務省をぶっ壊す!~私、美賀市議会議員選挙に出ます!~
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この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
<第53話>
卓谷の指摘に今さらながら驚いた。
「あー。そうなるねぇ」
幽霊に怯える中山を弱腰だと見ていた自分が弱気になってきた。
「最初っから、殺す気マンマンだったって事?」
「あり得ない、あり得ない、だって、電気のついてない倉庫に一人でいけない人だよ?!」と心の中で思う。
「じゃ、なんで、殺人鬼が1907イイネなんて子供じみた事してくるのさ?!」
つい中山を擁護する気持ちになった。
「お前はホント、頭が悪いな。」
「分ってるわよ!そのポンコツさを買われて選挙に出るの!」
むきになって言い返す。
早く卓谷の答えが知りたかった。
「最初から井戸のおっさんを殺すって決めていてだな」
「うん、それで!」
「おかしいと思ったんだよな。花壇の近くにいただけで怒鳴り散らされて」
「うんうん。」
「あの市役所の裏、もう防犯カメラの線切れてたぞ」
「それで立ちションしようとしてたの?!」
「ん、まあ。」
立ちションする卓谷の姿を想像してしまった。
「もう、やだ」と呆れる。
「俺の推理でもあるんだけど、カレー食べた後に、もう一回あの時の市役所の裏手に行ってみたのさ」
なるほど、中山が投げたゲバ棒が当たってヒビの入った窓ガラスさえ修理せずにそのまま放置されていたのだから、もう使用年数が経って壊れた防犯カメラまで修理する筈もなく、警備員なんか雇う経費は毛頭ない。
「移転いつだ?」
「来年の一月って聞いたけど」
「ほう、やっぱり」と自分一人で謎が解けたしたり顔をしていた。
「何がやっぱりよ」
「だから、井戸を殺して、あの花壇に埋めようとしてたんじゃねーの?」
「んなーーー!」
そんな大胆な事を考えていたんだろうか?
それがホントなら衝撃である。
けど、思いを巡らせれば巡らせるほど、辻褄があってくる。
いつ、市役所の周りをうろついて、あんなオッサンに怒鳴られたんじゃたまらない。
事実、誰もあの辺に近づかないようになっていた。
裏の駐車場がいつも閉まっていたのも、市役所移転を睨んで経費を削減したか怠慢だったのだろう。
そんな偶然も中山は利用したのだ。
「あの花壇の管理って・・・」
「船盛か、船盛直接じゃなくても、親戚か誰かにやらせてたんだろ?!」
「せやろか?」
まあ、あれだけ船盛に貢献していれば中山が花壇管理団体の代表になるくらい容易な気がする。
なんせ美賀市という所は「定住している在日韓国・朝鮮人の住民税を何の法的根拠もないまま半額程度に減免していた」自治体だ。
そんな特権がいつから始まったか分らないくらい何十年も継続して行われており、その特権を悪用して総務部長だった職員が元在日韓国人から約1800万円を着服してバレて懲戒免職となった事が契機となりこの在日特権が明るみに出たのである。
だからちょっとした特権くらい入手出来る人は入手出来そうな気がしないでもない。
「でも、辻崎さんが管理する事になりそうって、辻崎さん喜んでたけどなぁ」
「だから、死体を切り刻むかなんかして埋めようとしてたけど、諦めたんだろうな。なんかマズいと思って」
「んー。なるほど」
「贖罪意識が芽生えて辻崎さんに譲ったんじゃね?」
なんか違和感があるが、実際そうなっているのだ。
「さすがキャプテン、あったま、ええなー」と感心した。
伊達に無資格で大手メーカーの専属測量業務を請け負ってる男ではない。
改めて卓谷の地頭の良さに舌を巻いた。
「でも何か、引っかかるのよね~」
別に花壇に死体を埋めるのを止めたからと言って、わざわざ辻崎に「保存なんかえやんか」と告げに行き、花壇管理まで譲ってしまうなんて。
そして何より「1907イイネ」が謎だ。
「1907イイネしてきたのは何でかしら?」
「あーーー!」
2人して顔を見合わせ、声を上げた。
つづく。
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