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«分析»シティvsアーセナルを深く分析してみる ~アルテタ解任は時期尚早~

 こんにちは!Atsudです。今回はプレミア第3節、シティvsアーセナルを分析していきます。グーナーにとってはもちろん、世界のプレミアファン、シティファンでさえショッキングな試合になったのではないでしょうか。それは言い過ぎかもしれませんが(笑)
 しかし、誰が見ても現状のアルテタ政権が成功しているとは言えない状況です。一方でシティからしてみれば早い時間に2点を取って相手に退場者が出たわけですから余裕をもって試合を進めることができたと思います。

 今回は退場者が出た35分までを中心に分析しようと思います。また、それを踏まえたアルテタについて少し意見を書こうと思っています。深く分析するので35分間の分析でもだいぶ長くなると思いますが、試合映像を横にしてぜひお付き合いください。では分析をどうぞ。


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アーセナル:試合前の決め事は悪くなかった

 シティは通常運転の4-3-3、アーセナルは5-4-1でのスタートとなった。序盤、アーセナルはシティを上回るパフォーマンスを見せていた(結局、優位に立ってたのは序盤の数分間だけだったが)。その要因はシティのビルドアップ局面におけるアーセナルの守備だ。
 下の図を見ると、アーセナルが5-4-1の形を崩してシティのシステムに合わせていることが分かる。アンカーのロドリ、IHのギュンドアンは完全にマンマークだ。右下でスミス・ロウがウォーカーとB.シルバを一人で見ているが、ボールが左サイドに流れるとSBのティアニーがポジションを上げて援護する。またはもう一つ下の図のように、オバメヤンとスミス・ロウの2人でうまく対処することもあった。

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 このシステムでボールを奪ったアーセナルはシティの驚異的なプレスを掻い潜る。その立役者がブカヨ・サカでありスミス・ロウである。この2人は特に、ボールキープ力や身体的に劣るシティDF陣に対する体の入れ方、当て方が上手い。こうしてシティのゴールに襲いかかったのが4:10~5:00にかけての攻撃。最終的にはシュートまで辿り着かなかったものの、スミス・ロウの能力の高さがうかがえた。1:40から始まる攻撃もサカの個が際立つ直線的なものだった。

 攻撃を絶たれ、ボールを奪われた後もアーセナルはネガティブトランジション(攻→守)でも高いパフォーマンスを発揮する。攻撃時は3CBとアンカーの4人を後ろに残し、シティが速攻を仕掛けてきてもそれに対応した。下図でも攻撃参加した選手が付近の選手をマークするだけでなく、抜け出したB.シルバに対してジャカが素早くチェックした。

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アーセナルを崩壊させたB.シルバ

 アーセナルの善戦もここまでだった。たった5分間。アーセナルが善戦した主な要因、シティのビルドアップ局面にシティ側から変化がもたらされた。B.シルバがアンカーの位置でボールを受け始めた。ここでスミス・ロウは困ったことになる。下の図のように、スミス・ロウ1人ではウォーカーとB.シルバ、両方に圧を掛けられないのだ。結果としてB.シルバは自由にドリブルできるという現象が起きてしまった。まだ開始6分なので、完全に意図したプレーとは考えられないが(もしそうだとしたら異次元)、おそらくスミス・ロウが1人で2人をマークしている状況を利用するための策であったことは間違いない。

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 1つ噛み合わないところが出てくると数珠つなぎのようにどんどん守備に綻びが生じてくる。B.シルバが右サイドに寄ったことで、そのカバーに入ったジャカのマーカーであるギュンドアンがハーフスペースで完全なフリーになる。結果的にアーセナルのボランチ1人という配置が仇になり、簡単にゴール前までボールを運ばれてしまった。結果的にシティの先制点に繋がったこのシーンは試合のターニングポイントと言っても良いだろう。

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シティのポジショナルプレー

 ここまで来たらペースはシティだ。シティはお得意のポジショナルプレーをスタートさせる。基本的には両SBが内に絞り、IHが最前線に上がる2-3-5の形。いつも通りだ。全体的に左寄りでカンセロは元の左SBに近い位置にいることが多かった。ペップ・シティは多くの場合、右サイドはRWG(今回であればジェズス)がアイソレーションになっている。
 一方でアーセナルは5-4-1で構える。システム上はシティの5レーンに対応できるし、最前線をオバメヤン1人で見れれば中盤3枚を4人で立ち向かうことができる。アルテタはペップ・シティの全てを知っていた男として無難な策を用意した。

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 ここからは今回この試合で起きたポジショナルプレー内でのアクションを紹介していく。先ずはチャンスのキッカケとなったシーン(9:00)。カンセロがワイドに動き、グリーリッシュがハーフスペースに侵入。左ハーフスペース付近に3人いることになる。ここでグリーリッシュとトーレスが左サイドの裏を狙う動きを見せた(図中①)。それを認知したのがギュンドアン。トーレスに引き付けられたホールディングが空けたスペースに入った(図中③)。ここから一気にゴール前に攻め込んだシティ。FWたちのアクションとそれを認知できるギュンドアンの質の高さが印象的だった。

