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【カーボンニュートラル推進企業紹介㉞】あつぎ飯山野良の芸術美術館(併設)現代版寺子屋塾「無尽蔵」~里地里山の保全によるカーボンニュートラル~

カーボンニュートラル―。脱炭素への取り組みは国際レベルのものから個人での活動まで様々です。

厚木市内で脱炭素の取り組みを進めている企業や団体に、どのように「脱炭素への挑戦」をしているかをインタビューしました。取り組み理由や具体的な進め方、これから取り組む企業へのメッセージなど、1社ずつご紹介します。取り組みを始める一歩に、また活動を促進させるヒントにしてはいかがでしょうか。

34社目は、厚木市飯山で私設美術館と現代版寺子屋塾を開館しているあつぎ飯山野良の芸術美術館(併設)現代版寺子屋塾「無尽蔵」。

里地里山の自然経験の中で、「農民文学誌」の原画を常設展示し、竹林や山林を活用した体験的で学習的な寺子屋を運営する中で、同館ならではの取り組みを主宰の小島富司さんに話を伺いました。



主宰の小島富司さん


竹藪を活用したカーボンニュートラルな取り組み


裏庭には竹藪が広がっています

あつぎ飯山野良の芸術美術館(併設)現代版寺子屋塾「無尽蔵」では、隣接する竹藪を活用した、ユニークなカーボンニュートラルな取り組みが行われています。

カーボンニュートラルと密接な関係にある森林・竹林は太陽の光を利用して、大気中の炭素を吸収・蓄積するため、カーボンニュートラルにおいて重要な役割を持っています。

特に竹は世界一早く成長する植物とも言われる植物ともいわれ、発芽してから3年で成木となります。また、人工肥料や農薬がなくても育つため、持続可能な植物として注目されているようです。

「地球規模での温暖化や激しい気候変動に加えて、人の手が入らないと竹藪は荒れてしまうので」と小島さん。

あつぎ飯山野良の芸術美術館(併設)現代版寺子屋塾「無尽蔵」では隣接する竹薮を、地元の学生ボランティアと協力して、定期的に整備を行っています。

放置された竹藪は、密集した竹が日光を遮り、他の植物の生育を阻害するだけでなく、土壌の水分を過剰に吸収し、土砂災害のリスクを高める可能性も孕んでいます。そのため小島さんは竹藪を整備することで、二酸化炭素を吸収する森林の維持、生物多様性の保全、そして地域の安全確保に貢献しています。

「自然のものを使って生活道具を作る。これも私の重要なテーマです」と話すように、小島さんは整備で発生した竹材を、垣根や竹ぼうきなどの生活用品や道具の材料として再利用しています。かつて竹は、生活に欠かせない様々な道具の材料として利用されていましたが、近年ではプラスチック製品の普及により、その利用は減少しています。竹材を生活道具として利用することは、石油由来のプラスチック製品の使用量削減に繋がり、ひいては二酸化炭素排出量の削減にも削減にもつながっていきます。


有機栽培による取り組み


有機栽培が行われている「飯山アート・ファーム」

あつぎ飯山野良の芸術美術館(併設)現代版寺子屋塾「無尽蔵」には「飯山アート・ファーム」と名付けられた畑があり、小島さんが季節の野菜を有機栽培で育てています。

化学肥料は、その生産過程で温室効果ガスを排出します。有機栽培は、化学肥料や農薬を使用しないため、土壌や水質汚染を防ぎ、生物多様性を保全するだけでなく、食の安全にも貢献しています。

また、小島さんは生ゴミや・森林の枯葉を堆肥として再利用することで、ゴミの減量化にも取り組んでいます。さらに、竹製の骨組みを使ったビニールハウスの設置も計画しており、より長く、多様な野菜を栽培できるよう、自然由来の素材を活かした工夫を凝らしています。

畑のそばには生ごみと枯葉を堆肥として残しています


カーボンニュートラルを要である自然を守るため


手作りの紙芝居

あつぎ飯山野良の芸術美術館(併設)現代版寺子屋塾「無尽蔵」では、地域の伝承を題材とした紙芝居を作成し、地域のお祭りやイベントで公演しています。

「かつて飯山には、自然と密接に関わった伝承が数多く存在してたんです」と話す小島さん。これらの伝承は、自然と共存してきた先人たちの知恵や教訓を伝える貴重な文化遺産という認識のもと小島さんは、紙芝居を通して伝承を語り継ぐことは、地域の歴史や文化を次世代に伝えるだけでなく、自然と共存することの大切さを再認識する機会を提供しています。

また、寺子屋では昔ながらの遊び道具を竹を使って作り、子どもたちに自然と触れ合う機会を提供しています。大量消費社会の現代において、改めて日本古来の自然と共存する文化に注目し、子どもたちの想像力や自然への感謝の気持ちを育んでいます。

里山から未来を創造する


あつぎ飯山野良の芸術美術館(併設)現代版寺子屋塾「無尽蔵」のカーボンニュートラルへの取り組みは、単なる環境保護活動ではありません。里山という地域資源を最大限に活用し、芸術、学び、そして地域社会との繋がりを創造する、持続可能な社会に向けた挑戦です。竹林の再生、有機農業、地域伝承の継承、古民家再生。これらの活動は、それぞれが独立しているのではなく、互いに繋がり、相乗効果を生み出すことで、より大きな力を発揮しています。
自然と共存することの大切さ、伝統文化の価値、そして地域社会の重要性です。里山を舞台にした挑戦は、未来を創造する力となるでしょう。



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