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 ビルドアップでもアーセナルのミスを誘発し利用することができていた。下図の説明にも書いたが、ジャカが本来いるべき位置からかけ離れた場所にいる。これもシティがかけた罠に引っかかってしまったのでは、と思う。このシーンを映像でも見て欲しいが、この絵の数秒前にB.シルバの上下の動きでジャカが引っ張られていることが分かる。

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 上図にジャカが上がらなければいけない理由がある。スミス・ロウはもともとウォーカーとB.シルバを見る役割で、左サイドにボールが来たらティアニーがウォーカー、スミス・ロウがB.シルバと定まっていたはずだ。しかしB.シルバの上下移動によってティアニーがプレスを掛けるために必要な最終ラインのスライドが機能しなかった。それによってジャカがティアニーに代わってスミス・ロウを助ける必要があったということだ。しかし、そのジャカの穴を利用されてしまった。1つ作戦と違うことが起きるとすべてが上手く行かなくなってしまった。またこれもペップの仕業なのだろうか。いずれにせよ、スミス・ロウの守備的特徴を活かした攻撃だったと言える。
 結局この攻撃で得たフリーキックから2点目を取っている。

アルテタの修正力

 2点目を取られたアーセナルを率いるアルテタ。彼の戦術眼はさすがだなと思った采配が2点目を許した直後にあった。シティのビルドアップでティアニーがしっかりウォーカーにチェックを入れていた。ここまでの改善点を把握している証拠だ。ここを改善した結果、ここからボールを奪いアーセナルのポゼッションへと持ち込んでいる。これと近似したシーンは何度も見られ、19分にはエデルソンがゴール手前でボールを失いかけるまで追い詰めた。25分にもエデルソンのパスミスを誘発し、チャンスを迎えている。

「プレミアリーグ 第03節」マンチェスター・シティ vs アーセナル フル動画 _ サッカー動画フル視聴 および他 5 ページ - 個人 - Microsoft​ Edge 2021_09_04 0_15_24

 良いとまでは言わないが、悪くないサッカーに変えたアルテタだったが、ここでペップとの師弟対決も終戦を迎えた。原因はジャカの退場。SBが前に出て対応したカバーリングでスライディングタックルに入ったジャカ。その運動量で中盤の守備を1人でやりくりしていたジャカのパフォーマンスは良かったと思う。このタックルも間に合っているしカバーとしては良かった。
 ジャカだけではなく数百人のマンチェスターに駆け付けたグーナーたちも「自主退場」という形で退場してしまったアーセナルに勝ち目はなくなった。

アルテタ解任待望論について

 ここでアルテタ解任待望論がグーナーたちで激しく巻き起こっているが、どうだろうか。僕はもう少し待つ必要があると思う。ただし期限は今冬。ここまでに結果を出さなければ解任必須だろう。

 理由は2つある。1つは時間の問題。ペップはこの試合前、アルテタ解任について"2 games. We've played 2 games"(まだ2試合) と2を誇張させて答えた。これに対してもう3シーズン目と反論する人がいるが、その反論は違うと思う。昨シーズンのエバートンやスパーズを見て欲しい。彼らは序盤素晴らしいサッカーを展開したが徐々に成績は降下。モウリーニョに至っては解任された。要するにシーズン全体を見たときにまだ挽回の余地は十分にある。これについては2つ目の理由も内在している。

 2つ目の理由は戦術レベルの高さと現状の戦力問題だ。最初の2失点を振り返るとトップレベルとは言えないDFの個の質が原因でもある。戦術で負けたときに個の力がチームを失点から救うが、現状の戦力ではそれができない。ガマリンシャス、ベン・ホワイト、さらには冨安。少なくとも今のバックラインよりは質が高い戦力がチームに加われば、もっと良いサッカーができるだろう。それは守備だけでなく攻撃面においてもだ。シティ相手にビルドアップを成功させた場面は無かった。ビルドアップが成功するか否かはCBやGKの力量によるものが過半を占める。ビルドアップさえ決まればタレント揃いの攻撃陣によって得点がもたらされるだろう。

 ただし、1年半作ってきたチームなので戦術的にはかなり成熟してきている。そのため、新戦力の適応期間も含めて期限は今冬とした。アルテタの完成形が生まれるのかも楽しみだが、何より日本人としては冨安の活躍も気になる。この2つに注目して今後のアーセナルに注目していきたい。


以上で分析は終わりです。感想や質問、反論などがあったらコメントしてくださると嬉しいです。長い分析にお付き合いくださりありがとうございました。

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